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小林香&美弥るりかインタビュー(上)

『The Parlor』という温かい場所の雰囲気がそのままリンクした作品

橘涼香 演劇ライター


 曽祖母の時代は談話室。祖母の時代は美容室。母の時代は喫茶室と、ある家族の女性たちが連綿と守り継いできた部屋「ザ・パーラー」を舞台に、バトンを受け継ぐ現代の娘は、何を思い、どう行動するのか?を描くオリジナルミュージカル『The Parlor』が、4月29日~5月8日東京・よみうり大手町ホール、5月14日~15日兵庫・兵庫県芸術文化センター 阪急 中ホールで上演される。

 『The Parlor』はジェンダー平等から未だ遠く離れている日本でこそ描きたいと企画された、気鋭の演出家・小林香が演出・脚本・作詞を一手に担うオリジナルミュージカル。過去から現代へと繋がれてきた、そしてこれからも繋がっていく女性たちの物語が、アメリカで活躍する作詞・作曲家アレクサンダー・セージ・オーエンの楽曲と共に紡がれていく。

 そんな作品の創作に邁進する小林香と、「ザ・パーラー」の娘であり孤高のゲームクリエイターである主人公・円山朱里を演じる美弥るりかが、作品のこと、互いのこと、更に自身が受け継いできたものについて語り合ってくれた。

誰かから受け取ったバトンを誰かに渡す

小林香(左)と美弥るりか=宮川舞子 撮影(美弥るりか)拡大小林香(左)と美弥るりか=宮川舞子 撮影(美弥るりか)

──まず、この『The Parlor』という作品の着想から教えていただけますか?

 小林:オリジナルで作品を作りませんか、小林さんが作りたいものを作っていいですよ、というお話をいただいた時に、何にしようと考えるまでもなく自分のなかにこれだという思いがあったテーマでした。と言いますのも、このところずっと誰かからバトンを受け取り、私も誰かにバトンを渡す、人間というひとつの生き物としての、そういう流れのなかに自分がいるんだなということを、非常に強く感じていたんです。自分が立っている大地も、歩んでいる道のりも誰かが作ってくれたもので、自分もまた後ろに続く人たちに何かを残せる、それは会ったことのない人かもしれませんし、知っている人かもしれない。相手はわからないけれども誰かに何かを残していく、そういう円環のなかに自分はいるんだと強く感じていました。特にいま現在自分はこの仕事をしている訳ですが、それは女性の先輩たちが血と汗を流して作った道があったからこそ、ここに立っていられるんだ、ということを実感することが多かった。そうした流れを描けたらと思って、今回の作品に乗り出しました。

──その象徴として「パーラー」という皆さんが集う場所を設定されたのは?

 小林:PARLORの語源はフランス語で「語り合う」なんですね。それが曾祖母の時代は応接室、祖母の時代は美容室、母には喫茶室として伝わっていく。名前は時代、時代で変わっていきますが、その部屋で人々が語り合い自分を解放していく。バトンをつないでいく様が描けるのかな?と思ってこの場所を設定しました。

美弥るりか=宮川舞子 撮影〈ヘアメイク:丸山智路・スタイリスト:津野真吾(impiger)・衣装協力:Wild Lily〉拡大美弥るりか=宮川舞子 撮影〈ヘアメイク:丸山智路・スタイリスト:津野真吾(impiger)・衣装協力:Wild Lily〉

──そんな作品に美弥さんが今感じられているところや、魅力はいかがですか?

 美弥:人を女性と男性に分けるとしたならば、女性側が人生でぶつかる問題点とか、悩みとか、女性だからこそ感じるものにはそれぞれの思いがあると思うんです。そういったところを激しくというよりは、緩やかな曲線で描かれているところが、この『The Parlor』という温かい場所が持つ雰囲気とリンクしていて、いつの間にか皆様の心にスーッとしみこんでいくようなストーリーになっているなぁと。ですから皆様がきっとどこかで共感して、「あの時の自分の選択は間違っていなかったんだ」とか「あの時こう生きていたらこうだったのかな」など、それぞれの人生も振り返っていただけるものになったらいいなと思っています。更には、勇気を得たり、自分も希望を持って生きていきたいという、前向きなマインドになっていただけるところにまで行けたら尚嬉しいですね。

◆公演情報◆
Musical『The Parlor』
2022年4月29日(金・祝)~5月8日(日) よみうり大手町ホール
2022年5月14日(土)~15日(日) 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
公式ホームページ
公式Twitter
[スタッフ]
作・演出:小林香
作曲・編曲:アレクサンダー・セージ・オーエン
[出演]
美弥るりか、花乃まりあ、植原卓也、舘形比呂一、北川理恵、坂元健児、剣幸

〈小林香プロフィル〉
大学卒業後、東宝株式会社にて演劇プロデューサーとして活動後、舞台演出家として独立。数々の海外ミュージカルの演出を手掛け、演出・脚本・作詞を一手に任う「オリジナルミュージカル」と、日本では数が少ない「ショー」の創作も得意とする。近年の舞台作品に、ミュージカル『リトル・プリンス』(演出)、ミュージカル『マドモアゼル・モーツァルト』(演出)、オフ・ブロードウェイミュージカル『The Last5 Years』(演出)、ミュージカル『きみはいい人、チャーリー・ブラウン』(訳詞・演出)などがある。
オフィシャルサイト
オフィシャルinstagram

〈美弥るりかプロフィル〉
2003年宝塚歌劇団に入団。星組に配属後、2012年に月組へ組替えし男役として活躍。また男役以外にも幅広い役柄を好演し、異例の人気を誇る。19年の退団後、アーティスト活動をスタート。現在では、舞台やファッション、ビューティーなど様々なフィールドで活躍する。近年の主な舞台出演作に、『ヴェラキッカ』、the Wonder『MIYA COLLECTION』、『GREAT PRETENDER グレートプリテンダー』、『SHOW-ISMS Version マトリョーシカ』などがある。
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筆者

橘涼香

橘涼香(たちばな・すずか) 演劇ライター

埼玉県生まれ。音楽大学ピアノ専攻出身でピアノ講師を務めながら、幼い頃からどっぷりハマっていた演劇愛を書き綴ったレビュー投稿が採用されたのをきっかけに演劇ライターに。途中今はなきパレット文庫の新人賞に引っかかり、小説書きに方向転換するも鬱病を発症して頓挫。長いブランクを経て社会復帰できたのは一重に演劇が、ライブの素晴らしさが力をくれた故。今はそんなライブ全般の楽しさ、素晴らしさを一人でも多くの方にお伝えしたい!との想いで公演レビュー、キャストインタビュー等を執筆している。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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