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お寺を解散するという選択──過疎地のお寺はもう限界

[16]難しい法的手続き、財産処理、檀家の移籍

薄井秀夫 (株)寺院デザイン代表取締役

住職のいないお寺

 今回、金皇寺が解散せざるを得ない状況になったのは、直接的には、住職の後継者不在であるが、背景には過疎問題がある。このお寺は、過疎化が進む中、経済的にも困窮していた。もし経済的に安定していれば、後継者のなり手はいただろう。

 人口の都市部への集中が進む中、地方では、活動できないお寺も増えている。

 文化庁によると、2020(令和2)年の時点で、約18万の宗教法人のうち不活動法人が3394法人あるという。また金皇寺が属する浄土宗によると、約7000ヵ寺の全浄土宗寺院のうち、長期無住職寺院が80ヵ寺あるという(文化庁『宗務時報』125号)。

 おそらくこれは氷山の一角に過ぎず、活動が停滞し、経営が行き詰まっているお寺は、さらに多い。お寺で得られる収入では活動できないので、住職が

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筆者

薄井秀夫

薄井秀夫(うすい・ひでお) (株)寺院デザイン代表取締役

1966年生まれ。東北大学文学部卒業(宗教学専攻)。中外日報社、鎌倉新書を経て、2007年、寺の運営コンサルティング会社「寺院デザイン」を設立。著書に『葬祭業界で働く』(共著、ぺりかん社)、 『10年後のお寺をデザインする――寺院仏教のススメ』(鎌倉新書)、『人の集まるお寺のつくり方――檀家の帰属意識をどう高めるか、新しい人々をどう惹きつけるか』(鎌倉新書)など。noteにてマガジン「葬式仏教の研究」を連載中。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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