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ミュージカル『四月は君の嘘』小関裕太 取材会レポート

フランク・ワイルドホーン作曲の世界初演作に出演、自分が大きく変わるチャンス

小野寺亜紀 演劇ライター、インタビュアー


 2013年講談社漫画賞少年部門受賞、テレビアニメや実写映画版も多くの人を惹きつけた新川直司の傑作コミック「四月は君の嘘」。音楽家の卵たちの瑞々しい青春ラブストーリーに、『ジキル&ハイド』などのフランク・ワイルドホーン氏が全曲書き下ろす世界初演ミュージカルが、ついに2022年幕を開ける(5月7日~29日 日生劇場、6月4日~5日 高崎芸術劇場 大劇場、6月9日~12日 御園座、6月16日~18日 兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール、6月25日~26日 オーバード・ホール、7月1日~3日 博多座)。

 2020年に新型コロナウイルス拡大のため、全公演中止となったものの、メインキャスト6名が再集結。楽曲は音楽番組やコンセプトアルバムなどで先に披露され、キャッチーで壮大な奥行きを感じるメロディーと、キャストたちによる歌の表現力に、ますます期待が寄せられた。

 木村達成とのダブルキャストで、元天才ピアニストの有馬公生役を演じる小関裕太の取材会が大阪で開かれ、温めてきた作品や役への想いなどを語った。(取材会は2月後半に行われました)

あまりにエネルギーを投じていたので、全公演中止で喪失感を味わう

小関裕太=小野寺亜紀 撮影拡大小関裕太=小野寺亜紀 撮影

――『四月は君の嘘』の上演にあたり原作にも触れられたそうですが、いかがでしたか。

 まず漫画を読みアニメを観たのですが、この作品が大好きになりました。公演が中止になってしまった2020年の時点で2回アニメを観ていて、今までに7回観ました。それぐらい感動し、言葉一つひとつに背中を押されました。僕自身音楽が好きなので、音楽の力に元気をもらいながら、前向きになれる作品だなと感じます。

――2020年、新型コロナウイルスの影響で全公演中止になってしまった時は、どのような思いが?

 当初はとてもショックで、喪失感がありました。その時期は、作品を成功させることを生きがいにしていたので、目標がなくなってしまい、空いた時間をどう使えばいいかも分からなかったです。

――それだけのエネルギーを投じていたのは、何か理由などあったのでしょうか。

 実は当時、『四月は君の嘘』が4年ぶりの舞台出演でした。その4年の間、おもに映像作品に参加して、色々な自分と向き合ってきたのですが、この大きなプロジェクトの作品に出演することが決まり、自分が大きく変わるチャンスだなと思っていました。

 もともと僕はミュージカルが大好きで、特に『メリー・ポピンズ』が大好きで、タップダンスをきっかけにこの業界に入ったので、あらためてミュージカルをやりたいと思っていました。だから役者として一段上へ上がるタイミングにしようと、自分に課していましたね。

小関裕太=小野寺亜紀 撮影拡大小関裕太=小野寺亜紀 撮影

――具体的に、どのようなレッスンをされていましたか?

 歌の面でもお芝居の面でも成長したいという思いでいたのですが、やはりフランク・ワイルドホーンさんの曲は、(キーの)高い歌や、感情的な歌が一つの作品の中に詰め込まれているので、それに耐えうる体力と精神力を作らなければと、楽曲を歌いこなすための練習をしていました。

――ワイルドホーンさんの曲は、やはり喉が大変だとよく聞きます。

 まだ作品の全曲を通してはいないので、何とも言えないのですが、冒頭から結構高い曲があります。また、単なるラブストーリーではない、人の生と死、嘆き、喜びや悲しみといったものが表現されている楽曲ばかりなので、「心しておかなければ!」とは思っています。

――今作の音楽の魅力は?

 日本人に耳馴染みのいい曲です。ワイルドホーンさんご自身、J-POPがお好きというのもあり、クラシックとJ-POPとアメリカの音楽が交ざり合い、色々なカルチャーがミックスされているのがおもしろいですね。例えば伴奏はクラシックなのに、気づいたら役の感情の言葉、日本語の歌詞になめらかに移行している、魔法みたいな作りになっていて、新しい音楽だなと感じます。

有馬公生に役者として憧れる

小関裕太=小野寺亜紀 撮影拡大小関裕太=小野寺亜紀 撮影

――小関さんが演じられる元ピアニスト・有馬公生役の印象は?

 ピアニストである母の教えでどんどん上達し、幼い頃には、「ヒューマンメトロノーム」と言われるぐらい楽譜に忠実、子どもでありながら天才、と言われていた男の子です。母の死をきっかけにピアノを弾く音が聞こえなくなり、ピアノと疎遠になっていく。同世代の子たちにすごく影響力があり、彼に背中を押されて音楽をやり始めた子たちが、彼の演奏をもう一度聴きたい、ライバルとして同じ舞台に立ちたいと思う、その関係性がうらやましいです。彼のパフォーマンスや生き様を見たいと思われるのは、僕自身役者として憧れます。

――作品の中には演奏シーンもありますが、実際ピアノを弾かれるのですか?

 まだ本稽古が始まっていないので何とも言えないのですが、僕はもともとピアノを軽く弾くので、そういうところが役にも生きていけばいいなと思います。

――高校生の淡い恋愛、というのを26歳の今演じられるのは、気恥しい部分もありますか?

 それは全然ないですね。実は、学生役を演じた経験は少なくて、初めて学園もののドラマに出たのが19歳のとき。学生役を頂いたのが遅かったので、チャンスがあれば逆に演じたいと思っています(笑)。僕は幼い頃からこの業界にいて、学生時代も家や学校より、仕事の現場にいるほうが多かったので、青春と言われるものはあまり体験していない実感があり、今でも青春を取り戻そうという思いで過ごしています。

小関裕太=小野寺亜紀 撮影拡大小関裕太=小野寺亜紀 撮影

――宮園かをり役を演じる生田絵梨花さんの印象について教えてください。

 すごく魅力的な方で、やはり歌が素晴らしいなと思います。FNS歌謡祭で一緒に(今作の)歌唱披露をし、その後も歌を披露する機会があったのですが、(有馬公生役の)ダブルキャストである木村達成くんと一緒に、いつもリハーサル室で圧倒されていました。説得力のある歌、唯一の歌声だなと思います。

 この公演が一度中止になり、今後上演ができないかもしれないけれど、すでに出来上がっている楽曲だけは形に残しておこうと、コンセプトアルバムを発売しました。そのレコーディングでも、芯の強さを感じてまた圧倒されました。バラエティ番組でご一緒する時は、柔らかい雰囲気をまとっているのですが、レコーディングの時は目が本気というか、音楽に対してとてもストイックな方で、ギャップがあるのかなと、これからの稽古が楽しみです。

――宮園かをりも、周りに大きな影響を与える素敵なキャラクターですよね。

 そうですね。豊かな音楽性を持っていて、クラシックは楽譜通り作曲家の意図を汲んで演奏するところを、自由に演奏をする音楽の楽しさを彼(有馬公生)に教えてくれる人です。その柔軟性や明るさなど、生田さんの中に宮園かをりちゃんが住み始めた時、どういうものが出てくるんだろうというのがすごく楽しみです。これまで共演された方の話を聞くと、やはり生田さんと宮園かをりちゃんの明るいパワーは共通しているようですね。

漫画やアニメ、映画にはないナマの緊張感を

小関裕太=小野寺亜紀 撮影拡大小関裕太=小野寺亜紀 撮影

――作品に登場する人物たちは、何かしら音楽に影響を受けていますが、小関さんご自身、音楽に影響を受けたという出来事は?

 たくさんあり過ぎるのですが、リフレッシュ方法はいつも音楽で、行き詰まったり、もの作りの構想に悩んだ時は音楽に助けてもらい、アイデアを音楽からもらうことがよくあります。最初にはまった音楽は、スティーヴィー・ワンダーやレイ・チャールズ、ビリー・ジョエルなど、70年代80年代に活躍されていたアメリカのアーティスト。そこからいろんなアーティストの方を好きになり、R&Bやブラック・ミュージック、最近はファンクなども聴くようになりました。わりとグルーヴの効いた音楽が好きですね。

――『四月は君の嘘』の音楽も、ノリのいい曲が多いですよね。

 そうですね。テレビで曲を披露させてもらったのを、普段ミュージカルで活躍されている方が、「そういえば、あの曲覚えているよ!」と歌ってくださり、「そんなに覚えているものなんだ!」と驚きました。ワイルドホーンさんの曲の魅力をあらためて実感しましたし、周りの方からの言葉で、さらに作品を上演するのが楽しみになりました。

――先ほどミュージカルが大好きだとおっしゃっていましたが、もう少しそのあたりをお聞かせください。

 僕は、舞台はミュージカルしか出演したことがないのですが、演じる側として音楽が感情を助けてくれるというか、気恥しいひと言や、エネルギーが必要なけんかのシーンも、音楽があることで伝わりやすくなるように思います。楽器の演奏が重なり、それが分厚くなってどんどん盛り上がり、最後は拍手になる、というのがとても好きです。

 また、舞台ならではの緊張感も楽しみの一つです。クラシックのコンサートは舞台上にグランドピアノがどんと置いてあり、そこにピアニストが座って息を整えて始まるという、ホール独特の緊張感がありますよね。この作品でも同じように、コンサートのシーンではお客さまも同じ気持ちで見守る瞬間があるでしょうし、漫画やアニメ、映画にはないナマの緊張感が味わえると思います。

――映像でもご活躍されていますが、ご自身にとっての舞台のお仕事とは

 僕の中では映像と舞台は別ものではあります。お芝居の面でいうと、映像は台本に書かれている言葉をときには一晩で覚えて、リハーサルと本番の2回だけで終えてしまう、はかないものだなと思っています。

 舞台はそういう意味では本当に贅沢で、今回だったら約1カ月半稽古をして、その間、ずっと同じシナリオと歌、人物を掘り下げる期間があり、実際に本番でご一緒する方と何回もリハーサルができる。一度完成させてはまた崩し、また作ってということを繰り返し、何回も本番ができる。そうやってお芝居や自分自身と向き合えるので、新たな自分を見つけていこうというきっかけを与えてくれる、成長できる場だなと思います。

◆公演情報◆
ミュージカル『四月は君の嘘』
東京:2022年5月7日(土)~29日(日) 日生劇場
群馬:2022年6月4日(土)~5日(日) 高崎芸術劇場 大劇場
愛知:2022年6月9日(木)~12日(日) 御園座
兵庫:2022年6月16日(木)~18日(土)  兵庫県立芸術文化センターKOBELCO大ホール
富山:2022年6月25日(土)~26日(日)  オーバード・ホール
福岡:2022年7月1日(金)~3日(日) 博多座
公式ホームページ
[スタッフ]
原作:新川直司(講談社「月刊少年マガジン」)
脚本:坂口理子
作詞・作曲:フランク・ワイルドホーン
作詞:トレイシー・ミラー/カーリー・ロビン・グリーン
編曲:ジェイソン・ハウランド
訳詞・演出:上田一豪
[キャスト]
小関裕太・木村達成(Wキャスト)、生田絵梨花、唯月ふうか、水田航生・寺西拓人(Wキャスト) ほか

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筆者

小野寺亜紀

小野寺亜紀(おのでら・あき) 演劇ライター、インタビュアー

大阪府出身。幼い頃から舞台をはじめ、さまざまなエンターテインメントにエネルギーをもらい、その本質や携わる人々の想いを「伝える」仕事を志す。関西大学文学部卒業後、編集記者を経て独立。長年、新聞や雑誌、Webサイト、公式媒体などで、インタビューや公演レポート等を執筆している。特に宝塚歌劇関係の取材は多い。 小野寺亜紀オフィシャルサイト(https://aki-octogreen.themedia.jp/)

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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