勝部元気(かつべ・げんき) コラムニスト・社会起業家
1983年、東京都生まれ。民間企業の経営企画部門や経理財務部門等で部門トップを歴任した後に現職。現代の新しい社会問題を「言語化」することを得意とし、ジェンダー、働き方、少子非婚化、教育、ネット心理等の分野を主に扱う。著書に『恋愛氷河期』(扶桑社)。株式会社リプロエージェント代表取締役、市民団体パリテコミュニティーズ代表理事。所有する資格数は71個。公式サイトはこちら
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
頼れるボランティアを「戦力」にするために必要なこと
2022年4月23日、山梨県道志村の山中で捜索ボランティアが子供の頭蓋骨の一部を発見し、その後警察による捜索で周囲から他の骨や様々な遺留品が見つかりました。2019年9月21日に行方不明になった小倉美咲さんのものという可能性もあるとして、現在も捜索が続いています。
骨が発見された場所は、美咲さんが行方不明になったキャンプ場から約600mしか離れておらず、当時、警察等がのべ約1700人を動員して捜索した範囲内であるとされています。
そのため、「あれだけ探して見つからなかったのに、なぜ今頃になって骨や遺留品が見つかるのか」という謎が生じる不可解な事件のため、インターネット上では様々な憶測が飛び交っています。
Yahoo!のコメントの中には、「発見したボランティアが怪しい」と誘拐犯扱いをする誹謗中傷も目立ちました。行方不明から約2年7カ月が経過してもなお、善意で捜索した人を何の証拠もなく疑うなど言語道断です。
そもそも、警察や消防等よりも先にボランティアが発見する事例は珍しいことではありません。最も有名なのは、「スーパーボランティア」と呼ばれている大分県の尾畠春夫氏が、2018年8月に山口県周防大島町で行方不明になった当時2歳の男児を発見した事例でしょう。のべ600人の捜索隊が2日半かけて発見できない中で、尾畠氏はわずか約30分で男児を見つける快挙を成し遂げました。
それだけではありません。2016年12月、大分県佐伯市で2歳の女児が行方不明になったケース(西日本新聞、2016年12月7日付)でも、ボランティアが警察等の捜索区域外の山道を登って女児を発見しています。
また、2021年10月、岐阜県岐阜市の百々ヶ峰(どどがみね)で6歳の男児が行方不明になった際、報道を見て駆けつけた登山グループの6人が夜間も捜索を続けて、無事発見した事例(岐阜新聞、2021年10月28日付)もありました。
さらに、山梨県道志村の件と同様、捜索の打ち切り後にボランティアが発見した事例もあります。2020年10月、富山県在住50代の男性が、石川県の白山で遭難死したケースです。遭難者と当日朝すれ違った京都市の男性が、捜索打ち切りのニュースを聞き、再び現地に戻って捜索をしたところ、遭難者の遺体を発見しました。
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