メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

山梨県道志村の人骨は、なぜ警察よりもボランティアが先に発見できたのか

頼れるボランティアを「戦力」にするために必要なこと

勝部元気 コラムニスト・社会起業家

「プロの警察>アマチュアのボランティア」ではない理由

道路脇の急斜面をのぞき込むボランティア=2019年9月28日、山梨県道志村拡大小倉美咲さんが行方不明になった直後、道路脇の急斜面をのぞき込むボランティア=2019年9月28日、山梨県道志村

 一般的には、プロである警察等に比べてアマチュアであるボランティアの捜索能力は劣ると思われていますが、このように、彼らの捜索能力も侮ることはできません。その理由は、主に以下のような要素が考えられます。

(1)捜索における不確実性の高さ
 日頃の訓練の積み重ねが活きる「救助」と異なり、「捜索」は不確実性が高く、訓練した者のほうが結果を出せるとは必ずしも限らない。そのため救助では「戦力」になり得なくとも、捜索の場合は素人でも活躍できる余地が十分にある。

(2)機動性の高さ
 警察や消防は様々な場面を想定した救助の訓練をしている一方で、ボランティアに参加する登山経験者や猟師等の一部は、山での体づくりや地形の読み取りに特化している。それゆえ、「山中を機動的に動く」というスキルが、平均的な警察・消防関係者より高い人もいる。

(3)単独行動のメリット
・現場の状況(地形等)にあわせた臨機応変な判断が可能であり、山に慣れていれば、効率的に動くことができる場合がある。
・行動計画を立てるリーダーの判断ミスや予断、思い込みが全体に影響を及ぼすという、団体行動にありがちなデメリットが無い。

(4)時間外・期間外の捜索が可能
・警察、消防等の山中での捜索は、基本的にリスクの低い日中のみの行動が多いのに対して、夜間や早朝に行動をすれば、効率は落ちるものの長時間の捜索が可能になる。
・警察・消防等の捜索は期間が限定されていることが多いのに対して、執念があればその終了後も個人的に捜索できる。

尾畠春夫氏に先を越された捜索隊の判断ミス

 ちなみに、ボランティアが活躍した背景には、警察側のミスがあったように思われる場合もあります。たとえば、周防大島町のケースでは、当時のテレビ中継を見たところ、捜索隊が長い棒で水の中をつついていました。つまり、生きている可能性に加えて、男児が既に亡くなっている前提での捜索も同時に行っていたのです。

 これは間違ったリソースの分散ではないでしょうか。

・・・ログインして読む
(残り:約2894文字/本文:約4805文字)

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

勝部元気

勝部元気(かつべ・げんき) コラムニスト・社会起業家

1983年、東京都生まれ。民間企業の経営企画部門や経理財務部門等で部門トップを歴任した後に現職。現代の新しい社会問題を「言語化」することを得意とし、ジェンダー、働き方、少子非婚化、教育、ネット心理等の分野を主に扱う。著書に『恋愛氷河期』(扶桑社)。株式会社リプロエージェント代表取締役、市民団体パリテコミュニティーズ代表理事。所有する資格数は71個。公式サイトはこちら

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

勝部元気の記事

もっと見る