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お寺の経営学──経理を「解剖」してみると……

[17]求められる経営のスリム化と経理の公開

薄井秀夫 (株)寺院デザイン代表取締役

お寺にも求められる経営視点

 以前、私は、宗教界の専門誌の記者をしていたが、ある住職に取材を申し込もうとして、「お寺の運営についてお話を聞きたいのですが」と電話をしたところ、「お寺は経営するものじゃない、宗教を何だと思っているのだ!」と、叱責されたことがある。

 「経営」という言葉に拒絶反応を示す僧侶がいることは予想していたので、「運営」という言葉を使ったのだが、残念ながら小手先の策は通じず、かなりご立腹であった。仏教界で、「経営」という言葉を使うと、不謹慎と受けとめられてもやむを得ないのである。

 私はその後、お寺の運営コンサルティング会社を設立し、今年で15年がたつが、今では「経営」という言葉を使って、マイナスの反応があることはだいぶ少なくなった。会社設立当初は、多少の反発があったが、次第にそうした意見は減り、今では「経営」について関心のある僧侶のほうが多いと感じる。

 お寺は法人である以上、経営は大切なことである。もちろん、収益事業ではないので利益至上主義は好ましくない。ただ人に満足してもらって、お金をいただく、という仕組みは、企業と変わらない。何よりお金がなくては宗教活動はできない。そこに経営的な視点を欠かすことはできないのだ。

/Shutterstock.com拡大Radu Razvan/Shutterstock.com

 一方、お寺という宗教法人が、どのように運営されているのかは、一般生活者にとってはとてもわかりにくい。宗教法人には、収支計算書を作成することが義務づけられており、檀信徒に公開しているお寺もあるようだが、その数は少ないのが現実である。

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筆者

薄井秀夫

薄井秀夫(うすい・ひでお) (株)寺院デザイン代表取締役

1966年生まれ。東北大学文学部卒業(宗教学専攻)。中外日報社、鎌倉新書を経て、2007年、寺の運営コンサルティング会社「寺院デザイン」を設立。著書に『葬祭業界で働く』(共著、ぺりかん社)、 『10年後のお寺をデザインする――寺院仏教のススメ』(鎌倉新書)、『人の集まるお寺のつくり方――檀家の帰属意識をどう高めるか、新しい人々をどう惹きつけるか』(鎌倉新書)など。noteにてマガジン「葬式仏教の研究」を連載中。

※プロフィールは、論座に執筆した当時のものです