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シェイン・マガウアンのパンク精神──酒と生きてきた男の半生

印南敦史 作家、書評家

アイリッシュ・パンクの創始者

 世代的に、3つの音楽ジャンルの黎明期と立ち会ってきた。パンク、レゲエ、そしてヒップホップだ。

 これらに共通するのは、すべてがカウンター・カルチャーであるということ。マスをターゲットにしたポップ・カルチャーとは対極にあるからこそ、未成熟だった自分の感性に響いたのではないかと感じているのだ。同世代で、似たようなことを感じていた方は決して少なくないだろう。

 そして、(いささか極論ではあるのだが)とくにパンクを通ってきた人には、もうひとつ共通点があるのではないかと思っている。すなわち、「ザ・ポーグスを体験してきたか否か」だ。

 アイルランドを出自とするこのバンドのあり方は、本当の意味でパンクそのものだったからである。しかもそれは、ケルト音楽とパンクをミックスさせた“アイリッシュ・パンク”としての音楽性だけを指しているわけではない。中心人物であり、オリジナリティの塊でもあるシンガーのシェイン・マガウアンの存在自体が、まさにパンクそのものなのだ。

 彼の半生を追ったジュリアン・テンプル監督作品『シェイン 世界が愛する厄介者のうた』を観て、改めてそう実感した。テンプルはパンク・ムーヴィーの古典である1979年作品『セックス・ピストルズ/グレート・ロックンロール・スウィンドル』で知られる音楽ドキュメンタリーの巨匠だが、これもまさに彼にしか撮ることのできなかった作品だといえる。

『シェイン 世界が愛する厄介者のうた』 6月3日(金)より、東京・渋谷CINE QUINTOほか全国順次公開 配給:ロングライド © The Gift Film Limited 2020拡大『シェイン 世界が愛する厄介者のうた』 6月3日(金)より、東京・渋谷のCINE QUINTOほか全国順次公開 配給:ロングライド © The Gift Film Limited 2020

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筆者

印南敦史

印南敦史(いんなみ・あつし) 作家、書評家

1962年、東京生まれ。広告代理店勤務時代に音楽ライターとなり、音楽雑誌の編集長を経て独立。「ダ・ヴィンチ」「ライフハッカー(日本版)」「東洋経済オンライン」「ニューズウィーク日本版」「サライ.JP」「WANI BOOKOUT」など、紙からウェブまで多くのメディアに寄稿。著書に『世界一やさしい読書習慣定着メソッド』(大和書房)、『人と会っても疲れない コミュ障のための聴き方・話し方』(日本実業出版社)、『書評の仕事』 (ワニブックスPLUS新書)など多数。新刊に『遅読家のための読書術──情報洪水でも疲れない「フロー・リーディング」の習慣』(PHP文庫)、読書する家族のつくりかた──親子で本好きになる25のゲームメソッド』(星海社新書)。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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