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瀬奈じゅんインタビュー(上)

世界20か国以上で上演される名作『黄昏』 家族の絆を探る物語に再び出演

大原薫 演劇ライター


 世界20か国以上で上演され、ヘンリー・フォンダ、ジェーン・フォンダ、キャサリン・ヘプバーンの共演で映画化もされた名作『黄昏』が上演中だ。

 物語の舞台はアメリカ・メイン州。美しい湖ゴールデン・ポンドの岸辺の別荘でひと夏を過ごす老夫婦のエセル(高橋惠子)とノーマン(石田圭祐)の元に、長年疎遠だった娘チェルシー(瀬奈じゅん)が恋人ビル(松村雄基)とその息子ビリー(林蓮音)とを連れて訪れる。美しい自然の中で、ときに傷つけ合い、いたわり合いながら、家族の絆を探る物語。

 娘チェルシーを演じる瀬奈じゅんに話を聞いた。元宝塚歌劇団月組男役トップスターで宝塚退団後はミュージカル、ストレートプレイ、映像と幅広く活躍する。ナチュラルに心を震わせる演技で定評がある瀬奈にとって、2020年上演に続いて2度目の『黄昏』出演となる。

皆さんの演技に説得力がさらに増しているのを感じます

瀬奈じゅん=岩田えり 撮影拡大瀬奈じゅん=岩田えり 撮影

――2020年公演に続いて『黄昏』の出演が決まって、どう感じましたか?

 再び共演者の皆様にお会いできるという喜びと、『黄昏』という素敵な世界にまた浸れるということが嬉しく感じました。

 実は2020年の公演はコロナ禍が始まった頃で「もしかしたら千穐楽が上演できないかもしれない」という状況の中で、無事千穐楽まで上演することができたんです。それから2年たって、皆さんの中にも私自身にもいろいろな思いがあったと思います。今稽古をしていて、先輩方に対してこういうことを言うのは失礼ですが、皆さんの役としての説得力がさらに増しているのを感じます。私にとっては大きな刺激になっていますね。

――コロナ禍の中で過ごした2年は皆さんにとっても特別な時間だったのでしょうね。

 自分自身もそうですが、この2年で舞台を上演することの意味や「家族とは?」「一番大切なものは何だろう」などと考えたのではないかと思います。それが良い意味で作用している気がします。

瀬奈じゅん=岩田えり 撮影拡大瀬奈じゅん=岩田えり 撮影

――初出演から2年を経て、『黄昏』という作品に対する考え方が変わった?

 そうですね。前回の『黄昏』が終わって半年後に父が他界したんです。『黄昏』は父親と娘の小さい頃からの確執が少しずつ解消されていく内容ですが、前回『黄昏』に出演していなかったら父が亡くなるまでの半年間に娘として素直になれないでお別れになってしまったかもしれない。『黄昏』を経験したことによって「ああ、今は素直になるときだな」と思えたので、私としては心残りなく父をお見送りすることができました。『黄昏』を経験したことが自分の中で感じることが変わったんですね。

 今回稽古をしていて感じるのは、チェルシーが結婚して親になるため、そして子どもを卒業するためにゴールデン・ポンドの別荘に来たんだなということ。これは前回にはなかった感覚です。前回も家族との夏のひとときを心地よく過ごすとか父親と仲直りするとかいう単純なことを考えていたわけではありませんが、今回は子どもを卒業するためにやって来たんだという感覚が強くて。子どもの時からの思いをすべて父親に打ち明けて、フラットになるというところに重きを置こうかなという心境に変わりました。

◆公演情報◆
舞台『黄昏』
プレビュー:2022年6月4日(土) 江東区文化センター ホール【終了】
大阪:2022年6月8日(水)~9日(木) 枚方市総合文化芸術センター 関西医大 小ホール【終了】
兵庫:2022年6月11日(土)~12日(日) 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
金沢:2022年6月14日(火)~15日(水) 北國新聞赤羽ホール
愛知:2022年6月18日(土)~19日(日) 穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホール
東京:2022年6月21日(火)〜26日(日) 紀伊國屋ホール
長野:2022年7月9日(土) 長野市芸術館 メインホール
公式ホームページ
[スタッフ]
作:アーネスト・トンプソン
翻訳:青井陽治
演出:鵜山 仁
音楽:藤原道山
[出演]
高橋惠子
瀬奈じゅん、松村雄基
石橋徹郎、林蓮音(Jr.SP/ジャニーズJr.)
石田圭祐
〈瀬奈じゅんプロフィル〉
 1992年宝塚歌劇団入団。2005年『JAZZYな妖精たち/REVUE OF DREAMS』で月組トップスターに就任。2009年『ラスト プレイ/Heat on Beat!』で宝塚歌劇団を退団。退団後は、舞台を中心に映像作品にも活躍の場を広げる。最近の主な舞台出演作品は、『カーテンズ』、『検察側の証人』、『ブロードウェイと銃弾』『現代能楽集Ⅹ『幸福論』~能「道成寺」「隅田川」より』、『ラ・マンチャの男』など。2012年に菊田一夫演劇賞 演劇賞、岩谷時子賞 奨励賞をW受賞。
瀬奈じゅん公式ホームページ

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筆者

大原薫

大原薫(おおはら・かおる) 演劇ライター

演劇ライターとして雑誌やWEB、公演パンフレットなどで執筆する。心を震わせる作品との出会いを多くの方と共有できることが、何よりの喜び。ブロードウェー・ミュージカルに惹かれて毎年ニューヨークを訪れ、現地の熱気を日本に伝えている。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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