メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

〈考える〉と〈悩む〉にもみくちゃにされる私たちにできることは

アメリカで痛感した〈観察する〉ことのポテンシャル

古川日出男 小説家

〈悩む〉か〈考える〉か、見極めるために〈観察する〉

拡大Ihnatovich Maryia/shutterstock.com

 ところで、私たちは〈考える〉ことと〈悩む〉ことがこんなにもゴチャッとなってしまったパンデミックの時代に、考えてもしかたがないことに結論を出すために〈観察する〉という行為にしばしば熱をあげた。

 たとえば、今年の5月20日に、日本政府はマスク着用に関して新たな見解を示し、「屋外で、人との十分な距離がとれていれば、マスクを着ける必要はない」と説明したのだけれど、その条件を満たした人びとがこの日以来みなマスクを外したかといえば、1週間、10日と過ぎてもそうはなっていない。

 何をしているのかと言えば、「他の人はどうするんだろう?」「みんなはどんな態度を取るのだろう?」と周囲をうかがっている。

 そうなのだ。私たちはしょっちゅう、観察をしている。それがパンデミックの時代に突入してから顕著になった集団的行動だ。

・・・ログインして読む
(残り:約2857文字/本文:約4155文字)

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

古川日出男

古川日出男(ふるかわ・ひでお) 小説家

1966年生まれ。1998年、長篇小説『13』でデビュー。『アラビアの夜の種族』(2001年)で日本推理作家協会賞と日本SF大賞を受賞。『LOVE』(05年)で三島由紀夫賞、『女たち三百人の裏切りの書』(15年)で野間文芸新人賞、読売文学賞。他に『サウンドトラック』(03年)、『ベルカ、吠えないのか?』(05年)、『聖家族』(08年)、『南無ロックンロール二十一部経』(13年)など。11年、東日本大震災と原発事故を踏まえた『馬たちよ、それでも光は無垢で』を発表、21年には被災地360キロを歩いたルポ『ゼロエフ』を刊行した。『平家物語』現代語全訳(16年)。「群像」で小説『の、すべて』連載中。「新潮」(2022年4月号)に戯曲『あたしのインサイドのすさまじき』を発表した。新刊『曼陀羅華X』(新潮社、3月15日刊行)。音楽、演劇など他分野とのコラボレーションも多い。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

古川日出男の記事

もっと見る