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ソウル版『熱海殺人事件』への石丸謙二郎の貢献

韓国で再び舞台演出を④

長谷川康夫 演出家・脚本家

ソウルで「おい石丸、やってみろ!」

 しかし4、5日して帰ってきた石丸の話に、僕は驚く。芝居は、在日韓国人の刑事が祖国にやって来ることから始まる、ソウル警察を舞台にしたものではなく、オリジナルのまま、東京警視庁での日本人による物語に戻っていたというのだ。

 そのあたりの経緯は『娘に語る祖国』の中でも書かれているが、結局、韓国当局からの許可が下りなかったのである。

 ただし石丸によると、その時点で稽古は問題なく行われていて、上演に差し障りはないということだった。

 今になって確認すると、このとき石丸の韓国行きは、我々の劇団で制作を務めていた菅野重郎を通して、つかから急に依頼されたものだという。

 「その頃、週一のナレーションの仕事があるだけでヒマだったから、簡単に行けたんだよな」

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筆者

長谷川康夫

長谷川康夫(はせがわ・やすお) 演出家・脚本家

1953年生まれ。早稲田大学在学中、劇団「暫」でつかこうへいと出会い、『いつも心に太陽を』『広島に原爆を落とす日』などのつか作品に出演する。「劇団つかこうへい事務所」解散後は、劇作家、演出家として活動。92年以降は仕事の中心を映画に移し、『亡国のイージス』(2005年)で日本アカデミー賞優秀脚本賞。近作に『起終点駅 ターミナル』(15年、脚本)、『あの頃、君を追いかけた』(18年、監督)、『空母いぶき』(19年、脚本)などがある。つかの評伝『つかこうへい正伝1968-1982』(15年、新潮社)で講談社ノンフィクション賞、新田次郎文学賞、AICT演劇評論賞を受賞した。20年6月に文庫化。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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