メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

『三姉妹』の主演ムン・ソリが語る「既婚女性たちの痛みの共有」

「私たちの娘が大人になるころには、家父長制度も暴力もない世界になっていてほしい」

二ノ宮金子  フリーライター

連帯した三姉妹を演じた私たちの願い

©2020 Studio Up. All rights reserved.拡大©2020 Studio Up. All rights reserved.
©2020 Studio Up. All rights reserved.拡大©2020 Studio Up. All rights reserved.

──家父長制度の犠牲者でもあった姉妹たちは、大人になった今も生きづらさを抱えて暮らしています。本作は、韓国社会の問題を描き出しながらも、シスターフッドとしての視点を持った映画でもありますね。

ムン・ソリ 仮にお互いのことが好きでなかったとしても、心の痛みを分かり合えるということはとても大きいと思います。この3人ももしかしたら、お互いに嫌いな面を持っているのかもしれませんが、それぞれの心の痛みは理解しています。その痛みの共有があるからこそ、この三姉妹は連帯できたのでしょう。でもそれは、姉妹に限らずほかの人でも言えることだと思います。最近では、#MeToo運動も盛んになってきていますし、そういう連帯ができるというのは、やはりお互いを理解しあっているからだと思います。

 長女ヒスクを演じたキム・ソニョン、三女ミオクを演じたチャン・ユンジュと私は、娘を持つ母親でもあります。私たちの娘が大人になるころには、家父長制度がなくなり、暴力の残骸もない──そんな世界になっていてほしい。これは三姉妹を演じた私たちの願いです。

©2020 Studio Up. All rights reserved.拡大©2020 Studio Up. All rights reserved.

──本作では、主演と共同プロデュースという二足の草鞋を履かれていますね。俳優だけでなくプロデュースも行った経緯を教えてください。

ムン・ソリ 最初は出演者としてお話をいただきました。その時点で、あったのは脚本だけで、映画への出資も決まっていませんでしたし、スタッフのことも含めて何もかもが決まっていない状態でした。脚本には心動かされましたから、イ・スンウォン監督やキム・サンスプロデューサーと、どんな方法でどんなふうに撮ったらいいのかということを一緒に考えました。

 そうしているうちに、「こういうふうに一緒に参加して考えてくれるのはプロデューサーの役割だから、共同プロデューサーとして名を連ねるのはどうでしょう?」というご提案をいただいて。俳優としてプロデューサーも担うというのはなかなかできないことですから、貴重な機会だと思ってお受けしました。でも、本当のところは私がちょっと気弱だったからお願いしやすかったのかもしれません(笑)

──プロデューサーとしての苦労はありましたか。

ムン・ソリ 出資が決まって撮影に入るまでに2年くらいかかったので、その間、本当にたくさんの話し合いをしましたし、それは撮影に入ってからも公開後も続きました。少なくとも3年間はあれこれと、お互いに自分の考えていることも忌憚なく話していたことになります。

 たとえばエンディングのシーンも6回くらい撮影場所が変わっています。最終的には海になりましたが、山に行ってみたり、野原に行ってみたり。イ・スンウォン監督もキム・サンスプロデューサーも常にオープンマインドだったので、どんなアイデアを出してもどんな話をしてもよく耳を傾けてくれました。私たちの中には1ミリの壁もなく、いろんなことが自由に話し合えました。『三姉妹』は本当にたくさんの過程を経てできあがったのです。

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

二ノ宮金子

二ノ宮金子 (にのみや・きんこ) フリーライター

カルチャー雑誌などの編集者、ライターを経て、フリーに。映画、本、食、温泉などを中心に執筆。関心領域は、貧困、不登校、子どもの病気なども。主な資格に、美容師免許、温泉ソムリエ、サウナ・スパ健康アドバイザーなど。ツイッターは、 https://twitter.com/kinko_ninomiya

※プロフィールは、論座に執筆した当時のものです