勝部元気(かつべ・げんき) コラムニスト・社会起業家
1983年、東京都生まれ。民間企業の経営企画部門や経理財務部門等で部門トップを歴任した後に現職。現代の新しい社会問題を「言語化」することを得意とし、ジェンダー、働き方、少子非婚化、教育、ネット心理等の分野を主に扱う。著書に『恋愛氷河期』(扶桑社)。株式会社リプロエージェント代表取締役、市民団体パリテコミュニティーズ代表理事。所有する資格数は71個。公式サイトはこちら
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
ジェンダーレスという考え自体を組織のルールにしよう
男女で分けている身だしなみに関するルールやマナーを見直す「ジェンダーレス化」の動きが、職場や学校で少しずつ始まっています。
たとえば、女性にヒール・パンプスを強制するルールの見直しを求めた#KuTooムーブメントが盛り上がったことで、いくつかの企業が実際に撤回したことはその代表例です。
就活シーンにおいても、女性のノーメイク禁止等、男女で異なるマナーを指南する「就活セクシズム」が蔓延していますが、批判の高まりを受けて、一部の就活大手やスーツ大手は見直しを始めています( 「マイナビ、青山ら大手が就活マナー刷新。「男女別」「化粧・パンプス強要」は「時代に合わない」」Business Insider Japan、2022年6月14日)。
これらの動きは、俳優・アクティビストの石川優実氏や任意団体SSS(Smash Shukatsu Sexism)によるソーシャルアクション(署名活動・改善要望活動等)に対する賛同の声が多くなったことから始まりました。彼等の果たした役割は非常に大きかったと言えるでしょう。
企業が自主的にルールを変更する動きも出てきました。たとえば、KDDIは2019年に服装規程を見直し、性別によって服装を指定しない内容へと変更しています(「KDDIが社員の服装規定を廃止。「男性だからスーツ」の固定観念を見直し」 Business Insider Japan、2019年11月1日)。
制服の着用を義務付けている企業でも、男女統一のデザインに変更するケースもあります。たとえば、茨城県のローカル私鉄・関東鉄道は、2022年2月に、制服を男女統一のデザインに変更しました。
学校でも、性自認に関係なく、スラックスかスカートを自由に選択できるようにして、制服着用ルールのジェンダーレス化の動きがあります。また、東京・墨田区のメーカーが男女同じデザインのスクール水着を開発・販売したところ、インターネット上で大きな話題になりました。
このように性別を分けない服装に対するニーズが、近年顕在化していると言えるでしょう。
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