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仏壇に未来はあるのか?

[18]死者とともに暮らすという文化の衰退

薄井秀夫 (株)寺院デザイン代表取締役

廃れつつある仏壇

 仏壇が家にあるという家庭は、減少の一歩をたどっている。

 日本人の仏壇の保有率について、第一生命経済研究所が2012(平成24)年に調査しているが(「宗教的心情としきたりの関連」)、仏壇が「ある」と答えた人が46.7%、子どもの頃に「あった」と答えた人が66.2%だった。

 その後も、仏壇仏具関連業者などによる複数の調査があるが、ほとんどが40%前後の普及率となっている。

 また経済産業省の工業統計調査によると、1997(平成9)年に855億4200万円だった宗教用具製造業の市場規模が、2019(令和元)年には183億3000万円まで縮小している。

 仏壇という文化は、少しずつではあるが、廃れていっていると言わざるを得ない。

売れ筋のシンプルな仏壇。名古屋仏壇のような華やかな装飾がなく、職人の技術が発揮できないとされる=2021年11月11日午後1時37分、名古屋市中区大黒屋仏壇店拡大華やかな装飾がないシンプルな仏壇が売れ筋だという=名古屋市の大黒屋仏壇店

 仏壇を置く家が減った理由としてまず挙げることのできるのが、住宅事情である。

 特に、新しく建てた住宅の中には、和室が無いことが多く、それが仏壇を置きにくい原因となっている。また、マンション住まいだったり、一戸建てに住んでいても小規模だったりして、仏壇を置くスペースそのものが無いということも少なくない。

 住環境が、仏壇を置くことを許さないということである。

 もうひとつの理由は、3世代同居が無くなりつつあるということだ。

 仏壇を守る役割は、家族の中で年齢の高い人が担うのが一般的である。祖父母、息子夫婦、孫がいっしょに暮らす家であれば、祖父もしくは祖母が仏壇を守っていた。次の世代は、それを見ながら仏壇に馴染みつつ、仏壇の大切さを学んできたのである。

 ところが核家族化が進むと、祖父母の家と、その息子夫婦と孫の家は別々となり、若い世代の家には仏壇が無くなる。つまり仏壇の無い家が生まれるということである。

 それを何世代か繰り返すことで、仏壇が無いのが当たり前ということになっていくのだ。

 そしてもうひとつ、そもそも仏壇を必要と感じていない人が増えていることがある。なぜ、わざわざ高い費用をかけて、大きな仏壇を部屋に置かなければならないのか、ということだ。そうなると、新しく仏壇を買おうという人が減っていくのは、自然な流れと言わざるを得ないのである。

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筆者

薄井秀夫

薄井秀夫(うすい・ひでお) (株)寺院デザイン代表取締役

1966年生まれ。東北大学文学部卒業(宗教学専攻)。中外日報社、鎌倉新書を経て、2007年、寺の運営コンサルティング会社「寺院デザイン」を設立。著書に『葬祭業界で働く』(共著、ぺりかん社)、 『10年後のお寺をデザインする――寺院仏教のススメ』(鎌倉新書)、『人の集まるお寺のつくり方――檀家の帰属意識をどう高めるか、新しい人々をどう惹きつけるか』(鎌倉新書)など。noteにてマガジン「葬式仏教の研究」を連載中。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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