大原薫(おおはら・かおる) 演劇ライター
演劇ライターとして雑誌やWEB、公演パンフレットなどで執筆する。心を震わせる作品との出会いを多くの方と共有できることが、何よりの喜び。ブロードウェー・ミュージカルに惹かれて毎年ニューヨークを訪れ、現地の熱気を日本に伝えている。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
兄妹の哀歓を全編宮崎弁で届ける
――浜谷さんと山﨑さんは兄妹の間柄を演じるのはいかがでしょうか。
浜谷:2人の関係がとても大事になってくるだろうなというのは感じていますが、まだ表現できていない部分がいっぱいあるから、これからどんどん関係を作っていきたいですね。
山﨑:そうですね、この作品では徐々に気持ちが変わっていくタイミングというのがあって、いろいろな人との関わりで兄に対する感情がちょっとずつ変わっていくんです。そこはこれから詰めていきたいですね。
松本:今は浜谷さんに稽古の比重がかかっているから、浜谷さんがクリアしてくれると他の人も変わってくると思う。
浜谷:ここで駄目出しされるとは(笑)!
松本:あははは。まあ、まだこれからですよね。
――兄からすると、母をずっと心配させていた妹が東京に行ったきりで、母が亡くなってやっと帰ってきたという気持ちになっている。でも、妹からすれば兄や母親に対してまた別の感情があるわけで……。この作品に描かれる兄妹の関係を理解できますか。
山崎:私の姉と弟は大阪にいて、私一一人で東京に出てきたんですが、とても仲良しな家族で育ったんですよ。だから、家族の縁を切ったという友達の話を聞いても、なかなか想像がつかなくて。ぬるま湯につかって育ってきたので(笑)、実感はしていないから、菜々と伸夫の関係は想像しないといけないなと思っています。
――だんだん理解できるようになってきましたか?
山﨑:4割ぐらい……(笑)。
松本:浜谷さんが宮崎弁をマスターしている割合くらいですね(笑)。
浜谷:僕は弟がいるんですが、弟は出来がいいんですよ。僕が役者をやっていて弟は苦労をして医大に合格したんですが、「俺はレールに乗ったから、あとはお前だ」という電話がかかってきた。だから、出来の良い弟に嫉妬するみたいな気持ちがありましたね。
松本:親御さんも医者なの?
浜谷:いや、違います。弟とも決して仲が悪いわけではないけれど、「お兄ちゃんはどうなの」という親の無言のプレッシャーを感じるというか。うちは両親が健在ですが、もし亡くなったときにどんなことが起きるのか、想像ができるなと思う。僕は役者で芽が出なくて、弟は医学部浪人していたんですが、母ちゃんが言った一言は「うちは宝くじを2枚買ってる、どっちかが当たればでかい」って(笑)。すごい母ちゃんだなと思って。
◆公演情報◆
BOND52 VOL.1小松台東BONDゴツプロ!『山笑う』
2022年7月7日(木)〜17日(日) 下北沢小劇場B1
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[スタッフ]
作・演出:松本哲也(小松台東)
[出演]
山﨑静代(南海キャンディーズ)、野々村のん(青年座)、平岡亮
浜谷康幸(ゴツプロ!)、塚原大助(ゴツプロ!)、渡邊聡(ゴツプロ!)
〈松本哲也プロフィル〉
宮崎から上京し、日本映画学校・俳優科へ。卒業後、東京での生活に挫折し宮崎に帰郷。しかし故郷でも挫折し、再び東京に戻る。2010年に重い腰を上げてようやく劇団・小松台東を旗揚げした。近年は舞台だけでなく、テレビ脚本なども手がけている。
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〈山﨑静代プロフィル〉
2003年、山里亮太(山ちゃん)に誘われ、「南海キャンディーズ」を結成。ボケ担当。2006年の映画『フラガール』で本格的に女優デビュー。演技面も評価され、第30回日本アカデミー賞では新人俳優賞を受賞。2008年にはドラマで主演を果たす。
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〈浜谷康幸プロフィル〉
ゴツプロ!所属。次世代への橋渡しとして立ち上げた、演劇を創る過程を学ぶプロジェクト「ゴツプロ!演劇部」部長を務める。ゴツプロ!公演以外にもふくふくやや『続・まるは食堂』(作・演出:佃典彦)、『莫逆の犬』(作:田村孝裕、演出:寺十吾)など多数の舞台に出演。ドラマや映画にも出演し、舞台演出を手がけるなど多方面で活躍。
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