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カルトと政治家の癒着に「激甘」な人たちが増殖した背景にあるのは……

権力ある者の不適切性を過小評価する「ゆるふわ権威主義」

勝部元気 コラムニスト・社会起業家

 安倍晋三元首相が銃殺される事件が日本中を震撼させました。遺族、身近な人々、熱狂的だった支持者等が悲しみに打ちひしがれているのは当然のことと思います。

 ですが、日本に住む私たちが社会全体として最優先にやらなければならないことは、同じような事件を二度と起こさないようにすることでしょう。安倍氏の死をお涙頂戴的ナラティブに仕立て上げて消費したり、「自分が遺志を継ぐ!」という類の発言をする政治家に後継者の役割を期待するだけでは、再発を徹底的に防ぐことはできません。

 そのためには、単に警備体制の改善だけではなく、凶行の背景には何があったのか、正確に分析しなければなりません。当然のことですが、それは決して「殺人の動機に正当性を与えよう」というものではなく、凶行につながりかねない蓋然性を見つけ出し、対策を打っていくことで、「社会の土壌を凶行が起きないものへと変えていこう」という意味です。

家庭連合に怨恨を抱くのも無理はない

送検のため奈良西署を出る山上徹也容疑者=2022年7月10日午前8時59分、奈良市
拡大送検のため奈良西署を出る山上徹也容疑者=2022年7月10日、奈良市

 既に多々報じられているように、安倍氏を撃った山上徹也容疑者は、母親が宗教団体の世界平和統一家庭連合(旧統一教会)へ献金を繰り返し、破産し、家庭が崩壊したため、家庭連合と関係が深いと感じた安倍元首相を狙った旨の供述をしているようです。

 2022年7月12日に記者会見を開いた「全国霊感商法対策弁護士連絡会」によると、2021年までの約35年間で消費生活センターなどが受けた家庭連合関連の相談は3万4537件、被害額は約1237億円に上るそうです(朝日新聞、「旧統一教会に絡む被害相談、いまも 弁護士ら会見 元2世信者も同席」2022年7月12日)。

 旧統一教会には勧誘などに関する違法判決も度々くだされていることから、カルト(反社会的行動を繰り返す宗教団体)だと断定しても差し支えないでしょう。私のまわりでも家庭連合をめぐってトラブルになっている知人がおり、非常に悪質な組織だと常々感じていました。山上容疑者の供述や周囲の証言についての報道から判断すれば、家庭連合に怨恨を抱くのも無理がないように思います。

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筆者

勝部元気

勝部元気(かつべ・げんき) コラムニスト・社会起業家

1983年、東京都生まれ。民間企業の経営企画部門や経理財務部門等で部門トップを歴任した後に現職。現代の新しい社会問題を「言語化」することを得意とし、ジェンダー、働き方、少子非婚化、教育、ネット心理等の分野を主に扱う。著書に『恋愛氷河期』(扶桑社)。株式会社リプロエージェント代表取締役、市民団体パリテコミュニティーズ代表理事。所有する資格数は71個。公式サイトはこちら

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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