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文化交流を再び! 韓国の伝統音楽とジャズを融合させたライブをやります!

ミン・ヨンチ ミュージシャン 韓国伝統音楽家

大事なのは合わそうとする「思い」、日本と韓国も

 さて、日韓交流と言うと、じつはコロナ前も、戦後最悪の日韓関係と言われるなか、こういった文化行事が次々と中止になっていたのはご存知でしょうか。日本では、嫌韓。そして韓国では、日本不買運動。我々は政治に振り回され、それに追い打ちをかけるようにコロナで打撃を食らったわけです。

 しかし、世界中をみてもこれだけ仲のいい隣国はなかなかないと思うのです。豊臣秀吉の文禄・慶長の役、そして1910年の日韓併合から本格的に始まる植民地支配、全て日本から仕掛けたものではありますが、数百年続く日韓の長い温和な歴史を見ると、仲が良い方だと言えます! 負の歴史より、朝鮮通信使など良いことに目を向けて日韓関係を考えるのも、今の時期かなり重要だと思っています。

 実は先日も大阪のとある行事で、お能の大倉正之助(重要無形文化財総合指定保持者、能楽師、囃子方大倉流大鼓)さんと即興ライブをやってきました。

 大倉正之助さんにはもう長い間、お世話になっていて、これまで演奏もたくさんしました。やはり、そのライブでも素敵な時間を過ごすことができました。音階もリズムも違う日本の伝統音楽と韓国の伝統音楽がこれだけ即興で合わせられるのは、不思議なことです。二人の長い付き合いということだけでは、こう上手くいきません。

大倉正之助(重要無形文化財総合指定保持者、能楽師拡大能楽師の大倉正之助さん(右)と筆者=筆者提供
即興ライブを共におこなった大倉正之助さん(右)と筆者=筆者提供拡大即興ライブを共におこなった大倉正之助さん(左)と筆者=筆者提供

 日本と韓国の伝統音楽はリズムや音階が異なります。しかも、どちらも民俗音楽、伝統音楽ですので、民俗が違い、時代も違う。従って、演奏方法、音楽が流れて進んでいく方法も全然違います。どこからどこまでが、一小節なのか? リズムはどのように取るのか? 初めて聞くとたぶん皆さんも分からないでしょう。でも、大事なのは合わそうとする「思い」です。お互いの音に耳を向け、それと協調しようとすれば、その違いは、素晴らしい音と化します。

 なんでもそうですね。

 お互いの違いを認め、尊敬し合うと素晴らしい「調和」が生まれるのです。

 久々に帰った日本の市民たちのコロナ対策の意識は、韓国とほぼ一緒でした。繁華街のお店の数店舗が閉まっていた状況も、残念ながら韓国と似ていました。久々に食べた日本食はおいしかった! そして久々の日本の方々の親切さがうれしかった! 日本の秩序と律義さ! ずっといたら、少し「遅っ」って思う時も出てくるのでしょうが、久しぶりの「日本」は心地よかったな。外国人目線になってました。

 私は日本も韓国も大好きです。

 コロナによって止まってしまった日韓文化交流を、国楽と西洋音楽のジャズを通じて再び活性化させようとします。ハクエイ・キムとミン・ヨンチ、私たちは2014年から積極的な公演活動を行ってきました。韓国固有の旋律とリズムをジャズと融合させた公演で、日韓交流にも貢献してきました。特に日本国内では、東京、大阪、福岡、北海道など20都市をツアー公演し、計3万人の観客を動員したことがあります。そのような私たちが2022年8月、東京と大阪で公演活動を再開しようとします。私たちの活動に多くの関心をお寄せください。


筆者

ミン・ヨンチ

ミン・ヨンチ(閔 栄治) ミュージシャン 韓国伝統音楽家

大阪生まれ。幼少の頃からブラスバンドやドラムを経験し、高校から韓国へ。旧李王朝雅楽部養成所であった国立国楽高等学校に入学、ソウル大学音楽学部国楽科卒。1992年サムルノリ競演大会個人部最優秀賞。1992年国楽室内管弦楽団「スルギドゥン」に入団。1993年スーパー・パーカッション・グループ「PURI」創団メンバー。イ・ムンセ(歌手)のテレビ番組にも出演。現在も韓国伝統音楽とジャンルの違う音楽とのコラボレーションに活動中で、2009年に立ち上げた公演「新韓楽」ではジャズとコラボ―レーションした。日韓両国で数多くの公演。アルバム「HANA」(2015年/ユニバーサルミュージック・ジャパン)をリリース。ライブでは日本全国3万人を動員。国楽管弦楽の作曲にも力を入れ、2014年韓国文化芸術委員会で作曲賞受賞。「大衆に楽しんで聞いてもらえる楽曲作り」を目指す。現在、韓国芸術総合大学、梨花女子大学、秋藝芸術大学講師。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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