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伊原六花インタビュー(上)、ミュージカル『夜の女たち』出演

ミュージカルになることによって新たな魅力が生まれる

橘涼香 演劇ライター

 KAAT神奈川芸術劇場の芸術監督を務める劇作家・演出家・俳優の長塚圭史が手掛ける、自身初となるオリジナルミュージカル『夜の女たち』が、9月3日~19日KAAT神奈川芸術劇場〈ホール〉で上演される(のち、9月24日~25日北九州芸術劇場、9月30日穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホール、10月6日山口市民会館大ホール、10月10日まつもと市民芸術館 主ホール、10月14日~16日兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールで上演)。

 『夜の女たち』は溝口健二監督が1948年に発表した映画。戦後間もない大坂釜ケ崎(今のあいりん地区)を舞台に、空腹と、敗戦と共に押し寄せてきた全く新しい価値観の中で必死に生き抜く女性たちと、その時代を描き、未だ占領下にあった実際の大阪釜ヶ崎で撮影されたことも相まって、まるでドキュメンタリーと錯覚するような当時の空気と人々を映し出されている。

 この映画を長塚圭史がオリジナルミュージカルとして初舞台化。しかも俳優陣の多くがミュージカル初挑戦という、KAAT神奈川芸術劇場が2022年度のメインシーズンのタイトルに掲げる「忘」の幕開けにふさわしい、あらゆる意味で刺激的な作品が展開されていく。

 そんな舞台で江口のりこ演じる大和田房子の義妹、大和田久美子を演じる伊原六花が新たなオリジナルミュージカル誕生に臨む気持ちを語ってくれた。

心情を歌う楽曲が加わることで鮮やかになった時代の空気感

伊原六花=中村嘉昭 撮影拡大伊原六花=中村嘉昭 撮影

──まずこのオリジナルミュージカル『夜の女たち』への出演が決まったときのお気持ちから教えてください。

 長塚さんの演出される舞台にいつか出演できたらと思っていたので、まずそれが叶ったのが嬉しかったです。しかも長塚さんの初ミュージカルに参加できるという嬉しさが加わって、とてもワクワクしています。KAAT神奈川芸術劇場は大好きな劇場なので、そこに立てるという喜びも大きかったです。しかも今まで自分が参加したことがないような作品なので、きっと新しい刺激がいただける、勉強になるだろうという期待と同時に頑張らなければと思っています。

伊原六花=中村嘉昭 撮影拡大伊原六花=中村嘉昭 撮影

──そうしたなかで、作品についての最初の印象はどんなものでしたか?

 日本の、本当にあった時代の話なのですが、今自分が生きている環境とは全く違う状況のなかで、女性が強くならないと生き抜いていけない時代だったと思うんです。それだけに、映画を初めて観た時は「もしいまの自分がこの状況のなかにいたとしたら、どうなってしまうんだろう」と衝撃的でしたし、心が震える作品だなと感じました。観る方が女性か男性かによっても、また生きている時代の状況によっても、見え方や感じ方がかなり変わってくる作品でもあり、何より知らないのはすごくもったいない作品だなと思いました。

──その作品がオリジナルミュージカルになる、ということについてはどうですか?

 初めて映画を観た時には「この作品をどうミュージカルにするんだろう?」と全てが未知でした。でも楽曲を聞いたら、すごくいいな!とシンプルに思って。映画を見ていた時には想像がつかなかった役柄の心情とか、時代の空気感みたいなものがパッと鮮やかになった気がしました。「すごい作品に参加させてもらえるんだ」という気持ちになっています。台本はかなり忠実に映画を踏襲していると感じたのですが、そこに萩野清子さんの音楽が加わることによって、また違う魅力のあるものになると思いました。

伊原六花=中村嘉昭 撮影拡大伊原六花=中村嘉昭 撮影

──映画はあくまでもフィクションの劇映画でありつつも、どこかドキュメンタリーフィルムのように思わせる質感ですよね。

 そうですね、すごくリアリティがありました。この舞台もリアルなところはそのまま描かれているのですが、映画のなかでは登場人物が言葉にはしていない心情みたいなものに、楽曲が寄り添ってくれているものばかりだったので、これは演じる上でもヒントになると思いました。

◆公演情報◆
KAAT神奈川芸術劇場プロデュース
ミュージカル『夜の女たち』
2022年9月3日(土)~19日(月・祝)  KAAT 神奈川芸術劇場 〈 ホール 〉
2022年9月24日(土)~25日(日) 北九州芸術劇場 中劇場
2022年9月30日(金)~10月2日(日) 穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホール
2022年10月6日(木) 山口市民会館 大ホール
2022年10月10日(月・祝)まつもと市民芸術館 主ホール
2022年10月14日(金)~16日(日) 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
公式ホームページ
[スタッフ]
原作:久板栄二郎
映画脚本:依田義賢
上演台本・演出:長塚圭史
音楽:荻野清子
振付:康本雅子
[出演]
江口のりこ 前田敦子/伊原六花 前田旺志郎 北村岳子 福田転球/大東駿介 北村有起哉 ほか
〈伊原六花プロフィル〉
 大阪府出身。幼少期よりバレエやミュージカルを習い、2017 年に登美丘高校ダンス部キャプテンとして「日本高校ダンス部選手権」で披露した“バブリーダンス”が注目を集め、高校卒業後に芸能活動をスタート。『エア☆ガール』、『なつぞら』、『どんぶり委員長』、『明治東亰恋伽』など、数々の映画やドラマ、そして、ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』、『友達』、音楽劇『海王星』など舞台にも出演している。Disney+「シコふんじゃった!」(W主演)が今秋独占配信予定。
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筆者

橘涼香

橘涼香(たちばな・すずか) 演劇ライター

埼玉県生まれ。音楽大学ピアノ専攻出身でピアノ講師を務めながら、幼い頃からどっぷりハマっていた演劇愛を書き綴ったレビュー投稿が採用されたのをきっかけに演劇ライターに。途中今はなきパレット文庫の新人賞に引っかかり、小説書きに方向転換するも鬱病を発症して頓挫。長いブランクを経て社会復帰できたのは一重に演劇が、ライブの素晴らしさが力をくれた故。今はそんなライブ全般の楽しさ、素晴らしさを一人でも多くの方にお伝えしたい!との想いで公演レビュー、キャストインタビュー等を執筆している。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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