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『DOROTHY~オズの魔法使い~』に西の魔女役で出演、凰稀かなめインタビュー(上)

音楽が支配する魔法の国で、オリジナル楽曲の新たな物語が紡がれる

小野寺亜紀 演劇ライター、インタビュアー


 1900年に誕生したライマン・フランク・ボーム作の童話「オズの魔法使い」をベースにした新作ミュージカル『DOROTHY(ドロシー)~オズの魔法使い~』が、東京公演を皮切りに、全国10都市で巡演される。

 作・演出はオペラの演出をはじめ多彩な作品を手掛ける田尾下哲。作曲・音楽監督は舞台音楽家としての活動にとどまらず、多くのヒット曲を世に送り出している宮川彬良。現代のとある国、ヴァイオリニストの一面を持つ大学生のドロシーが、音楽の都「OZの王国」へと迷い込む冒険物語が繰り広げられる。

 主人公ドロシー役は、本作がミュージカル単独初主演となる桜井玲香。かかし役は蒼井翔太と鈴木勝吾のダブルキャスト、ブリキ役は渡辺大輔、ライオン役は小野塚勇人【劇団EXILE】と栗山航のダブルキャスト、オズ役は鈴木壮麻など実力あるキャストが揃った。

 その中で、ポスタービジュアルから妖しい雰囲気を放っているのが、西の魔女役を務める元宝塚歌劇団宙組トップスターの凰稀かなめ。ミュージカル『ウィキッド』でもおなじみの“緑色の顔の魔女”役だが、オリジナル作品の本作は新たな西の魔女像になるという。稽古中の凰稀に本作について、また宝塚卒業後8年目となる心境についてなど話を聞いた。

この作品に携われるだけで幸せです

凰稀かなめ=久保秀臣 撮影拡大凰稀かなめ=久保秀臣 撮影

――もともと『オズの魔法使い』が大好きだったそうですね。

 幼い頃から、ドロシーが「Over The Rainbow」を歌っているあの映画(1939年公開)が好き過ぎて、ビデオテープがすり減るぐらい何度も観ました。当時レンタルビデオ店で1週間その映画を借りて、返したらまたすぐ借りるというのを繰り返すぐらい何度も観てましたね。

――どういうところに惹かれたのでしょうか。

 違う世界へ行ってしまう、夢のような瞬間というのがまずすごく面白かったです。仲間たちと出会い、冒険するというのも観ていて楽しかった。あと悪い魔女が怖すぎるんだけど何度も観てしまうという……(笑)。一番覚えているのが、トト(ドロシーの愛犬)にすごく意地悪なご近所のおばさんが、竜巻のなか自転車に乗っていて、途中から緑の顔の魔女になるところが、子どもながらに釘付けでした。

凰稀かなめ=久保秀臣 撮影拡大凰稀かなめ=久保秀臣 撮影

――今回、凰稀さんが演じられるのがその「西の魔女」役ですね。出演のお話がきたときはいかがでしたか。

 大好きな映画の作品に呼んでいただけたのがすごく嬉しかったです。でも「ドロシーじゃないんだ」と思いました (笑)。

――ドロシーも演じてみたかったですか!?

 ドロシーはみんなの憧れじゃないですか!  あの赤い靴をトントントンと打ち鳴らすのとか。今回私は西の魔女役をさせていただきますが、この作品に携われるだけで幸せだなと思いました。そして役柄から、「顔は緑色にするのですか?」とまず伺い、「緑にはしない」と言われて「よかった!」と。

――そうなんですね(笑)。『DOROTHY~オズの魔法使い~』は、田尾下哲さんが作・演出、宮川彬良さんが作曲・音楽監督を手掛けられる新たなミュージカルです。お稽古に入ってまだ間もないそうですが(取材は7月下旬)、作品の印象は?

 田尾下さんとは初めてご一緒するのですが、オペラの演出もされる方で、「こういう作られ方をするんだ!」と新鮮です。ミザンスといって、形を先にどんどん付けていく、まず人を動かす作業から始められました。オズ役の鈴木壮麻さんが「これはドイツ式なんだよ」と教えてくれて。

凰稀かなめ=久保秀臣 撮影拡大凰稀かなめ=久保秀臣 撮影

――感情よりまず動きから構築していくと?

 はい。田尾下さんの頭の中ではもう出来上がってるんでしょうね。台本に「こういう動きを」と書き込まれたものが、私たち役者のところに送られてくるんです。「この台詞でこっちに動いて」などと、一人ひとり細かく書かれています。私は宝塚時代、だいたい2日、長くても3日で立ち稽古が終わっていたのですが、まだ2幕までたどり着いていないので、かなり丁寧に作られている印象です。田尾下さんと宮川彬良さんの信頼関係が厚いからだと思うのですが、「音楽と動きが合わさるとこうなるんだ!」という発見があり、お二人の世界観がとても合っているのを感じます。顔合わせのとき、スタッフの皆さんの『DOROTHY――』にかける思いの強さがすごいのを感じて、私たちキャスト陣は背筋がピシッと伸びるほどで、「頑張らなきゃ!」と思いました。だから今、お稽古場はとても活気づいています。

◆公演情報◆
ミュージカル『DOROTHY~オズの魔法使い~』
※最新の公演情報はホームページでご確認下さい
東京:2022年8月20日(土)~28日(日) 日本青年館ホール
静岡:2022年9月3日(土)  静岡市清水文化会館マリナート
愛知:2022年9月10日(土)~11日(日) 愛知県芸術劇場大ホール
広島:2022年9月13日(火) 広島文化学園HBGホール
兵庫:2022年9月16日(金)~19日(月・祝) 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
福井:2022年9月21日(水) フェニックス・プラザ
富山:2022年9月23日(金・祝) オーバード・ホール
鹿児島:2022年9月28日(水) 川商ホール・第1(鹿児島市民文化ホール)
福岡:2022年10月1日(土)~2日(日) 久留米シティプラザ ザ・グランドホール
群馬:2022年10月12日(水) 高崎芸術劇場 大劇場
公式ホームページ
[スタッフ]
作・演出:田尾下哲
作曲・音楽監督:宮川彬良
作詞:安田佑子
[出演]
桜井玲香
蒼井翔太・鈴木省吾(Wキャスト)、渡辺大輔
小野塚勇人【劇団EXILE】・栗山航(Wキャスト)
伊波杏樹、横澤菜帆/凰稀かなめ/鈴木壮麻 ほか
〈凰稀かなめプロフィル〉
 2000年に宝塚歌劇団入団、雪組に配属。2011年宙組へ組替えし、2012年にトップスターに就任。2015年に宝塚歌劇団を退団後、舞台・映画・ドラマと幅広く活躍している。2018年に、主演舞台「さよなら、チャーリー」で文化庁芸術祭新人賞を受賞。最近の主な出演作品は、『TARKIE THE STORY』、『MOTHERLAND』、『擾乱 THE PRINCESS OF SNOW AND BLOOD〜陽いづる雪月花編〜』、『ラストダンスは私に〜岩谷時子生誕105年記念〜』など。
★オフィシャルサイト
公式instagram

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筆者

小野寺亜紀

小野寺亜紀(おのでら・あき) 演劇ライター、インタビュアー

大阪府出身。幼い頃から舞台をはじめ、さまざまなエンターテインメントにエネルギーをもらい、その本質や携わる人々の想いを「伝える」仕事を志す。関西大学文学部卒業後、編集記者を経て独立。長年、新聞や雑誌、Webサイト、公式媒体などで、インタビューや公演レポート等を執筆している。特に宝塚歌劇関係の取材は多い。 小野寺亜紀オフィシャルサイト(https://aki-octogreen.themedia.jp/)

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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