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シアター・ドラマシティ30周年記念コンサートで新たなOG公演へ!

『Dramatic City“夢”』麻路さき&稔幸取材会レポート

橘涼香 演劇ライター


 1992年大阪・梅田茶屋町に最先端技術を駆使した劇場として誕生したシアター・ドラマシティ。キャパ898人のこの劇場は、大阪の文化発信地として、宝塚歌劇団公演をはじめとした、数々の名作公演、また時代に切り込んだ作品と、様々なエンターティメントを世に送り出してきた。

 そんなシアター・ドラマシティ開場30周年を記念して、同劇場に縁の深い宝塚OGが集い、懐かしい曲、定番のナンバー、また新たな挑戦の楽曲を散りばめたバラエティ豊かなスペシャルコンサート、シアター・ドラマシティ30周年記念コンサート『Dramatic City“夢”』が9月9、10日東京建物Brillia HALLでの東京公演に続き、9月16日~18日大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティで上演される。

 この祝祭に満ちた公演を率いる、元宝塚歌劇団星組トップスターの麻路さきと稔 幸が7月下旬に取材会を開き、シアター・ドラマシティへの思い出と共に新たな舞台への抱負を語ってくれた。

シアター・ドラマシティだからこそできる挑戦があった

麻路さき(右)と稔幸=橘涼香 撮影拡大麻路さき(右)と稔幸=橘涼香 撮影

──シアター・ドラマシティ30周年公演に向けた思いから聞かせてください。

麻路:OG公演には色々と参加させていただいているなかで、本当に久しぶりにシアター・ドラマシティに出演させていただきます。現役時代にこけら落としから1年以内には出していただいているので、30周年とお伺いしてちょっとびっくりしているのですが、私にとっては、宝塚の本拠地の宝塚大劇場と東京宝塚劇場に次いで、一番多く出演させていただいているのが、梅田芸術劇場メインホールとシアター・ドラマシティです。そうしたすごく思い出の深い劇場で、今までやってきた作品を思い出すような形の作品に出られるのがとても楽しみです。気が付いたら最上級生になっている自分にも驚いたのですが(笑)、初めて一緒に出演する方の中には退団したばかりのOGもいますし、ずっと一緒にやってきたノルちゃん(稔の愛称)とまた一緒にやれるというのもすごく楽しみです。どんな作品になるかはこれから稽古を積むのですが、香盤表(※出演者の出番が書かれている表)を見ただけでワクワクしていますから、是非楽しみに劇場にいらしていただけたらと思っています。

:本当に思い出のあるシアター・ドラマシティの30周年を、皆様と一緒にお祝いできることをとても嬉しく思っています。私も麻路さきさん主演の『Action!』という作品で、初めてシアター・ドラマシティの舞台に立たせていただきました。ドラマシティって独特の作品が生まれる不思議な空間なので、観に行くのも楽しみでしたし、退団後も含めて出演させていただく度に色々な経験ができた劇場ですから、今回もどんな作品が生み出せるのか楽しみにしています。

──ご自身の場面での見どころを教えて下さい。

麻路:現役時代に星組の2番手だったころに出していただいた『ライト&シャドウ』という作品や、トップになってからの『Action!』と、2作品の主題歌を、新しいメンバーにも入ってもらって一緒に歌います。あとは、自分がやりたかった曲はなんですか?という要望を聞いていただけたので、今まであまり挑戦してこなかった歌謡曲、竹内まりあさんの「いのちの歌」を歌わせていただきます。数年前のNHK「紅白歌合戦」で歌詞に大変感銘を受けて以来、いつかチャンスがあったらと思っていたので、それを演出の中村一徳先生にお話したところ、形にしていただけたので、それが私にとって一番の挑戦になります。またそれぞれがこれまでにやってきた場面を、現役時代は組んでいなかった娘役さんと一緒にやるのも楽しみにしています。

:私は星組トップに就任して初めての公演が、このシアター・ドラマシティでの『聖夜物語─クリスマスストーリー』でしたので、その主題歌をまず歌わせていただきます。次に主演させていただいた『Love Insurance』というコメディタッチの作品があったのですが、その中の挿入歌で、宝塚を退団する時のサヨナラショーでも歌った「風」という大好きな曲と、メドレーで名作の数々をたどる場面があるので、私自身は出演していなかった公演の曲も歌わせていただきます。先日初めてお仕事として愛月ひかるさんにお会いしたのですが、退団して間もないまだ現役そのものという彼女や、星組を継いでくれた北翔海莉さんとも初めて舞台でご一緒できるので、麻路さんからつながっていった星組の系譜も辿れるのかなと。時を経て、学年を超えたメンバーとどんなカンパニーとしてまとまれるのかもすごく楽しみにしています。あとはそれぞれが「ラストソング」を選んでいるのですが、私は聞いてのお楽しみと言いますか…。

麻路:ノルちゃんこれでいいの?と思った(笑)。

:(笑)たぶん皆様「ラストソング」には重厚な主題歌をもってこられると思ったので、私は敢えて皆様が幸せになれるような曲を選ばせていただきましたので、お楽しみになさってください。

麻路さき=橘涼香 撮影拡大麻路さき=橘涼香 撮影

──お互いの魅力をどう感じているかを教えてください。

麻路:私は月組から星組に組替であとから入ってきたのですが、ノルちゃんとは新人公演(※初舞台から7年目までの生徒だけで本公演の演目を一日だけ演じる公演)時代から一緒にやってきて、男役同士ですから「コンビ」ではないのですが、コンビ同様にいつも一緒に歩んできました。バウホール公演などでは、別々のチームになることもありましたが、私自身が思い出に残っている公演では、必ずノルが横にいてくれていたんです。

:お笑い担当でね(笑)。

麻路:特にトップになってからは、トップと2番手のカラーを対照的に出す作品の方が面白くできあがることが多いので、現役時代には周り中の方から「本当に良い二番手に恵まれたね」と言われていました。私がカッコつけると逆に振り切ってくれるので、申し訳ないくらい頼り切っていましたね。退団後もこうしたOG公演で同じ舞台に立つ機会だけではなく、プライベートでもずっと親交があって、お互いが母親になったこともあり、様々なことを話しています。特に私たち星組のメンバーは、退団してからも長い付き合いが続いていて、私はブラジルに住んでいますし、生活拠点はバラバラなのですが、私が帰国すると必ずみんなが集まってくれる。いまはコロナ禍で残念ながらできていないのですが、それまでは平均すると月に一度くらいになるのでは?というほどの頻度で会っていたので、舞台の魅力も、オフの気取らない魅力もよく知っています。

稔幸=橘涼香 撮影拡大稔幸=橘涼香 撮影

:麻路さんは星組にいらした時には既にスターでいらしたので、新人公演の主役もなさっていましたし、『戦争と平和』という作品で、ヒロインを誘惑するビクトールという役柄を演じられたのが研5(※初舞台から5年目)の時で! 演出の植田紳爾先生が「麻路さきはビクトールを研5でやった!」というのが、下級生の男役を叱咤激励する時の決まり文句だったほどの伝説になっていました。それほどマリコさん(麻路の愛称)は男役をする為に生まれてきたような方で「本当にお母さんなの?」(笑)と思うくらい、男役のカラーを今も貫いていらっしゃる、勉強になるばかりの方です。

 なかでも一番印象に残っているのが、麻路さんのひとつ前の星組トップスターでいらした紫苑ゆうさん、シメさん(紫苑の愛称)、そしてマリコさんが本当に宝塚を深く愛していらしたことです。私はどちらかと言うと、少し客観視をしているところがあったので、お2人の宝塚に対する情熱に見習うことがいっぱいあるなと、下級生時代から思ってきました。特に阪神淡路大震災が起こってしまった時にマリコさんはお披露目公演を控えていらして、プレお披露目の名古屋公演のお稽古中だったんです。でも私たち関東出身の者は家族が「いま舞台をやっていられる状況ではないだろう、ひとまず帰ってきなさい」と心配して何度も連絡をくれたり、私自身もこのようななかで、エンターテインメントを続けていいのだろうか?と悩んだりもしたんですね。でもマリコさんが「今だからこそやるべきだ」というエンターテインメントの力を信じる熱い思いを語ってくださって。その姿勢を見て私たち新生星組が一丸となって公演を乗り切ったという思いがあります。

 そこで私も「今こそエンターテインメントをやらなければ!」ということと同時に、トップスターとしての在り方を学ばせていただいき、この人を支えていきたい、よりよい組にしたいという気持ちが強くなっていきました。

麻路:みんなで団結して、楽しかったよね。

:本当に。マリコさんが王道の男役をやるなかで、私は色々なキャラクターをさせていただくのがとても楽しかったです。『Action!』は3部作で、とても自由にやらせていただいたので、未だにビデオ鑑賞会をして笑いあうほどです。

麻路:今でこそ宝塚公演を他の劇場でやることも多いですが、私たちの現役当時はそうした機会は少なかったので、外の舞台でやれる数少ない機会だからこそ、普段はやれないことをやろう!という演出家の先生やスタッフの方々の意気込みもすごかったですから、良い意味で「宝塚」に捉われない作品をやっていた、その思い出の場所がシアター・ドラマシティなので。

:そこにまたご一緒できるのが本当に楽しみです。先輩ママでもありますから、もうずっとついて行きます!という、そんな存在の方です。

宝探しのように知られるざる名曲も掘り起こしていくコンサート

麻路さき(右)と稔 幸=橘涼香 撮影拡大麻路さき(右)と稔幸=橘涼香 撮影

──そうしたお2人が揃って記念公演に立つ思いは?

麻路:新しいものを一緒に作れるのがすごく楽しみです。先輩方がたくさんいらしてくださるOG公演ももちろん大好きなのですが、今回は私たちから下のメンバーが集まっていますから、私たちが良い雰囲気を作ることによってカンパニーが大きく変わってくると思うんです。ですから昔星組で「こうしたらいいんじゃないか?」と自由に意見交換をしていたように、今回も気さくに話し合える雰囲気を作りたいね、と2人で話しています。先ほどノルちゃんも言っていましたが、退団したての愛月ひかるさんなど、学年差が大きいOGたちも遠慮せずにちゃんと会話できる空気を作るのが、私たちの役目かなと思っています。そうした良い雰囲気のなかから、きちんとした舞台をお客様にお見せしたいです。

──お2人が特に心に残っているドラマシティの作品は?

麻路:私が一番印象に残っているのは、やっぱり『Action!』の第2部のお芝居です。クリスマスシーズンで、私と相手役の白城あやかちゃんの魂が入れ替わってしまう、男女入れ替わりの王道ストーリーだったのですが、稽古期間が少なかったこともあって、みんな初日からフルパワーでキャラクターを作ってきてくれて。特にノルちゃんが「本当にそれでやるの?」というくらいの(笑)「二枚目の2番手男役だよね?」と確認したいほどのものを稽古場から見せてくれましたから、笑いをこらえるのが大変な作品でした。しかも舞台に行ってからも毎日どんどん変えてくるので「今日はどうくるのか?」といつも思っていましたし、お客様は大喜びで毎回爆笑されていましたが、笑ってはいけない私たちは大変でした!(笑)。

:すみません~(笑)。でもこうおっしゃられると私だけが面白いことをしていたみたいですけど、マリコさんもその時の“女装”はすごかったですよ!(笑)。元々似合わないのですが(爆笑)、可愛い恰好をするのが大好きなんです。それが大手を振って表でやれるということで、大喜びでそれこそ「そこまでやるの?」でした(笑)。私個人の思い出としては、二つさせていただいた主演作は、どちらも自分にとってとても大事な作品ですが、最初の『聖夜物語─クリスマスストーリー』は、トップスターとしてのプレお披露目公演でした。しかも役名が「デーブ」というやくざの役で(笑)。そういう人が、好青年と魂が入れ替わる面白いお話だったので、デーブだからデブがいいんじゃないか?と思い、肉布団をつけて舞台に出たんです。そうしたら観に来てくれた同期生から「お披露目の最初の出番がデブでいいの?」と言われました(笑)。でも自分ではやり遂げた!という良い思い出になっています。

麻路さき(右)と稔 幸=橘涼香 撮影
拡大麻路さき(右)と稔幸=橘涼香 撮影

──舞台から見たドラマシティの魅力は?

麻路:お客様をとても近く感じられる空間なのに、ショーもお芝居もできるほどよい大きさの劇場なのが魅力です。大劇場ですと大舞台的な作り方をする必要がありますし、小劇場ですと大人数でのショーは難しくなってしまいます。その点本当にリアルな表現もできて、ショーもできる魅力的な空間です。

:マリコさんがおっしゃったように、お芝居をやっていてもお客様との距離感がとても良いんです。それでいて、閉ざされていない解放感も感じる大好きな劇場です。下級生の頃から宝塚大劇場ではホームという雰囲気があるところから、東京宝塚劇場に行く時には「東京での芝居だぞ!」という緊張感があったのですが、大阪で公演をするというのはまたどちらとも違った感覚で。もちろん宝塚で手を抜いているわけではないのですが、宝塚とも東京とも違うものをお観せしたいという気持ちがいつもありました。

──では今回もそうした新たな舞台を拝見できるのを楽しみしています。是非、お客様にメッセージをお願いします。

麻路:もちろんずっと宝塚を観続けてくださっているお客様も多いと思いますが、学年差のあるキャストが揃いますので、それぞれの時代を熱心にご覧になっていた方々にとっては、この作品は知っているけれど、この作品のこの曲ははじめてということも多いと思います。そのなかでどの時代の方にも楽しんでいただける、新しいショーを作っていきますので、是非私たちが作る新作のショーを楽しんでいただけたら嬉しいです。

:宝塚ってすごく贅沢な作品作りをしていると思うんです。作る時間も上演する時間もとても短いなかで、先生方も生徒たちも本当に集中して、良い作品をたくさん作ってきています。でもドラマシティで短期間だけ上演された作品は、ご覧になる機会がなかった方々も多いと思いますから、マリコさんもおっしゃったように、懐かしんでいただくというよりも、宝探しのように知られざる作品を掘り起こしていく楽しみが大きいと思います。学年を隔てた方々と一緒に、ひとつのカンパニーとしてOGの新しい一面を観ていただけたらいいなと思っていますので、是非楽しみに観にいらしてください!

◆公演情報◆
シアター・ドラマシティ30周年記念コンサート
『Dramatic City “夢”』
東京:2022年9月9日(金)~10日(土) 東京建物 Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)
大阪:2022年9月16日(金)~18日(日) 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
公式ホームページ
[スタッフ]
構成・演出 中村一徳(宝塚歌劇団)
[出演]
麻路さき、稔 幸、和央ようか、風花 舞、大鳥れい、北翔海莉、愛月ひかる、
羽純るい、夢妃杏瑠、星吹彩翔、彩月つくし

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筆者

橘涼香

橘涼香(たちばな・すずか) 演劇ライター

埼玉県生まれ。音楽大学ピアノ専攻出身でピアノ講師を務めながら、幼い頃からどっぷりハマっていた演劇愛を書き綴ったレビュー投稿が採用されたのをきっかけに演劇ライターに。途中今はなきパレット文庫の新人賞に引っかかり、小説書きに方向転換するも鬱病を発症して頓挫。長いブランクを経て社会復帰できたのは一重に演劇が、ライブの素晴らしさが力をくれた故。今はそんなライブ全般の楽しさ、素晴らしさを一人でも多くの方にお伝えしたい!との想いで公演レビュー、キャストインタビュー等を執筆している。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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