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ミュージカル『COLOR』で初共演!浦井健治×柚希礼音インタビュー(下)

明日からも自分の色で生きてみようと思える作品に!

橘涼香 演劇ライター


浦井健治×柚希礼音インタビュー(上)

お客様の目線で舞台を観る人たちが集まっている

──皆さんで作る、とても風通しのいい稽古場という素敵な言葉もいただきましたが、そのお稽古を先導していらっしゃる演出の小山ゆうなさんについてはいかがですか?

柚希:いつも目をキラキラさせていて、この芝居を作ることにワクワクしていらっしゃる、少女みたいな表情が印象的です。

浦井:よく言われる表現だとは思うのですが「おもちゃ箱をひっくり返している」ような演出をされるんですけど、一方で、きちんと海外でメソッドを学んでこられているので、やりたいことがいっぱいあるみたいで。だからこそきっとひとつの場面に対してのイメージは持っていらっしゃると思うのですが、それを決めつけずに、各クリエイターの方たちや、役者から出てきたものを尊重してくれる器の大きさを感じます。

柚希:演出家の方が現場でワクワクしている姿って、本当に導かれるものなのだなと。一緒に皆もどんどん高揚していくので。

浦井健治(左)&柚希礼音拡大浦井健治(左)&柚希礼音

──それは素晴らしいですね。また今回は日本で生まれるオリジナルミュージカルということで、音楽の魅力についてはどうですか?

浦井:作曲の植村花菜さんが数日前にも稽古場に来てくださったのですが、長時間の稽古の間中ずっと一緒にいて、変更や、提案を受けてその場で楽曲に反映させてくださるので、すごく贅沢な稽古場です。

柚希:とても言葉を大切にされる方で、このメロディーラインだとこの言葉が歌いにくい、などが全くないように作ってくださいますので、健ちゃんの言う通り本当に贅沢です。

浦井:すごく綺麗な音色で耳に馴染むんですよね。

柚希:気が付いたら口ずさんでいるもの。

浦井健治拡大浦井健治

浦井:そうそう、だからお客様もきっとそうだと思います。花菜さんがおっしゃった「知伽江さんの言葉に私の音楽を乗せたんです」という言葉がとても印象的で。音楽が粒だっているのに、ちゃんと作品に寄り添ってもくださるからすごく心地が良いし、琴線に触れる感じがします。なので、お客様にきちんと言葉を伝えられるように歌わなければいけないなと思います。特に「ぼく」=草太に関しては、言葉との距離感がどう変化していくかを、ちゃんと歌の中で出さなければと思っています。

柚希:花菜さん自身もギターひとつを持ってアメリカに行った経験がおありになって、草太くんが一人で海外に行って行動するところと、ご自身の経験がすごくリンクするんだそうです。だからご自分を重ねながら書いていらっしゃるんだろうな、と想像できるものも多くありますね。

柚希礼音
拡大柚希礼音

──たくさんの方の知識や思いが積み重なって作品が育っているのだなと感じますが、先ほどもずっと話し合っているというお話がありましたが、その発信していく場にはキャストの皆さんも加わっているのですか?

柚希:そうです、そうです。

浦井:成河を筆頭に、ずっとみんなで発信し続けているという感じです。なかなかない現場ですね。

柚希:お客様の目線で舞台を観る人たちが集まっていますよね。役者さんたちがどんなに夢中になって演じたところで、お客様がついてこられなかったら意味がない、ということをよくわかっている人たちばかりなんです。しかもこの作品は度々申し上げているように実話ですけれども「こういうことがありました」というドキュメンタリーでは終わりたくないという、熱い思いがすごいんです。ですからどうやったらお客様に興味を持って観ていただけるのかを皆で話し合い続けていますね。

◆公演情報◆
新作ミュージカル『COLOR』
2022月9月5日(月)~25日(日) 新国立劇場 小劇場
2022年9月28日(水)~10月2日(日)  サンケイホールブリーゼ
2022年10月9日(日)~10日(月・祝)  ウインクあいち
公式ホームページ
[スタッフ]
原作:坪倉優介「記憶喪失になったぼくが見た世界」
音楽・歌詞:植村花菜
脚本・歌詞:高橋知伽江
演出:小山ゆうな
[出演]
浦井健治、成河、濱田めぐみ、柚希礼音(五十音順)
〈浦井健治プロフィル〉
 2000年『仮面ライダークウガ』で俳優デビュー。ミュージカル、ストレートプレイ、映像作品と幅広いジャンルの作品に出演。2006年、第31回菊田一夫演劇賞、第44回紀伊國屋演劇賞個人賞と、第17回読売演劇大賞杉村春子賞を受賞。2015年に第22回読売演劇大賞最優秀男優賞を受賞。2017年に第67回芸術選奨文部科学大臣新人賞<演劇部門>など数々の演劇賞を受賞。主な出演作品は、『笑う男 The Eternal Love -永遠の愛-』、『GHOST』、『王家の紋章』『デスノート The Musical』など。2023年1月にミュージカル『キングアーサー』、春に『アルジャーノンに花束を』への出演が決まっている。
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〈柚希礼音プロフィル〉
 1999年初舞台。2009年宝塚歌劇団星組トップスター就任。宝塚歌劇100周年を支えるトップスターとして活躍し、2015年5月に退団。主な出演作品は、『ボディガード』、『マタ・ハリ』、『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー ~』、第27回 読売演劇大賞優秀作品賞を受賞した『 FACTORY GIRLS ~私が描く物語~』など。11月にSHOW-ismXI『ベルベル・ランデヴー』への出演が決まっている。
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筆者

橘涼香

橘涼香(たちばな・すずか) 演劇ライター

埼玉県生まれ。音楽大学ピアノ専攻出身でピアノ講師を務めながら、幼い頃からどっぷりハマっていた演劇愛を書き綴ったレビュー投稿が採用されたのをきっかけに演劇ライターに。途中今はなきパレット文庫の新人賞に引っかかり、小説書きに方向転換するも鬱病を発症して頓挫。長いブランクを経て社会復帰できたのは一重に演劇が、ライブの素晴らしさが力をくれた故。今はそんなライブ全般の楽しさ、素晴らしさを一人でも多くの方にお伝えしたい!との想いで公演レビュー、キャストインタビュー等を執筆している。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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