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「人間関係の形成」を目的とする部活が異常である理由

子供にも必要なサードプレイス

鶴見済 ライター

 ある調査によれば、中学・高校で部活動をしている生徒は、多い時期には8~9割にも上ると見積もられている(ベネッセ、2018年)。

 部活動は自由参加だと思えば、この数字はあまりに大きい。ある程度まで参加者が多くなれば、自分だけが放課後に学校にいないことは大きなマイナスになる。そうした同調圧力によって、ここまでの数字が出てしまうのだろう。

 スポーツ庁は部活動に、週に2日以上の休みを設けることを推奨している。それでも6割もの高校がそれを守っていない(日本スポーツ協会、2021年)。

拡大高校のガイドライン策定状況「『運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン』のフォローアップ調査」(スポーツ庁)から転載
出典

 また夏の炎天下の長時間に及ぶ練習も、体に害はないのかと心配になるが、夏休みなのにほぼ毎日練習をしている運動部は4割以上にもなる(ベネッセ、2016年)。自分も高校時代に運動部に入っていたが、この夏休みの連日の練習は特につらいものだった。

 自分はかねてから部活動の異常さを指摘してきたが、ここまでくると正直言って「狂気」とさえ思えてしまう。

 ドイツで生まれ育ったある若者と知りあいになって、現地での暮らしを詳しく聞いたことがある。学校では授業が終わった後どうしているのか聞いてみると、部活動はなく、みんな普通に家に帰るとのことだった。スポーツをやる人は、地域のスポーツクラブに行くという。

 それなら土日、早朝、夏休みにも練習のために登校することはないだろう。それが普通なのだが、学校の比重があまりに大きい日本とは何と印象が違うのかと、その余裕のある生活を羨ましく感じたものだ。

部活動の歴史に画期的な転換

 部活動の地域移行が話題になっている。つまりこれまで学校が担っていた部活動を、地域のスポーツクラブなどに任せるのだ。

 これは日本の部活動の歴史において、

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筆者

鶴見済

鶴見済(つるみ・わたる) ライター

1964年、東京都生まれ。東京大学文学部社会学科卒。最新刊は『人間関係を半分降りる 気楽なつながりの作り方』(筑摩書房)。その他の著書に『0円で生きる──小さくても豊かな経済の作り方』、『脱資本主義宣言』、『完全自殺マニュアル』、『ぼくたちの「完全自殺マニュアル」』(編著)、『無気力製造工場』、『人格改造マニュアル』、『檻のなかのダンス』(以上太田出版)、『レイヴ力』(共著、筑摩書房)など。
鶴見済のブログ http://tsurumitext.seesaa.net/
twitter @wtsurumi

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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