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『LOVE LIFE』深田晃司監督に聞く、愛の深み

「メロドラマの一角をろう者が当たり前に担ってほしかった」

林瑞絵 フリーライター、映画ジャーナリスト

コロナ禍と矢野顕子『LOVE LIFE』の歌詞の意味

──20歳のときに矢野顕子さんの『LOVE LIFE』を聴き、感動されて出発された企画ということで、構想20年になるのですね。

深田 それは「看板に偽りなし」です。この間、この映画のことばかり考えていたわけではありませんが、諦めずに抱え続けてきました。

──映画作りは様々な事情が絡んで進むものですので、期せずしてこの時期に完成、公開となったのでしょうが、その一方で「コロナ禍もあり、今届けるべき映画となった」と記者会見でも話されていました。本作が扱う「死」や「孤独」のモチーフは、コロナでより身近になったようにも感じます。

深田 それはあったと思います。コロナが広まった時期は、フランスやイタリアでは「ロックダウン」、日本では「ステイホーム」という形で家を出られなくなりました。人によっては人生を見つめ直す機会になったと思います。例えば生き甲斐だったはずの多くの仕事が「不要不急」という言葉であたかも必要でないもののように扱われてしまった。文化芸術も映画館もそうですね。好きな趣味もできなくなり、仕事にも行けない。その中で人と人との距離もできました。

 ステイホームを強いられていた時期は「そもそも生きてるって何だろう?」と突き詰けられる時間でもあった気がしています。コロナがなくても人は死ぬし、戦争でも死ぬけれど、やっぱり少しだけ死と虚無が身近になった時期だったと思います。

 『LOVE LIFE』はその前から作っていたので、コロナで内容が大きく変わったわけではないのですが、「どんなに離れていても 愛することはできる」と歌われる歌詞の意味が更新されたと思っています。

『LOVE LIFE』 全国ロードショー中
 配給:エレファントハウス ©2022映画「LOVE LIFE」製作委員会&COMME DES CINEMAS拡大©2022映画「LOVE LIFE」製作委員会&COMME DES CINEMAS

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筆者

林瑞絵

林瑞絵(はやし・みずえ) フリーライター、映画ジャーナリスト

フリーライター、映画ジャーナリスト。1972年、札幌市生まれ。大学卒業後、映画宣伝業を経て渡仏。現在はパリに在住し、映画、子育て、旅行、フランスの文化・社会一般について執筆する。著書に『フランス映画どこへ行く――ヌーヴェル・ヴァーグから遠く離れて』(花伝社/「キネマ旬報映画本大賞2011」で第7位)、『パリの子育て・親育て』(花伝社)がある。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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