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再び『女の一生』に臨む、大竹しのぶ×段田安則インタビュー(下)

必ず何かを残してくれる作品

橘涼香 演劇ライター


大竹しのぶ×段田安則インタビュー(上)

良い俳優ほど歳を重ねることを小手先では演じない

──初演を振り返って、一番思い出す景色を教えていただけますか?

大竹 今でも大変ですけれども、2020年はコロナのことが今よりもっとわからなかったので、皆さんとお話できるのが舞台だけという状況だったんですね。稽古場でもお茶場もないですし、出番の稽古が終わったらすぐ帰らないといけないという状況で。本当は芝居のことを話したいし、色々なことを工夫したいんですけれども、それがいっさいできずに、触れ合えるのは舞台の上だけ、というのがやはりとても大変でした。

段田 そうでしたね。本当に色々なことが大変でしたが、舞台で一番覚えている景色と言えば、やっぱり第1場ですね。布引けいが16歳で、僕らも学生服で走り回っているのが楽しかったので、そこが印象に残っています。

大竹しのぶ(右)と段田安則=岩田えり 撮影〈大竹しのぶ/ヘアメイク:新井克英・段田安則/スタイリング:中川原寛(CaNN)、ヘアメイク:藤原羊二(UM)〉拡大大竹しのぶ(右)と段田安則=岩田えり 撮影〈大竹しのぶ/ヘアメイク:新井克英・段田安則/スタイリング:中川原寛(CaNN)、ヘアメイク:藤原羊二(UM)〉

──そうした時間も経たなかで、お互いの魅力をどう感じていらっしゃいますか?

段田 1人の人物を若い頃から老年に差し掛かるところまで演じるときに、姿勢や声のトーンなど、色々なもので表現していきます。そのなかでいい俳優さんほど小手先では演じません。外から変えようとするのではなくて、内面がそこにあってこそ、前髪がパンと変わるだけで十代になっていくのを見ているのが楽しかったですね。それが大竹さんの一番の魅力ですし、この集中力の高さは、一緒に舞台上にいてもお客さんのような気持ちになって観てしまう瞬間があります。怒られるからちゃんとやらなきゃ!と思うんですが(笑)、そこは本当に大竹さんの魅力です。

大竹 段田さんとは30年近く一緒に芝居をしていて、役者同士で芝居の話をするって意外と難しいんです。「あそこはこうすればいいんじゃないかな?」というのは、言えそうでいてなかなか言えないところがあります。やっぱりそれは演出家がやるべきことなので。でも段ちゃんとはそれが言える唯一の役者仲間で、稽古中はもちろんですが幕が開いてからもいま終わった芝居について「ねぇ、あそこの台詞の意味ってこうかな?」「あんた本当しつこいね」と言いあえる、追求しあえる仲間ですね。この難しい本を演出して、しかもコロナ禍なので、出番がない人はすぐ稽古場から帰らなくてはいけないという状況だったんですけれども、その中でもしつこく、しつこくやってくれて。やっぱり私たちの仕事はしつこく粘って、どこまでも追求していくということなので、本当に良い仲間だなと思います。

──幕が開いてからも芝居についてお話するとのことですが、袖に入られたらもう役ではなくなるのでしょうか?

段田 それは色々なタイプの方がいらっしゃって、袖に入ってもずーっと役として考え続けている方もいれば、その瞬間に「このあと何食べる?ちょっと出前取って!」と言う方もいらっしゃいます。僕は舞台に出る前もずっとだらだらしていて、出た途端に偉そうになったりしますし(笑)、引っ込んだらもうすぐ素に戻ります。

大竹 私も同じです。袖に引っ込むとすぐ戻って普通になります。

◆公演情報◆
舞台『女の一生』
東京:10月18日(火)~23日(日) 新橋演舞場
京都:10月27日(木)~11月8日(火) 南座
福岡:11月18日(金)~30日(水) 博多座
公式ホームページ
[スタッフ]
作:森本 薫
補綴:戌井市郎
演出:段田安則
[出演]
大竹しのぶ、高橋克実、段田安則、西尾まり、大和田美帆、森田涼花、林翔太、銀粉蝶、風間杜夫
〈大竹しのぶプロフィル〉
 1974年『ボクは女学生』の一般公募でドラマ出演。1975年 映画『青春の門 -筑豊編-』ヒロイン役で本格的デビュー。同年、連続ドラマ小説『水色の時』に出演し、国民的ヒロインとなる。以降、気鋭の舞台演出家、映画監督の作品には欠かせない女優として圧倒的な存在感は常に注目を集め、映画、舞台、TVドラマ、音楽等ジャンルにとらわれず才能を発揮し、話題作に相次いで出演している。
公式ホームページ
〈段田安則プロフィル〉
 劇団青年座附属の青年座研究所に入所し、第5期生として1981年に卒業。同年、野田秀樹主宰の「夢の遊眠社」へ入団し、1992年の劇団解散まで主力俳優として活動。その後、舞台のみならず、映像分野にも活躍の場を拡げ、シリアスもコミカルも巧みにこなす名バイプレイヤーとして人気を集めている。2009年の『夜の来訪者』で舞台演出に初挑戦し高く評価される。
公式ホームページ

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筆者

橘涼香

橘涼香(たちばな・すずか) 演劇ライター

埼玉県生まれ。音楽大学ピアノ専攻出身でピアノ講師を務めながら、幼い頃からどっぷりハマっていた演劇愛を書き綴ったレビュー投稿が採用されたのをきっかけに演劇ライターに。途中今はなきパレット文庫の新人賞に引っかかり、小説書きに方向転換するも鬱病を発症して頓挫。長いブランクを経て社会復帰できたのは一重に演劇が、ライブの素晴らしさが力をくれた故。今はそんなライブ全般の楽しさ、素晴らしさを一人でも多くの方にお伝えしたい!との想いで公演レビュー、キャストインタビュー等を執筆している。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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