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“ハートフルお葬式コメディ”舞台『きっとこれもリハーサル』、土田英生&石野真子&鈴木福に聴く(上)

パスサッカーのような稽古場から生まれるキャストの絆

小野寺亜紀 演劇ライター、インタビュアー

 「喪主の練習がしたいの」と言い出した母の発言から、お葬式の練習をすることになった家族が繰り広げる“ハートフルお葬式コメディ”『きっとこれもリハーサル』が、東京・新国立劇場 小劇場で開幕した。(~10月13日。10月22日/COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール)

 芸人デビュー後、俳優や脚本家としても頭角を現してきた赤松新の脚本を、細やかな笑いや人間関係で引き込むアンサンブル会話劇の達人、劇団「MONO」代表の土田英生が潤色・演出。滑稽な家族のやり取りの中から、それぞれの抱える想いが少しずつ見えてくる、心温まる舞台が誕生する。

 主役の母・太田弘江を演じるのは、トップアイドルを経て女優としてオリジナルな輝きを放つ石野真子。息子の賢一役に、ドラマ『マルモのおきて』で人気沸騰、今回が本格的ストレートプレイ初挑戦となる鈴木福。秘密を抱えている賢一の姉・泉美役に、多くの話題作に出演する川島海荷。和菓子職人の父・昭雄役に舞台やドラマなどで幅広く活躍する羽場裕一。弘江の友人である葬儀プランナー・斎藤美香役に映画『カメラを止めるな!』で大ブレイクしたしゅはまはるみが扮する。

 少人数での芝居となる本作に向け、濃密な稽古を重ねてきた土田、石野、鈴木の3人に、意気込みなどを聞いた。(インタビューは開幕前に行われました)

日々、少しずつ家族になっているのを実感

左から、石野真子、土田英生、鈴木福=岩田えり 撮影拡大左から、石野真子、土田英生、鈴木福=岩田えり 撮影

 ――台本を読ませていただきましたが、笑っているうちにホロリと泣けてくる、とても素敵なお話だなと思いました。家族でお葬式のリハーサルをしているという、物語の導入からユニークですね。

石野 とっても強烈ですよね(笑)。台本で読んでいた時より、セットが組まれた稽古場でお芝居をしていると、さらにそう思います。人生の中でもこんなことはなかなかないな~、と思いながらお稽古をしています。

鈴木 僕も台本を読んだ時からびっくりしました。ただ、みんなのお葬式体験がもとになっている感じで、「お葬式ってこうだよね」と話しながら作っていくお稽古場の雰囲気など、おもしろいです。

 ――お葬式の“いろは”的なことも出てきて、興味深かったです。

石野 そうですね。

鈴木 いろいろ学んでいます。

土田 演出をしていて、遺影を使わせていただくシーンは、一瞬悪いことをしているような気がして最初は慣れなかったですが(苦笑)、今は“リハーサル”をしているということに慣れてきました。

土田英生=岩田えり 撮影拡大土田英生=岩田えり 撮影

 ――赤松新さんが書かれた脚本を、土田さんが潤色・演出されていますが、どのようなことを心掛けて取り組んでらっしゃいますか?

土田 赤松さんの本は、お葬式のリハーサルがあってそれから――という、長いリハーサル自体が物語の伏線になっているので、その着眼点がおもしろいなと思いました。潤色させていただくにあたっては、赤松さんが書かれたものを大事にしながら、舞台を進めるうえでうまく機能するように直させていただいたという感じです。

 ――太田家の家族4人と、葬儀社に勤めている母の友人、5人だけという少人数でのお芝居ですが、そのあたりはいかがですか。

石野 日々、少しずつ家族になっているなという感じがして、とても嬉しいです。少人数のお芝居はこれまでもありましたが、私は舞台自体4年ぶりの出演。とても久しぶりでおぼつかない日々なのですが、皆さんに助けてもらっています。

鈴木 僕はこんなにお芝居だけを毎日やるという機会が今までなくて……。舞台はミュージカルとかに出たことはあるのですが、やっぱり歌やダンスの稽古が入ってくるので、こんなに毎日同じお芝居だけを繰り返すというのがすごく新鮮です。5人だけなのでその分、一人ひとりとコミュニケーションがとれるし、濃密でいいものが出来ているように感じます。その中に入れてもらえて良かったなとあらためて思います。

一家のコミュニケーション不足が思わぬ展開へ

石野真子=岩田えり 撮影拡大石野真子=岩田えり 撮影

 ――石野さんが演じられる母親の太田弘江は、とても明るくて温かくて素敵な女性だなと感じました。

石野 弘江さんは家族が大好きなんだなと思います。そして旦那さまのこともすごく好きで。なんでこんなに頑固な人を好きなんだろうとも思います (笑)。娘や息子のことも心から愛しているお母さん。だから優しくて強い、芯のある女性なんだろうなと思います。

 ――旦那さまの昭雄役を演じられる羽場裕一さんとは、これまでも共演されたことがあるそうですが、ご一緒にお芝居をしていていかがですか。

石野 またご一緒できて本当に嬉しいです! 羽場さんはすごく優しいので、安心して奥さんをさせていただいています。

 ――昭雄さんは昔気質というか、不器用なお父さんですよね。

石野 そうですね。本当に絵にかいたような昭和のお父さんという感じ。あまり家族とコミュニケーションが取れない旦那さんですね。

鈴木福=岩田えり 撮影拡大鈴木福=岩田えり 撮影

 ――鈴木さんが演じられる太田賢一は、ご自身と同じ高校3年生という役どころですがいかがですか。

鈴木 家族とのコミュニケーションをもっとしっかり取っておかなきゃいけないよ、と(賢一に)言いたい部分がたくさんありますけど、彼の中で葛藤があり、なかなか言い出す勇気がないのかな。でもやりたいことに対しての想いは強い、というのは分かるところがあるな、と。目標をもってやっているところは、僕も一緒なので。

 ――高校3年生って、進路について悩まれる時期だと思いますが、そういうのを実感しながら、ということでしょうか。

鈴木 そうですね。僕は今、毎日ビクビクしてるんですけど。まだ結果が来ないので……。

土田 ん?  あぁ、そうか(笑)。

 ――ご自身の、ということですね?

鈴木 はい。賢一に関しては、大学受験をしないということを、冬になっても親に言えていないのはのんきだなと思いました。

土田石野 (笑)。

鈴木 賢一はそれぐらい大胆でもあり、ある意味尊敬できる部分があります。芯が強いし、何を言われても自分の意思を貫くんだろうな、というところを感じます。僕とはまたちょっと違うタイプで、いいなと思いますね。

◆公演情報◆
舞台『きっとこれもリハーサル』
2022年9月29日(木)~10月13日(木) 新国立劇場 小劇場
2022年10月22日(土) COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール
公式ホームページ
公式ツィッター
[スタッフ]
潤色・演出:土田英生
脚本:赤松新
[出演]
石野真子、鈴木福、川島海荷、しゅはまはるみ、羽場裕一
〈土田英生プロフィル〉
 1989年に「B級プラクティス」(現MONO)結成。1990年以降全作品の作・演出を担当する。1999年『その鉄塔に男たちはいるという』で第6回OMS戯曲賞大賞を受賞。2001年『崩れた石垣、のぼる鮭たち』(文学座)で第56回芸術祭賞優秀賞を受賞。2003年文化庁の新進芸術家留学制度で1年間ロンドンに留学。近年は劇作と並行してテレビドラマ・映画脚本の執筆も多数。
公式twitter
〈石野真子プロフィル〉
 日本テレビ系オーディション番組『スター誕生!』に合格し、1978年3月25日「狼なんか怖くない」で歌手デビュー。その年の新人賞を総なめにする。以後、トップアイドルとしてヒットを連発。その後、女優としての活動も開始し、テレビドラマや舞台、映画で活躍。2003年より本格的に音楽活動を再開し、コンサートも精力的に行なっている。これまでにシングル28枚、オリジナルアルバム14枚をリリース。
公式ホームページ
〈鈴木福プロフィル〉
 2006年、1歳の時に『いないいないばあっ!』に出演し芸能界デビュー。2007年、『君がくれた夏 〜がんばれば、幸せになれるよ〜』で子役としてドラマデビューを果たす。2011年、『マルモのおきて』に出演。同作の主題歌『マル・マル・モリ・モリ!』で歌手デビュー。
 以降、映画、TV、舞台、CMなど多岐にわたり活動を続けている。最近はニュースなどの情報番組やラジオ・ナレーションなど仕事の幅を広げ、自身のSNSを活用し情報を配信している。
公式twitter

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筆者

小野寺亜紀

小野寺亜紀(おのでら・あき) 演劇ライター、インタビュアー

大阪府出身。幼い頃から舞台をはじめ、さまざまなエンターテインメントにエネルギーをもらい、その本質や携わる人々の想いを「伝える」仕事を志す。関西大学文学部卒業後、編集記者を経て独立。長年、新聞や雑誌、Webサイト、公式媒体などで、インタビューや公演レポート等を執筆している。特に宝塚歌劇関係の取材は多い。 小野寺亜紀オフィシャルサイト(https://aki-octogreen.themedia.jp/)

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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