真名子陽子(まなご・ようこ) ライター、エディター
大阪生まれ。ファッションデザインの専門学校を卒業後、デザイナーやファッションショーの制作などを経て、好奇心の赴くままに職歴を重ね、現在の仕事に落ち着く。レシピ本や観光情報誌、学校案内パンフレットなどの編集に携わる一方、再びめぐりあった舞台のおもしろさを広く伝えるべく、文化・エンタメジャンルのスターファイルで、役者インタビューなどを執筆している。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
劇団☆新感線『薔薇とサムライ2−海賊女王の帰還−』大阪公演がスタート
――古田さんは天海さんの大ファンだということですが、天海さんの魅力を教えてください。
古田 綺麗。
――ひと言⁉
古田 当然、映像のゆりちゃんも大好きなんだけど、舞台上であれだけお客さまの目を惹きつけられる女優さんはそうそういない。しかも凛として立っているだけで。歌ったり踊ったりが邪魔なくらい、それぐらい立ち姿が綺麗だから。当然、お顔も綺麗なんだけど、映画やドラマを見てると、アップにするな、全身を映せ!と思います。寄らないでいいから引け、こっちで勝手にフォーカスするからと。その威力が一番感じられるのが舞台だと思う。
――見る側からすると、主演のドラマや映画にたくさん出演されている中、舞台にも定期的に出演されるのは、やはり好きだからでしょうか?
天海 もちろんです。それに、お客さまの前でやり続けていかないと人前に立つことが怖くなる。しばらく舞台をやっていないと、やれるだけの体力はあるだろうか、セリフは頭に入るだろうか、公演を続けられるだろうか、と不安になります。ちゃんとやり続けていかないと自分がダメになる感じがするんです。先ほど古田さんがアップと引きとおっしゃったけど、アップのお芝居ばかりやっていると、身体がダメになるんです。舞台では全身で感情を動かしていないといけないんですよね。お客さまはご自分の観たいところを観られますから、例えば、顔は怖い表情をしているのに、身体に力が入っていなかったらダメじゃないですか。全身で演じることができてその表情ができるから。全身を使ってお芝居をしなければいけないということを忘れないために、舞台は続けなきゃいけないと思っています。
――なるほど、忘れないために。
天海 だって怖いですよ。セリフ忘れたらどうしよう、つっかえたらどうしようって思いますから。
――では、天海さんから見た古田さんの魅力は?
天海 魅力はファンの方がよくご存知だと思いますけど、古田さんの存在って何よりも力強いものなんです、一緒に舞台に出ている人間からすると。私からしたら神的な存在の人、何があっても古田さんがいてくれれば大丈夫と言う気持ちが強いし、本当に何があっても大丈夫。古田さんがいてくれることによって絶対大丈夫と言う気持ちになります。
――百戦錬磨?
天海 そうそうそう! ほんとに守護神的な感じです。
――神になりましたが古田さん、そのお言葉を聞いていかがでしょうか?
古田 ええ、そうですね。
(大爆笑)
天海 共演者だけじゃなく演出家にも信頼される方なので。
――古田さんがキャスティングされているとその作品を観たくなります。
天海 そうなんですよね。例えば、どこかしら作品に難があったとしても古田さんが絶対におもしろくしてくれます。
古田 よく次はどんなことにチャレンジしたいですかって聞かれるんだけど、もうしたくないんです、挑戦とかは。もう、賑やかで下品な芝居しかしたくない、下ネタミュージカルしかやりたくない。
――(笑)、それはなぜですか?
古田 ゆりちゃんが別のインタビューで、あと何食食べられるかわかんないですよって言ってたの。
天海 そう! 太らないように節制するんですかって聞かれたので、「何を言ってるんですか? あと何食食べられるかわかんないんですよ、食べたいものはちゃんと食べますよ」って言ったんです。確かに、あと何作できるかわからないという気持ちでやらないといけないですね。次があるという気持ちでやるとおざなりになるような気がして、これが最後かもしれないと思ってやらないと大事にしないような気がする。
古田 だからもう満足できなくてもいいから、やりたいことしかやらないでいようって思ってる。ここ2年ぐらいはコロナで中止になったりしたけど、下ネタミュージカルだけは全部やれたんだよね。
天海 アハハハハハ!
――(笑)、下ネタミュージカル、ありました?
古田 ねずみの三銃士『獣道一直線!!!』から始まって下ネタで池谷のぶえちゃんが読売演劇大賞をとったし、木野(花)さんの『月影花之丞大逆転』があって、ミュージカル『衛生』やって。その後が、『ロッキー・ホラー・ショー』だから、ほら! 下ネタミュージカルしかやってないんだよね、この2年(下ネタを挟みながら作品名をおっしゃったのですが、書けませんでした……)。今回の愉快な少年漫画みたいな薔薇サムをやったら、またアダルトに戻ろうと思ってます。
――それはもう、決めているんですね。
古田 うん。
――そんな思いを世に知らしめてやるぞ、みたいな気持ちはあるんですか?
古田 当然、若造たちに……。
天海 あるんだ! 思い知らせてやるって(笑)。
古田 そう、若造たちにやっていいんだぞって。下ネタを出していいんだぞ、セクシャルではなくおもしろく使えばいいんだぞと。
――そういう若い方がいたらヨシ!と。
古田 オイラが高校生の時に観に行ってたのが唐十郎さんやつかこうへいさんのお芝居で、初めて観た時にショックを受けたんですよ、こんな事をしていいんだって。でも昨今の演劇はこじんまりまとめやがって、というものが多いから、何やってんだインディーズのくせにって、インディーズは怒られてなんぼなんだからって。
◆公演情報◆
2022年劇団☆新感線42周年興行・秋公演
SHINKANSEN☆RX『薔薇とサムライ2−海賊女王の帰還−』
富山:2022年9月9日(金)〜11日(日) オーバード・ホール
新潟:2022年9月22日(木)〜25日(日) 新潟県民会館 大ホール
大阪:2022年10月5日(水)~20日(木) フェスティバルホール
東京:2022年11月1日(火)〜12月6日(火) 新橋演舞場
公式ホームページ
[スタッフ]
作:中島かずき
作詞:森 雪之丞
音楽:岡崎 司
振付・ステージング:川崎悦子
演出:いのうえひでのり
[出演]
古田新太、天海祐希
石田ニコル、神尾楓珠
高田聖子、粟根まこと、森奈みはる、早乙女友貴、西垣 匠
生瀬勝久 ほか
〈古田新太プロフィル〉
劇団☆新感線の看板役者。大阪芸術大学在学中の1984年から劇団☆新感線に参加。エネルギッシュで迫力ある演技には定評がある。劇団公演以外の舞台にも積極的に参加している他、自身で企画・出演を務める演劇ユニット“ねずみの三銃士”などもある。劇団公演以外の近年の主な舞台出演作品は、『ロッキー・ホラー・ショー』、『衛生』、『獣道一直線』、『プラン変更~名探偵アラータ探偵、最後から7、8番目の冒険~』など。ドラマ「DORONJO/ドロンジョ」(WOWOW)が10月7日(金)より放送開始。
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〈天海祐希プロフィル〉
1987年宝塚歌劇団に入団し、95年に退団。以降ドラマ・映画・舞台・CM 等幅広く出演。近年の主な舞台出演作品は、『広島ジャンゴ 2022』、『贋作 桜の森の満開の下』、『修羅天魔~髑髏城の七人 Season極』、『子供の事情』など。劇団☆新感線には本作が5作目の参加となる。2023年2月3日(金)より映画『仕掛人・藤枝梅安』が公開予定。
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