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現世とあの世のなぐさめに、関門海峡で語る意味

「ご当地浪曲」を海を挟んだ2会場で

玉川奈々福 浪曲師

その土地に埋まる「死」を思う

 昨年亡くなられた作家の小沢信男さんの代表作に『東京骨灰紀行』という作品があります。

 江戸からこのかたの東京で、一番人が死んだ場所はどこだろう。このアスファルトをひっぺがした下に累々たる骨灰がどれだけ埋まっているのだろうと、数多くの方々が亡くなった場所を歩き、その場所で起きたこと、東京の来し方、そして忘れ去ってきたものを訪ね歩いた記録でした。

拡大小沢信男さん(2017年撮影)と著書『東京骨灰紀行』(ちくま文庫)

 この本の、担当編集者でした。かつて私は、出版社の筑摩書房で編集者をしていて、小沢信男さんの担当で、小沢さんと、この本の取材のために、一緒に街歩きをしたのでした。

 その経験があるから、というわけではないと思いますが、この土地の下に、どれだけの「死」が埋められているのだろう……と、旅先で、歴史上さまざまな事件があった場所に立つと、ふっと思います。

 お蔭様で、秋は旅公演が多い。今月は関門、大分、山口、宮崎、広島……と主に西方面にうかがいます。歴史ある町を訪問し、目の前の景色を見つつ、過ぎ去った歴史のかなたに思いをはせるのも、楽しいことです。

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筆者

玉川奈々福

玉川奈々福(たまがわ・ななふく) 浪曲師

横浜市生まれ。出版社の編集者だった94年、たまたま新聞で浪曲教室のお知らせを見て、三味線を習い始め、翌年、玉川福太郎に入門。01年に曲師から浪曲師に転じ、06年、玉川奈々福の名披露目をする。04年に師匠である福太郎の「徹底天保水滸伝」連続公演をプロデュースして大成功させて以来、数々の公演を企画し、浪曲の魅力を広めてきた。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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