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ベートーヴェンの「不滅の恋人」を演じる木下晴香インタビュー(上)

『ルードヴィヒ』を苦悩から引き上げるエネルギーが必要な役柄に臨んで

橘涼香 演劇ライター


 「楽聖」と称えられるクラシック音楽界の巨星、ルードヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンの生涯を通して、音楽への強い情熱と、だからこそ致命的な難聴という病に冒されていく苦悩、そこから再び立ち上がっていく希望を、たった5人のキャストで描いた韓国発ミュージカルの日本版初演であるMUSICAL『ルードヴィヒ~Beethoven The Piano~』が、10月29日~11月13日東京芸術劇場プレイハウスで上演される(11月16日~21日大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ、11月25日~26日金沢・北國新聞赤羽ホール、11月29日~30日仙台・電力ホールで上演)。

 MUSICAL『ルードヴィヒ~Beethoven The Piano~』は、ミュージカル『SMOKE』や『BLUE RAIN』など、日本でも人気を博した韓国発ミュージカルを手掛ける演出家チュ・ジョンファが描き出した作品で、人間の深い業を表した物語世界に寄り添う、ホ・スヒョンの扇情的で美しい音楽と共に、2018年、韓国で上演され大きな注目を集めた。

 今回の日本版は、中村倫也を主演に迎え、演出を手掛ける河原雅彦との7年ぶりのタッグをはじめ、5人のみの出演者が濃密で壮大な世界観を作り上げる舞台となる。

 そんな作品のなかで、諸説あるベートーヴェンの「不滅の恋人」にあたると設定されたマリー役を演じる木下晴香が、作品に向かう思いの丈を語ってくれた。

演じる側に立ってみて初めてわかったこと

木下晴香=宮川舞子 撮影拡大木下晴香=宮川舞子 撮影

──楽聖ベートーヴェンの人生を描くMUSICAL『ルードヴィヒ~Beethoven The Piano~』、韓国で生まれたミュージカルであるというところも含めて、まず作品に感じていらっしゃる魅力から教えていただけますか?

 本当に様々な魅力があるのですが、何よりも私がこれまで観劇してきた韓国ミュージカルには、とても大きなエネルギーがあるなと感じていました。そのエネルギーにいつも魅了されて、この作品をという具体的なものということではなく、漠然とした思いではあったのですが、私もいつかこういう壮大な世界観の作品に出演してみたいなと、ずっと思っていたんです。ですからこのお話をいただいた時にはとても嬉しかったですし、お稽古に入るのが楽しみで仕方がなかったのですが、いざ、実際にお稽古場で韓国ミュージカルにトライして、演じる側に立ってみてはじめて、観劇していただけではわからなかったこと、韓国ミュージカルが持つ大きなエネルギーを放出する大変さを改めて感じています。特にこの作品はベートーヴェンの生涯を5人の出演者のみで作っていくものなので、これまで私が演じてきた役柄とは、一味違った自分を観ていただける作品になりそうだなと思っています。

木下晴香=宮川舞子 撮影拡大木下晴香=宮川舞子 撮影

──その、ご自身が演じるお役柄についてはいかがですか?

 私はルードヴィヒのもとにある日やってくる女性、マリー役を演じますが、最初に台本を読んだ時には、自分の思いだったり、情熱に対して、周りの目を気にすることなく真っ直ぐに突き進んでいる女性の強さをまず感じました。それと同時に、希望を持ち続ける強さと言いますか、表現が難しいのですが、希望の持ち方そのものの強さが、とても素敵だなと思ったんです。さらに、今お稽古をしていくなかで、中村倫也さん演じるベートーヴェン、ルードヴィヒが難聴を患ってしまった絶望や、苦悩の描き方が強烈な分、そんなルードヴィヒを引き上げて、新しい扉を開く役割りを持ったマリーには、ルードヴィヒの負のエネルギーを上回るだけの、前に向かっていくエネルギーが必要なんだと感じています。それだけに彼女自身が持っている夢や、希望がもたらすパワーをとても大きなものにしていかなければいけない、そこが一番大切だと思っています。

◆公演情報◆
『ルードヴィヒ~Beethoven The Piano~』
東京:2022年10月29日(土)~11月13日(日) 東京芸術劇場プレイハウス
大阪:11月16日(水)〜21日(月) 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
石川:11月25日(金)~26日(土) 赤羽ホール
宮城:11月29日(火)~30日(水) 電力ホール
公式ホームページ:https://musical-ludwig.jp/
公式Twitter
[スタッフ]
上演台本・演出:河原雅彦
訳詞:森雪之丞
[出演]
中村倫也、木下晴香、木暮真一郎、高畑遼大・大廣アンナ(Wキャスト)、福士誠治
〈木下晴香プロフィル〉
 2017年にオーディションでジュリエット役を射止め『ロミオ&ジュリエット』に出演。以降、ミュージカルを中心に活躍。主な出演作品は、『夜来香(イエライシャン)ラプソディ』、『彼女を笑う人がいても』、『王家の紋章』、『プロデューサーズ』、『ファントム』、『モーツァルト!』など。
公式ホームページ

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筆者

橘涼香

橘涼香(たちばな・すずか) 演劇ライター

埼玉県生まれ。音楽大学ピアノ専攻出身でピアノ講師を務めながら、幼い頃からどっぷりハマっていた演劇愛を書き綴ったレビュー投稿が採用されたのをきっかけに演劇ライターに。途中今はなきパレット文庫の新人賞に引っかかり、小説書きに方向転換するも鬱病を発症して頓挫。長いブランクを経て社会復帰できたのは一重に演劇が、ライブの素晴らしさが力をくれた故。今はそんなライブ全般の楽しさ、素晴らしさを一人でも多くの方にお伝えしたい!との想いで公演レビュー、キャストインタビュー等を執筆している。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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