正論や真面目さの敗北が冷笑欲の増殖につながった
2022年10月27日
旧2ちゃんねる創設者で実業家の西村博之(ひろゆき)氏(以下、本文では「西村氏」)が、沖縄の辺野古新基地建設反対の座り込み運動に対して、Twitterで揶揄する投稿をし、批判が殺到しました。
これは、本土から過剰に基地を押し付けられている沖縄の人々を踏みにじるものだと思います。Twitterでは、「#沖縄の人々への侮辱を許さない」「#ENDひろゆき」「#ひろゆき離れ」等、関連ワードが連日トレンド入りしていましたが、反発も当然でしょう。
ところが、西村氏は謝罪するどころか反論を続け、自身のYouTubeでは「沖縄の人って文法通りしゃべれない」「きれいな日本語にならない人の方が多い」などと発言しました。これは明らかなヘイトスピーチです(沖縄タイムス『ひろゆき氏「沖縄の人って文法通りしゃべれない」 県民の“日本語”めぐり発言』2022年10月12日)。
西村氏による一連の言動についての論点は多々ありますが、私が個人的に一番恐怖を覚えたのは、最初の投稿に対しておよそ30万近く(2022年10月26日時点)ものアカウントが「いいね」をつけたことでした。
つまり、これだけの人々が、沖縄の人々を踏みにじるような西村氏の“加害行動”に“加担”したわけです。もはや西村氏個人の発言にとどまらず、「社会的弱者に対する集団的イジメ」の問題だと思います。
おそらく、基地問題について日頃から反対派を攻撃しているような、いわゆる「ネット右翼」と呼ばれる人々だけが同調したのではなく、さらに広い層にも西村氏の投稿に共感を覚えた人が一定数いたのでしょう。だからこそ、由々しき問題だと感じるのです。
一方で、西村氏の一連の言動は、以下のように非論理的で、詭弁・デマも目立ち、彼の情報リテラシーの低さも露呈したと思います。
(1)現地の住民との口論で「座り込み」の定義に話が及んだ際、「24時間していないと座り込みと言わないという定義がどこにあるんですか」と問われて、「辞書に書いてあります」と答えたものの、「どこの会社の辞書に?」という反論に答えることができなかった。
(2)自説を強化するために、日頃から不確かな情報を流しているとよく指摘される「アノニマスポスト」や沖縄の右派インフルエンサー・ボギーてどこん氏の投稿を引用してしまう(Twitter、2022年10月9日、Twitter、2022年10月15日、文春オンライン『《辺野古ピース騒動で場外乱闘》ひろゆきがリツイートした“要注意右派インフルエンサー”の正体「投稿動画の裏では撮影する側の挑発行為がある」と地元保守派さえも批判』2022年10月17日)。
(3)自身のYouTubeで、「もともと普天間の基地があった。周りに住宅を造っちゃった」「もともと何にもなかった」という、定番のデマを配信してしまう(沖縄タイムス『ひろゆき氏「沖縄の人って文法通りしゃべれない」 県民の“日本語”めぐり発言』2022年10月12日)。
これらを見て、「西村氏は論破王と言われているけれど、議論は全然強くないし、情報リテラシーも低いじゃん……」と気がついた人も多かったのではないでしょうか?
ちなみに、私が西村氏に詭弁が目立つと実感したのは、2020年のことでした。その年の2月に、ハフポスト日本版が「#私たちのフェミニズム をみんなで語ろう」という企画を始めたのですが、その第1回で西村氏を起用したのです(ハフポスト日本版『ひろゆきさん、どうして「今の日本では“フェミニズム”って言葉を使わないほうがいい」のですか?』2020年2月7日)。
フェミニズムに反する発言すらしていた西村氏を起用したことに疑問を投げかけるTwitterを投稿したところ、西村氏から引用リツイートが来て、「レスバ」に発展しました(※レスバとは、SNS上で他人と口論することを意味するネットスラング。西村氏がしているのは議論ではなく、あくまで「レスバ」だと思うのであえてそう表現しました)。
具体的な「レスバ」の内容は私の個人ブログやnoteに掲載しましたので、ここでは省きますが、最終的に彼は、以下のような投稿を私に飛ばしてきたのです。
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