勝部元気(かつべ・げんき) コラムニスト・社会起業家
1983年、東京都生まれ。民間企業の経営企画部門や経理財務部門等で部門トップを歴任した後に現職。現代の新しい社会問題を「言語化」することを得意とし、ジェンダー、働き方、少子非婚化、教育、ネット心理等の分野を主に扱う。著書に『恋愛氷河期』(扶桑社)。株式会社リプロエージェント代表取締役、市民団体パリテコミュニティーズ代表理事。所有する資格数は71個。公式サイトはこちら
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
正論や真面目さの敗北が冷笑欲の増殖につながった
旧2ちゃんねる創設者で実業家の西村博之(ひろゆき)氏(以下、本文では「西村氏」)が、沖縄の辺野古新基地建設反対の座り込み運動に対して、Twitterで揶揄する投稿をし、批判が殺到しました。
これは、本土から過剰に基地を押し付けられている沖縄の人々を踏みにじるものだと思います。Twitterでは、「#沖縄の人々への侮辱を許さない」「#ENDひろゆき」「#ひろゆき離れ」等、関連ワードが連日トレンド入りしていましたが、反発も当然でしょう。
ところが、西村氏は謝罪するどころか反論を続け、自身のYouTubeでは「沖縄の人って文法通りしゃべれない」「きれいな日本語にならない人の方が多い」などと発言しました。これは明らかなヘイトスピーチです(沖縄タイムス『ひろゆき氏「沖縄の人って文法通りしゃべれない」 県民の“日本語”めぐり発言』2022年10月12日)。
西村氏による一連の言動についての論点は多々ありますが、私が個人的に一番恐怖を覚えたのは、最初の投稿に対しておよそ30万近く(2022年10月26日時点)ものアカウントが「いいね」をつけたことでした。
つまり、これだけの人々が、沖縄の人々を踏みにじるような西村氏の“加害行動”に“加担”したわけです。もはや西村氏個人の発言にとどまらず、「社会的弱者に対する集団的イジメ」の問題だと思います。
おそらく、基地問題について日頃から反対派を攻撃しているような、いわゆる「ネット右翼」と呼ばれる人々だけが同調したのではなく、さらに広い層にも西村氏の投稿に共感を覚えた人が一定数いたのでしょう。だからこそ、由々しき問題だと感じるのです。