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『守銭奴 ザ・マネー・クレイジー』に出演する竹内將人に聞く (上)

最高の現場にいるんだなと日々実感している

橘涼香 演劇ライター


 舞台、映画、ドラマなどジャンルを越えて活躍する実⼒派俳優・佐々⽊蔵之介と、ルーマニアの巨匠、演出家・シルヴィウ・プルカレーテがタッグを組む注目作『守銭奴 ザ・マネー・クレイジー』が11月23日~12月11日東京芸術劇場プレイハウスで上演される(のち12月15日宮城・えずこホール、1月6日~9日大阪・森ノ宮ピロティホール、1月14日高知・高知県県民文化ホール オレンジホールで上演)。

 佐々⽊とプルカレーテは2017年に『リチャード三世』で初めて一緒にクリエーションをおこない、これまでにないシェイクスピア劇で⽇本演劇シーンに旋⾵を巻き起こした。そんな2人のタッグが5年ぶりに復活。今年、⽣誕400年を迎えるフランスを代表する劇作家モリエールの傑作中の傑作『守銭奴』を現代に蘇らせる。

 その作品で、佐々木演じるあらゆる⾦を出し渋るドケチオヤジ・アルパゴンの息子クレアントを演じる竹内將人が、いま心をつかまれているという台詞劇への思いと、稽古場で感じること、更に俳優としてのビジョンを語ってくれた。

お芝居がどんどん好きになった

竹内將人=中村嘉昭 撮影
拡大竹内將人=中村嘉昭 撮影

──オーディションを経て出演を勝ち取ったと伺っていますが、まずこの作品への出演を目指された思いから教えていただけますか?

 今回、舞台経験としてミュージカルではないストレートプレイに初挑戦するんですが、今年の初めに大竹しのぶさん主演の『ピアフ』という音楽劇に出演したんです。それも基本は芝居で物語が進行していくのですが、ピアフが歌手ですから歌手として歌う場面はたくさんあり、僕も劇中で3曲ぐらい歌ったんですね。その機会に大竹しのぶさん、梅沢昌代さん、彩輝なおさんなど、大ベテランの方々にとても丁寧にお芝居のことを教えてもらえて、お芝居がどんどん好きになって。僕は元々お芝居に関しては未熟だと思っていて。

──そうだったんですか?

 はい、ずっとそれはあって。でもしのぶさん達と稽古を重ねさせていただくなかで、稽古場ではもちろん、家に帰って例えばお風呂に入っている時にも「あそこはこういう進行だったんだから、芝居としてはこうなるんだよな」など、ずっと考えていられるくらいお芝居が好きになっていったんです。舞台がはじまってからも毎日、1幕と2幕の間、それから終演後にしのぶさん、梅沢さん、彩輝さんの楽屋に行って「今日のお芝居どうでしたか?」と伺い、色々アドバイスをもらって、それをまた踏まえて舞台に臨む、を続けていったので、本当に『ピアフ』は僕とって、すごく大きな人生の転機になりました。

 その後『ガイズ&ドールズ』という“ザ・ブロードウェイ!”のミュージカルに出演したんですけど、お芝居が好きだと思ってから、改めてミュージカルに取り組んだら、基本的に歌とダンスで繋いでいくこれぞミュージカルという流れのなかでも、お芝居はすごく大切なんだと改めて感じて、芝居をもっとやりたいと思ったんです。そうした時に、この作品のオーディションの話をいただいて、しかもフランスの古典悲劇なんて今まで挑戦する機会がありませんでしたから、これは『ピアフ』で教えてもらった芝居の楽しさだったり、どうやってアプローチをしていくか学んだことを最大限に試せる場だ、と思いました。ですから、絶対にオーディションを勝ち抜いて、偉大な先輩方の元でまた芝居力を上げられたら本当にいいなと思って受けたオーディションだったので、出演が決まって本当に嬉しかったですし、やる気に満ち溢れています。

竹内將人=中村嘉昭 撮影
拡大竹内將人=中村嘉昭 撮影

──『ピアフ』も『ガイズ&ドールズ』も拝見させていただいて、素晴らしいご活躍だと思っていましたが、ご本人にとってもそれほど貴重なご経験だったのですね。ではそうしたお気持ちでいまこの作品の稽古に臨まれていていかがですか?

 プルカレーテさんの演出がとても細かくて、台詞ごとに動きですとか、表現しなきゃいけないものが決まっているんです。本当に短いシーンもすごく時間をかけて演出してくださって。ですから俳優もプルカレーテさんから受け取ったものを、例えばこういう心境だからこういう動きになるのか、というように自分の中に落としこんで、プルカレーテさんがお帰りになったあと、俳優だけが残ってみんなで自主練するという作業をしています。それをしておかないと、おそらく次の稽古までに多分どうにもならなくなってしまうかも、と思うくらい細かい演出なので。

竹内將人=中村嘉昭 撮影
拡大竹内將人=中村嘉昭 撮影

──それでは、やはりこの現場でも俳優さん同士からの学びがたくさんおありなのですね?

 僕としてはもうそれが本当にありがたいし、頼もしいです。(佐々木)蔵之介さんをはじめ、偉大な先輩方の演技を目の前で見て、「あ、こういう間の取り方で変わるのか」ですとか、「ここの語尾をこうするんだ」等々を、日々学ばせていただけますし、プルカレーテさんから演出をつけてもらった後、すぐに自分の中に落とし込めなかった時なども、「こうやった方がいいということでしょうか?」とお伺いすると、「いや、それはこういうことなんじゃないか?」と、皆さんがアドバイスくださるんです。それも「こうだよ」と決めつけるのではなくて、僕自身が考えられるように、可能性を広げてくれるアドバイスをたくさんしてくださるので、そこから僕の想像力も広がっていくのを感じますから、いま、最高の現場にいるんだなというのを実感しながらやっています。

◆公演情報◆
東京芸術祭2022 芸劇オータムセレクション
『守銭奴 ザ・マネー・クレイジー』
東京:2022年11月23日(水・祝)~12月11日(日) 東京芸術劇場 プレイハウス
宮城:2022年12月15日(木) えずこホール(仙南芸術文化センター)大ホール
大阪:2023年1月6日(金)~9日(月・祝) 森ノ宮ピロティホール
高知:2023年1月14日(土) 高知県立県民文化ホール オレンジホール
公式ホームページ
[スタッフ]
作:モリエール
翻訳:秋⼭伸⼦
演出:シルヴィウ・プルカレーテ
[出演]
佐々木蔵之介
加治将樹、竹内將人、大西礼芳、天野はな
茂手木桜子、菊池銀河、安東信助
長谷川朝晴、阿南健治、手塚とおる、壤晴彦
〈竹内將人プロフィル〉
 幼い頃から劇団四季『ライオンキング』ヤングシンバ役などに出演、2017年東京藝術大学 声楽科を卒業後、2019年には王立音楽院(ロンドン大学) ミュージカル科修士課程を修了。ミュージカル・舞台に数多く出演するほか、クラシカル・クロスオーバーユニット「Gen・Rin」のメンバーとしても活躍中。主な出演作は、『ガイズ&ドールズ』、『ピアフ』、『GREY』、『レ・ミゼラブル』、『アナスタシア』など。Eテレ「キソ英語を使ってみたら世界とつながった。」(NHK-22)にレギュラー出演している。
オフィシャルサイト
オフィシャルtwitter

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筆者

橘涼香

橘涼香(たちばな・すずか) 演劇ライター

埼玉県生まれ。音楽大学ピアノ専攻出身でピアノ講師を務めながら、幼い頃からどっぷりハマっていた演劇愛を書き綴ったレビュー投稿が採用されたのをきっかけに演劇ライターに。途中今はなきパレット文庫の新人賞に引っかかり、小説書きに方向転換するも鬱病を発症して頓挫。長いブランクを経て社会復帰できたのは一重に演劇が、ライブの素晴らしさが力をくれた故。今はそんなライブ全般の楽しさ、素晴らしさを一人でも多くの方にお伝えしたい!との想いで公演レビュー、キャストインタビュー等を執筆している。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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