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『守銭奴 ザ・マネー・クレイジー』に出演する竹内將人に聞く (下)

モリエール+日本のセンス+プルカレーテ演出で魅力的な作品に!

橘涼香 演劇ライター

竹内將人に聞く (下)

──その中でご自身の役柄についてはいかがですか?

 (佐々木)蔵之介さん演じるアルパゴン、守銭奴のドケチ親父の息子のクレアント役ですが、大西礼芳さんが演じる妹のエリーズと共に、まあひどい生活を強いられてるわけです。演出のプルカレーテさんが「アルパゴンはモンスターなんだ」と表現されていましたが、社会常識と完全に分離したモンスターになっている父親と生活するって、どんな状況なんだろうとずっと考えています。でもまだ細かい反応を導き出せるほど、自分のなかで答えが見つかっていなくて。

竹内將人=中村嘉昭 撮影
拡大竹内將人=中村嘉昭 撮影

 念のために言いますと、僕の父は守銭奴ではなかったですし(笑)、学校にも行かせてくれて、クリスマスプレゼントも買ってくれる普通の家庭で育ったので、ここまでドケチな父親に育てられたとしたら、お金に対してどういう反応をするんだろうか。ましてや実際にはお金がたくさんあるのに、それを使えないもどかしさというものが、どんな人間性を作り出していくのかをまだ研究中で、もうちょっと勉強しなきゃいけないなと思っています。でも戯曲から読み取ると、クレアントはアルパゴンとは真逆の性格の、繊細なお坊ちゃんとして書かれていて、でもお金は使えない(笑)という本当に様々なものが入り組んだ役になっていますね。

──確かにお金があるのに使えないってかなりしんどいですね。

 そうなんですよ! そのあたりのもどかしさとか、そこから父親やお金に対してどんな反応をするのかを、もっと深めていきたいです。

竹内將人=中村嘉昭 撮影
拡大竹内將人=中村嘉昭 撮影

──そうした意味でも、今回もまた先ほどからお話の出ている主演でお父様役の佐々木蔵之介さんをはじめ、錚々たる共演者の方達が揃ったカンパニーですから、お稽古から得るものも大きいのでは?

 ベテランの方々って、初日の読み合わせの段階から、例えば蔵之介さんだったらもう完全にアルパゴンなんです! 蔵之介さんのなかにちゃんとアルパゴンがいて、台本上にある文字を読んだら既にアルパゴンの言葉になっているという感覚があります。それは『ピアフ』で、しのぶさんや、梅沢さん、彩輝さんが最初の読み合わせで声を発せられた時にも、全く同じように感じたことでしたが、この『守銭奴』でも、蔵之介さんをはじめ、長谷川朝晴さん、阿南健治さん、手塚とおるさん、壤晴彦さんなどなど、皆さんから感じました。本当にその人たちが声を発すれば、その役であるということにすごく驚いたし、感動しましたね。

や っぱり僕はまだ、読み合わせの時から立ち稽古に入って、という段階を経て色々なことがすごく変わるんです。クレアントという役柄の印象も自分としても大きく変化していったりするんですが、大御所の方々は読み合わせの段階で既に全てが整っていて、立ち稽古に入って、プルカレーテさん演出で「ここでこうして」とおっしゃると、それが整った役の上に更に備わっていくという風に見える。もちろん皆さんの中では、こういう演出だったらどうなんだ?というような、変化はおありなんでしょうけれども、僕から見れば役作りができた段階で現場にいらしていると感じるので、こうしたすごい俳優さん達の域に行くためには、僕はどう努力していけばいいのか?を毎日考えながらやっています。

竹内將人=中村嘉昭 撮影
拡大竹内將人=中村嘉昭 撮影

──ではこの『守銭奴』の現場でも、日々大きな刺激を受けていらっしゃるのですね。

本当に『ピアフ』に出会って、いまこの『守銭奴』に挑戦できて、今年、まだもう少しありますけれども、僕の人生を本当に大きく変えてくれた年になっていると思います。

◆公演情報◆
東京芸術祭2022 芸劇オータムセレクション
『守銭奴 ザ・マネー・クレイジー』
東京:2022年11月23日(水・祝)~12月11日(日) 東京芸術劇場 プレイハウス
宮城:2022年12月15日(木) えずこホール(仙南芸術文化センター)大ホール
大阪:2023年1月6日(金)~9日(月・祝) 森ノ宮ピロティホール
高知:2023年1月14日(土) 高知県立県民文化ホール オレンジホール
公式ホームページ
[スタッフ]
作:モリエール
翻訳:秋⼭伸⼦
演出:シルヴィウ・プルカレーテ
[出演]
佐々木蔵之介
加治将樹、竹内將人、大西礼芳、天野はな
茂手木桜子、菊池銀河、安東信助
長谷川朝晴、阿南健治、手塚とおる、壤晴彦
〈竹内將人プロフィル〉
幼い頃から劇団四季『ライオンキング』ヤングシンバ役などに出演、2017年東京藝術大学 声楽科を卒業後、2019年には王立音楽院(ロンドン大学) ミュージカル科修士課程を修了。ミュージカル・舞台に数多く出演するほか、クラシカル・クロスオーバーユニット「Gen・Rin」のメンバーとしても活躍中。主な出演作は、『ガイズ&ドールズ』、『ピアフ』、『GREY』、『レ・ミゼラブル』、『アナスタシア』など。Eテレ「キソ英語を使ってみたら世界とつながった。」(NHK-22)にレギュラー出演している。
オフィシャルサイト
オフィシャルtwitter

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筆者

橘涼香

橘涼香(たちばな・すずか) 演劇ライター

埼玉県生まれ。音楽大学ピアノ専攻出身でピアノ講師を務めながら、幼い頃からどっぷりハマっていた演劇愛を書き綴ったレビュー投稿が採用されたのをきっかけに演劇ライターに。途中今はなきパレット文庫の新人賞に引っかかり、小説書きに方向転換するも鬱病を発症して頓挫。長いブランクを経て社会復帰できたのは一重に演劇が、ライブの素晴らしさが力をくれた故。今はそんなライブ全般の楽しさ、素晴らしさを一人でも多くの方にお伝えしたい!との想いで公演レビュー、キャストインタビュー等を執筆している。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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