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『ダブル・トラブル』で共演!上口耕平&水田航生インタビュー(上)

一緒にやれることが良かったと思える共通の空気感

橘涼香 演劇ライター


 映画の都ハリウッドでミュージカル映画の楽曲を書き下ろすというビッグチャンスを得て、ブロードウェイから意気揚々とやってきたソングライター兄弟が、次々とあらわれては無理難題を言ってくる人々との騒動に巻き込まれていく様を、たった二人の役者だけで演じていく捧腹絶倒のミュージカル『ダブル・トラブル』。これまで様々なキャストで演じ続けられてきた大人気作品が、“2022-23冬”として、Team D浜中文一&室龍太(12/12~1/21自由劇場、1/26~29新国立劇場 小劇場)、Team E上口耕平&水田航生(12/23~1/22自由劇場)、Team F越岡裕貴&松崎祐介(2/2~2/19新国立劇場 小劇場)の3チームで上演される。

 そのなかで、『ダブル・トラブル』初登場となる上口耕平と水田航生が、2人だけのセッションで作られていく作品にかける意気込みと、演出のウォーリー木下との稽古場の様子、更に互いに感じる魅力などを語り合ってくれた。

感覚的に近いものがある2人

上口耕平(右)と水田航生=森好弘 撮影拡大上口耕平(右)と水田航生=森好弘 撮影

──お稽古中と伺っておりますが、まずお稽古場での様子から教えていただけますか?

上口 (水田)航生がひと足早く稽古入りしていて、僕が遅れて合流させてもらったので、いまようやく2人でのセッションをスタートできたというところです。これまではテクニカルな部分、歌稽古ですとか振付をとにかく入れていくという作業が多かったので、やっと自分たちの色みたいなものを探しながら、いまそれを見つけつつあるという感じですね。

水田 遅れて稽古に入ったにもかかわらずもう台詞も全部入っていたんです! 僕は結構早いうちからDチームを見学させてもらったりもしていて、振付や歌もやってきていたのに、耕平さんが稽古に入ってすぐとは思えない速度でやられているので、さすがだな!と。

上口 こう言ってますけど、違うんですよ! かなり引っ張ってもらっています。振付中にもパッと見れば、こっちだよと示してくれるし、振付にはないところでも、キャラクターとして「そこに座るのよ!」とか言ってくれたりもしているので、航生の導きに助けられています。

上口耕平=森好弘 撮影拡大上口耕平=森好弘 撮影

──早くも「兄弟感」が確立している感じですね。

水田 そうなんです。僕は実生活でも兄がいて2人兄弟なので、実の兄には申し訳ないんですけど、実の兄より頼り甲斐があって(笑)、お兄ちゃんという感覚が既にあります。

上口 自分たちで言うのもなんですが、相性が良いって思えていて。

水田 めちゃめちゃ思います!

上口 一緒に歌っていてすごく心地よいよね。

水田 初日の本読みの時には、なんの打ち合わせもしないままほぼぶっつけで読み合わせをしたんですけど、その時からすごく楽しくて、テンポも良かったですし、初めて一緒に芝居をするとは思えないぐらいの感覚で本読みができたので。

上口 好きなものが似ているんだろうなと感じた。空気感とか、雰囲気とか、言葉で表現するのは難しいんだけど、こう行ったらこう来た!じゃあ今度はこう行こう!みたいなやりとりもすごく合致しやすい。自然に僕たちだけのやりとりが形成されていっているので、あぁ、だからこの作品は色々なチームの組み合わせでやっていけるんだなと、その意味がよくわかった気がしました。2人だけの空気感が生まれやすい台本ですね。たぶん、観客として芝居を観ている時にも、好きだなと感じるところとか、演じる上で目指しているところに近いものがあるんじゃないかと。

水田航生=森好弘 撮影拡大水田航生=森好弘 撮影

水田 それはありますね。稽古の間に色々と話すんですけど、「サッカー面白いよね!」とか、世間で盛り上がっている事柄の話をするわけじゃなくて、芝居の話ばかりしているんですが、感覚的に近いものはすごく感じます。

上口 そこがまた兄弟っぽくない?  弟とお兄ちゃんって意外とそんなに趣味が合わないし、お互いの好きなものについて話したりもしないよね。でも育ってきた環境が同じで触れてきたものが近いから、感覚的に近い部分はたくさんあっていちいち話さなくてもわかると言うか。

水田 そうそう。だから稽古が終わって一緒に帰りながらも「あのシーンどう思います?」みたいに芝居の話をずっとしていられる。たぶんね、感覚が遠かったら稽古が終わったあとまで、ずっと芝居の話をしていようって感じにはならないと思うんですよ。もちろんそれが悪いわけでは全くなくて、それぞれプライベートな時間に自分で構築してまた稽古場に持ち寄る、っていうスタイルもありますよね。でも耕平くんとはずっと芝居の話をしているし、休憩中でも思いついたらすぐ話すし、それに対してすぐ返してくれる。頭のなかで芝居の構築を常にしている、その熱量が似ているのかな?と思います。だからこの2人だけの作品を作るにあたって、ご一緒するのが耕平くんで良かったと思います!

上口 もうそれは僕こそ!  本当に航生で良かったと思ってるよ!

◆公演情報◆
ミュージカル『ダブル・トラブル』2022-23冬
〇Team D/浜中文一、室龍太
2022年12月12日(月)~2023年1月21日(土)自由劇場
2023年1月26日(木)~29日(日)新国立劇場 小劇場
〇Team E/上口耕平、水田航生
2022年12月23日(金)~2023年1月22日(日)自由劇場
〇Team F/越岡裕貴、松崎祐介
2023年2月2日(木)~2月19日(日) 新国立劇場 小劇場
公式ホームページ
[スタッフ]
脚本・作詞・作曲:ボブ・ウォルトン&ジム・ウォルトン
翻訳・訳詞:高橋亜子
演出:ウォーリー木下
音楽監督:落合崇史、大塚茜
振付:TETSUHARU
タップ振付:本間憲一
〈上口耕平プロフィル〉
  2002年、TVドラマ『ごくせん』で俳優デビュー。高校時代から数々のダンスコンテストに入賞し、キレのあるダンスには定評がある。近年はミュージカルを中心にジャンルを問わず活躍中。近年の主な舞台出演作品は、『ヘアスプレー』、『僕はまだ死んでない』、『GREASE』、『ドン・ジュアン』、『メリリー・ウィー・ロール・アロング』、『屋根の上のヴァイオリン弾き』、『RENT』、『ウエスト・サイド・ストーリー』Season2など。
公式ホームページ
公式Twitter
〈水田航生プロフィル〉
  2005年、約5000人の応募者の中から第1回アミューズ王子様オーディションのグランプリを受賞。ミュージカル『テニスの王子様』をはじめ、舞台、ミュージカルを中心に活躍。近年の主な舞台出演作は、『四月は君の嘘』、『冬のライオン』、『ザ・パンデモニアム・ロック・ショー~The Pandemonium Rock Show~』、『The Last 5 Years』、『GHOST』、『東京原子核クラブ』、『Count Down My Life』など。
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筆者

橘涼香

橘涼香(たちばな・すずか) 演劇ライター

埼玉県生まれ。音楽大学ピアノ専攻出身でピアノ講師を務めながら、幼い頃からどっぷりハマっていた演劇愛を書き綴ったレビュー投稿が採用されたのをきっかけに演劇ライターに。途中今はなきパレット文庫の新人賞に引っかかり、小説書きに方向転換するも鬱病を発症して頓挫。長いブランクを経て社会復帰できたのは一重に演劇が、ライブの素晴らしさが力をくれた故。今はそんなライブ全般の楽しさ、素晴らしさを一人でも多くの方にお伝えしたい!との想いで公演レビュー、キャストインタビュー等を執筆している。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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