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ミュージカル『キングアーサー』主演の浦井健治に聞く(下)

剣のひと振りひと振りにそれぞれの人生があぶり出される

小野寺亜紀 演劇ライター、インタビュアー


浦井健治インタビュー(上) 

高音を味方につけると格好いい

――フレンチロックミュージカルと言われる、『キングアーサー』の音楽についてお聞かせください。

 高音がたくさん出てくる、体力の要る歌ばかりで、みんなでヒーヒー言いながら歌稽古をしています。でもプロデューサーの方が、それぞれの役者の声質に楽曲が合っていると言って、ワクワクしてくださっているのがうれしいです。

 発声の面では、フランス語をイメージできるような軽快さがないと楽曲が弾まない。でもロックだから“ひずみ”も必要で、その両方を念頭に稽古しています。

浦井健治=竹田憲司 撮影


拡大浦井健治=竹田憲司 撮影

――難しいシャウトなどもあるのですか?

 王は、あまりシャウトしないです。シャウト担当はこの2人(メレアガン役の伊礼彼方・加藤和樹)ですね(笑)。でも、僕も『エリザベート』のルドルフ以上に高音です。だからなかなか大変ですが、高音を味方につけたら、すごく格好いいと思います。

――ほかのキャラクターについてもお聞きしたいのですが、騎士の娘でアーサーと恋に落ちるグィネヴィアは、小南満佑子さんと宮澤佐江さんがダブルキャストで演じられます。

 お2人とも華があり、素晴らしいスキルを持っている女優さん。眼差しは強いですが、普段は謙虚で気を遣われる方だなという印象があります。きちんと自分を持っているというか、芯があるところは、役柄に通じるように思います。

 実は『キングアーサー』で歴史を動かしたのは預言者ではなく、女性だと感じていて。シェイクスピアの作品でも、男性がメインで女性のキャラクターは数人しか出てこないけど、実はその数人が歴史を動かしているということが多いです。

浦井健治=竹田憲司 撮影


拡大浦井健治=竹田憲司 撮影

――アーサーとグィネヴィアとの関係は次第に変化していく流れがありますが、そのあたりも演じがいがありそうですか?

 そうですね。僕自身、人間の有様について考えてしまうので。『ロミオ&ジュリエット』もそうですが、いろいろな死、無意味な争い、試練などがあり、今回は男性も女性も身につまされるところがある作品になる気がします。

――ファンタジーですが、いろいろなものが見えてくると?

 実はコロナ禍がもうファンタジーの世界のような……。現実がもう3年前とは違ってファンタジーじゃないか、って。ウイルスだけではなく、経済とか国の置かれている状況とか、今だからこそわかりやすい。様々な風刺が、びっくりするほどあるなと思います。

◆公演情報◆
ミュージカル『キングアーサー』
東京:2023年1月12日(木)~2月5日(日) 新国立劇場 中劇場
群馬:2023年2月11日(土・祝)~12日(日) 高崎芸術劇場 大劇場
兵庫:2023年2月24日(金)~26日(日) 兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール
愛知:2023年3月4日(土)~5日(日) 刈谷市総合文化センターアイリス 大ホール
公式ホームページ
[スタッフ]
日本版台本・演出:オ・ルピナ
翻訳・訳詞:高橋亜子
[出演]
浦井健治、伊礼彼方/加藤和樹 (Wキャスト・五十音順)、太田基裕/平間壮一 (Wキャスト・五十音順)、小南満佑子/宮澤佐江 (Wキャスト・五十音順)、小林亮太、東山光明
石川禅、安蘭けい ほか
〈浦井健治プロフィル〉
 2000年『仮面ライダークウガ』で俳優デビュー。ミュージカル、ストレートプレイ、映像作品と幅広いジャンルの作品に出演。2006年、第31回菊田一夫演劇賞、第44回紀伊國屋演劇賞個人賞と、第17回読売演劇大賞杉村春子賞を受賞。2015年に第22回読売演劇大賞最優秀男優賞を受賞。2017年に第67回芸術選奨文部科学大臣新人賞<演劇部門>など数々の演劇賞を受賞。主な出演作品は、『ヘンリー六世』『笑う男 The Eternal Love -永遠の愛-』『GHOST』『王家の紋章』『デスノート THE MUSICAL』など。2023年4月に『アルジャーノンに花束を』への出演が決まっている。
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筆者

小野寺亜紀

小野寺亜紀(おのでら・あき) 演劇ライター、インタビュアー

大阪府出身。幼い頃から舞台をはじめ、さまざまなエンターテインメントにエネルギーをもらい、その本質や携わる人々の想いを「伝える」仕事を志す。関西大学文学部卒業後、編集記者を経て独立。長年、新聞や雑誌、Webサイト、公式媒体などで、インタビューや公演レポート等を執筆している。特に宝塚歌劇関係の取材は多い。 小野寺亜紀オフィシャルサイト(https://aki-octogreen.themedia.jp/)

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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