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ミュージカル『キングアーサー』に出演!加藤和樹インタビュー(下)

誰もが運命に縛られながらもどう生きていくかを葛藤している

橘涼香 演劇ライター


加藤和樹インタビュー(上)

役者がちゃんと役を生きて物語をつないでいく

──また、演出のオ・ルピナさんは、韓国でこのミュージカルを演出されていて、今回日本版の演出も担当されるということですが、いま演出を受けられていかがですか?

 彼女自身が一度この作品を韓国でやっているということもあって、全体像が見えている中で我々を一歩一歩導いてくれている感じがすごくします。更に、今回の日本版ならではのものを作ろうとしてくださっていて、日本のミュージカルはダンスのクオリティーがとても高いですから、振付にKAORIaliveさんがいらして、そこをフューチャーしたパワフルでダイナミックなダンスナンバーを作ってくださっています。今ここにある我々の力で作り出せるものを一緒に作っているという感じがします。

加藤和樹=岩田えり 撮影拡大加藤和樹=岩田えり 撮影

──すでに一度演出をされていて、日本ではまた新たなものをというのは素晴らしいなと思いますが、日本版として特にここが大切だなと思われるところは?

 今回の作品は、ある意味でどう作っていってもエンターテインメント性が高いものにはなるんだろうと思っているんです。楽曲が既にそうなっているので。ですからそこを如何に芝居で締めるかにかかってくると思っています。そうでないと、とても派手でエンターテインメントなファンタジーミュージカルです、だけで終わってしまう。作品自体の中身が薄くなってしまうんですよね。ファンタジーの良いところであり、難しいところでもあると思うのですが、つながりが飛ぶというか、説明がなされないままに進んでいってしまうところがあるので、そこを我々が芝居で埋めていかなければいけない。役者が役をちゃんと生きて、気持ちをつなげていくという作業は、まだまだこれからなんですけど、そこが難しいですし、大切だなと感じています。

──確かに魔女や、魔道が多くでてくる物語というのは、ストーリーとしてはポンと飛んだ?と感じることがありますね。

 そういう時系列ですとか、登場人物たちの関係性などは、或いはわざわざ説明する必要はないのかもしれないんですけれども、お客様が観ていらっしゃる最中に気になり始めると、それがずっと引っかかってしまったりしますので、そうした違和感をなるべくなくしていきたいと思います。この物語で一番出てくるワードって「運命」なんです。「運命に導かれた」とか「運命に選ばれた」とか「運命が定めた」とか。メレアガン自身は「運命なんてクソくらえ!」という人間なのですが、その運命に抗い、もがきながらも、いつかそれを受け入れて生きていくアーサーの強さみたいなものが同時に描かれてるので、誰もが運命に縛られながらもその中でどう生きていくかに葛藤しているのが、みどころのひとつだなと思います。

◆公演情報◆
ミュージカル『キングアーサー』
東京:2023年1月12日(木)~2月5日(日) 新国立劇場 中劇場
群馬:2023年2月11日(土・祝)~12日(日) 高崎芸術劇場 大劇場
兵庫:2023年2月24日(金)~26日(日) 兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール
愛知:2023年3月4日(土)~5日(日) 刈谷市総合文化センターアイリス 大ホール
公式ホームページ
[スタッフ]
日本版台本・演出:オ・ルピナ
翻訳・訳詞:高橋亜子
[出演]
浦井健治、伊礼彼方/加藤和樹 (Wキャスト・五十音順)、太田基裕/平間壮一 (Wキャスト・五十音順)、小南満佑子/宮澤佐江 (Wキャスト・五十音順)、小林亮太、東山光明
石川禅、安蘭けい ほか
〈加藤和樹プロフィル〉
 2005年ミュージカル『テニスの王子様』で脚光を浴びる。翌年Mini Album「Rough Diamond」でCDデビュー。音楽活動と並行し、舞台・ミュージカル・映像作品にも多数出演。俳優・声優としても活躍の場を広げている。近年の主な出演作品は、『裸足で散歩』、『るろうに剣心 京都編』、『冬のライオン』、『フィスト・オブ・ノーススター~北斗の拳~』、『ジャック・ザ・リッパー』、『マタ・ハリ』など。第46回菊田一夫演劇賞 演劇賞を受賞。2023年2月に自身のConcertTOUR「Kazuki Kato NAKED2023」、4月に舞台『BACKBEAT』、7月にミュージカル『ファントム』への出演が決まっている。
オフィシャルサイト
公式twitter

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筆者

橘涼香

橘涼香(たちばな・すずか) 演劇ライター

埼玉県生まれ。音楽大学ピアノ専攻出身でピアノ講師を務めながら、幼い頃からどっぷりハマっていた演劇愛を書き綴ったレビュー投稿が採用されたのをきっかけに演劇ライターに。途中今はなきパレット文庫の新人賞に引っかかり、小説書きに方向転換するも鬱病を発症して頓挫。長いブランクを経て社会復帰できたのは一重に演劇が、ライブの素晴らしさが力をくれた故。今はそんなライブ全般の楽しさ、素晴らしさを一人でも多くの方にお伝えしたい!との想いで公演レビュー、キャストインタビュー等を執筆している。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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