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時代劇の年末年始~池波正太郎生誕100年など記念作品とオリジナルが続々

ペリー荻野 時代劇研究家

 「時代劇の年末年始」が帰ってきた。

 かつては、12月14日の赤穂浪士の討ち入りにちなんだ「忠臣蔵」をはじめ、歴史大作、長時間作品、人気シリーズのスペシャル版など、年末年始は多くの時代劇が放送されていたが、近年はその数が減っていた。

 だが、今年は年末から2023年1月にかけて、単発ドラマが5本、連続ドラマが2本スタート。映画も2月公開の『仕掛人・藤枝梅安』(主演・豊川悦司)を入れると、若者たちが1000倍返しならぬ「千両返し」に挑む『近江商人、走る!』(主演・上村侑・森永悠希、12月30日公開)、紀伊国屋文左衛門と近松門左衛門が人助けバディとなる『まくをおろすな!』(主演・越岡裕貴、1月20日公開)、岐阜でのイベントも話題になった木村拓哉主演の『レジェンド&バタフライ』(1月27日公開)と新作4本が揃う。時代劇ファンにとっては、うれしいシーズンとなった。

「仕掛人・藤枝梅安」主演の豊川悦司(左)と「鬼平犯科帳」主演の松本幸四郎2021年3月12日『仕掛人・藤枝梅安』主演の豊川悦司(左)と『鬼平犯科帳』主演の松本幸四郎

 その内容は、定番シリーズから幕末もの、SF、商人もの、ちょんまげなしのミュージカルまで実にさまざまだ。中でもNHKは多彩な4作品を制作している。

 12月30日にBSプレミアム/BS4Kで放送される『まんぞく まんぞく』は、幼い日に自分を守って死んだ家臣の仇をとるため、男装して剣の修業に励む堀真琴(石橋静河)が、旗本の三男坊・織田平太郎(永山絢斗)に出会う。意地を張りあうふたりがどうなるか。真琴の前に現れる悪旗本と仇討ちの結末も気になるところだ。大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の静御前役で優美な舞を披露した石橋が、今回は「自分を打ち負かすような相手でなければ結婚しない」と宣言する女剣士役。ダンサーである彼女のキレのいい殺陣にも期待したい。

 恒例の正月時代劇『いちげき』(総合/BS4K、1月3日)は、幕末期、勤皇浪士を自称する者や薩摩藩士らの暴挙に対応すべく、農民を集めて結成された「一撃必殺隊」の活躍を描く。染谷将太、町田啓太、塚地武雅、松田龍平らが出演。宮藤官九郎・脚本による青春エンターテイメントである。

『大奥』『どうする家康』『必殺仕事人』……

Terd486/Shutterstock.comTerd486/Shutterstock.com

 連続ドラマでは、よしながふみのベストセラー漫画を原作とした『大奥』が始まる(総合、1月10日~)。若い男だけがかかり、死に至る謎の奇病によって男の人口が極端に少なくなった時代。将軍は女が務め、大奥には3000人の男がひしめく。3代徳川家光(堀田真由)×万里小路有功(福士蒼汰)篇、5代徳川綱吉(仲里依紗) ×右衛門佐(山本耕史)篇、8代徳川吉宗(冨永愛)×水野祐之進(中島裕翔)篇と三つの時代の男女逆転大奥での愛憎が描かれる。

 大河ドラマ『どうする家康』(総合/BS4K/BSP、1月8日~)は、松本潤が気弱で、失敗だらけのプリンス家康を演じる。第1回が「どうする桶狭間」。松本潤と正室・瀬名を演じる有村架純の戦国カップルの出会いと桶狭間の激戦でスタートだ。

 民放では、東山紀之主演で15周年となった『必殺仕事人(2023)』(テレビ朝日系、1月8日)で、江戸に蔓延する流行病「鬼面風邪」に乗じた悪があぶりだされる。息の合った仕事人チームの技が冴えるはず。

 連続ドラマとして放送され、時代劇マニアのみならず、家電マニアにも衝撃を与えたのが『家電侍』(BS松竹東急)。貧乏な浪人(滝藤賢一)がタイムスリップしてきた最新家電を受け取り、長屋生活が激変するというSFコメディだ。正月4日に放送されるSP版は、『家電侍スペシャル ストップ!忠臣蔵』。なんと家電で討ち入りを阻止する!? いやいや、それはダメでしょ。なぜ、止める?

『ホリデイ~江戸の休日~』の撮影現場で

 そして、テレビ東京は7年ぶりに「新春時代劇」を復活させ、『ホリデイ~江戸の休日~』を1月6日に放送する。三代将軍徳川家光に『ローマの休日』のような恋の逸話があった!? という時空を超えた時代劇ラブストーリーで、望月歩×葵わかなのW主演、脚本は朝ドラ『ゲゲゲの女房』、大河ドラマ『八重の桜』で知られる山本むつみ、演出は「鬼平犯科帳」「雲霧仁左衛門」シリーズの山下智彦監督である。

 筆者は、この撮影現場を取材した。

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