ペリー荻野(ぺりー・おぎの) 時代劇研究家
1962年、愛知県生まれ。大学在学中よりラジオパーソナリティを務め、コラムを書き始める。時代劇主題歌オムニバスCD「ちょんまげ天国」のプロデュースや、「チョンマゲ愛好女子部」を立ち上げるなど時代劇関連の企画も手がける。著書に『テレビの荒野を歩いた人たち』『バトル式歴史偉人伝』(ともに新潮社)など多数。『時代劇を見れば、日本史はかなり理解できる(仮)』(共著、徳間書店)が刊行予定
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
「時代劇の年末年始」が帰ってきた。
かつては、12月14日の赤穂浪士の討ち入りにちなんだ「忠臣蔵」をはじめ、歴史大作、長時間作品、人気シリーズのスペシャル版など、年末年始は多くの時代劇が放送されていたが、近年はその数が減っていた。
だが、今年は年末から2023年1月にかけて、単発ドラマが5本、連続ドラマが2本スタート。映画も2月公開の『仕掛人・藤枝梅安』(主演・豊川悦司)を入れると、若者たちが1000倍返しならぬ「千両返し」に挑む『近江商人、走る!』(主演・上村侑・森永悠希、12月30日公開)、紀伊国屋文左衛門と近松門左衛門が人助けバディとなる『まくをおろすな!』(主演・越岡裕貴、1月20日公開)、岐阜でのイベントも話題になった木村拓哉主演の『レジェンド&バタフライ』(1月27日公開)と新作4本が揃う。時代劇ファンにとっては、うれしいシーズンとなった。
その内容は、定番シリーズから幕末もの、SF、商人もの、ちょんまげなしのミュージカルまで実にさまざまだ。中でもNHKは多彩な4作品を制作している。
12月30日にBSプレミアム/BS4Kで放送される『まんぞく まんぞく』は、幼い日に自分を守って死んだ家臣の仇をとるため、男装して剣の修業に励む堀真琴(石橋静河)が、旗本の三男坊・織田平太郎(永山絢斗)に出会う。意地を張りあうふたりがどうなるか。真琴の前に現れる悪旗本と仇討ちの結末も気になるところだ。大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の静御前役で優美な舞を披露した石橋が、今回は「自分を打ち負かすような相手でなければ結婚しない」と宣言する女剣士役。ダンサーである彼女のキレのいい殺陣にも期待したい。
恒例の正月時代劇『いちげき』(総合/BS4K、1月3日)は、幕末期、勤皇浪士を自称する者や薩摩藩士らの暴挙に対応すべく、農民を集めて結成された「一撃必殺隊」の活躍を描く。染谷将太、町田啓太、塚地武雅、松田龍平らが出演。宮藤官九郎・脚本による青春エンターテイメントである。