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ミュージカル『バンズ・ヴィジット 迷子の警察音楽隊』に新納慎也が出演(下)

中東の音楽に乗った、さざ波のように心に染みわたる作品

米満ゆうこ フリーライター


新納慎也インタビュー(上)

友情なんだと受け取るウブなあなたでいいの?

――トゥフィークとディナの関係は、恋愛なのか友情なのか、見ていて悩みました。

 友情ではないと思うんですよね。明らかに恋愛の感情は動いているんだと思います。でも、一晩しかいないことはお互いに分かっていて、何もない街で何もないと思って過ごしている美しい女性のディナは、自分が憧れていた国から突然ポンとやって来た人というだけで、相手がセクシーに見えるんだと思います。

 カーレドもディナの家に泊まるんですけど、カーレドのようなチャラい男ではなく、深い大人の男性に惹かれるんだよねという。これが若い世代に向けたミュージカルだったら、色男に惹かれたと思うんですけど、そうじゃない。おじさんに惹かれていくのが大人だなぁと思って。友情とかそういうレベルではなく、セクシャルなものをお互いが感じているんだと僕は思いました。お客さんがそれぞれ感じたままでいいとは思うんですけど、「国を超えた友情なんだと受け取るウブなあなたでいいの?」というメッセージを込めたいです(笑)。このカーレドとトゥフィーク、ディナの関係性は中学生ぐらいには理解できないと思います(笑)。

新納慎也=宮川舞子 撮影
拡大新納慎也=宮川舞子 撮影

――なるほど、そうですね。その辺りの機微がしっかりと分からない私は、まだまだ子どもです(笑)。ラストシーンもそこを含めて楽しみですね。濱田さんがディナ役というのは、まさにピッタリだと思いました。

 ディナは情熱的な女性でカルメンと似ている部分もありますよね。ディナは、誰もいないような田舎街でダイナーをやっている、化粧っ気のない飾らない女性。日本版の公演のチラシでは(濱田)めぐさんがだいぶセクシーに写っていますが、僕がブロードウェイで観た女優は、この人すっぴんかな?と思うぐらいで、髪も砂漠で育ったからバサバサ。砂漠の質感が感じられたんですよ。そういうめぐさんが楽しみだなと思って。だいたいめぐさんは、濃くて怖そうなメークをしている役が多い印象なので(笑)。素の女性の美しさを表現してくださるんだと思うと、とても楽しみですね。

◆公演情報◆
ミュージカル『バンズ・ヴィジット 迷子の警察音楽隊』
東京:2023年2月7日(火)~23日(木・祝) 日生劇場
大阪:2023年3月6日(月)~8日(水)  梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
愛知:2023年3月11日(土)~12日(日) 刈谷市総合文化センター大ホール
公式ホームページ
[スタッフ]
原作:エラン・コリリンによる映画脚本
音楽・作詞:デヴィッド・ヤズベック
台本:イタマール・モーゼス
翻訳:常田景子
訳詞:高橋亜子
演出:森 新太郎
[出演]
風間杜夫、濱田めぐみ、新納慎也、矢崎 広、渡辺大輔
永田崇人、エリアンナ、青柳塁斗
中平良夫、こがけん、岸 祐二 ほか
〈新納慎也プロフィル〉
舞台を中心にキャリアを積み上げ、本年デビュー32周年を迎えた。2009年には『TALK LIKE SINGING』でNEW YORK OFF BROADWAYデビューを果たす。主な舞台出演作品は、『ショウ・マスト・ゴー・オン』、『next to normal』、『日本の歴史』『スリル・ミー』、『生きる』『ラ・カージュ・オ・フォール』『パジャマ・ゲーム』『パレード』など。2021年には、Musical『HOPE』で演出家デビュー。大河ドラマ『鎌倉殿の13人』出演も話題に。
公式twitter
公式instagram

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筆者

米満ゆうこ

米満ゆうこ(よねみつ・ゆうこ) フリーライター

 ブロードウェイでミュージカルを見たのをきっかけに演劇に開眼。国内外の舞台を中心に、音楽、映画などの記事を執筆している。ブロードウェイの観劇歴は25年以上にわたり、〝心の師〟であるアメリカの劇作家トニー・クシュナーや、演出家マイケル・メイヤー、スーザン・ストローマンらを追っかけて現地でも取材をしている。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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