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『Ordinary Days』に出演! 相葉裕樹インタビュー(上)

いま本当に必要なものが詰まっている作品

橘涼香 演劇ライター


 2008年オフ・ウエストエンドで初演、翌年2009年オフ・ブロードウェイで上演され話題を呼んだ、ソングスルーミュージカル『Ordinary Days』が、2月8日~12日東京・俳優座劇場で、2月18日大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA TTホールで上演される。

 ミュージカル『Ordinary Days』眠らない街・N.Y.に住む男女4人、2組のカップルの人生が、思わぬ形で繋がっていくことから、自身のかけがえのない大切な時間に気づいていく様を描いた作品。作詞・作曲を手がけたアダム・グウォンは新進気鋭のクリエイターの1人で、爽快感あふれる誠実な楽曲と共に、誰もが経験したことがあるだろう人を想い合う温かさと共に、思うようにものごとがうまくいかず葛藤する日々を、つまりは日常にある人生の機微や、ささやかな幸福の大切さを緻密な歌で表現していく。

 そんな作品で、恋人のクレアと互いを想いあいながらも、ここ最近衝突ばかりを繰り返し、それぞれの心がつかめなくなっている、30代の男性ジェイソンを演じる相葉裕樹が、新たな作品に臨む思いや、ミュージカルで芝居として歌うことで常に探求している大切なものについて語ってくれた。

実生活の隣にいるようなナチュラルな青年役

相葉裕樹=宮川舞子 撮影拡大相葉裕樹=宮川舞子 撮影

──お稽古前と伺っておりますので(※取材は12月中旬)、戯曲を読まれて感じたことや、特に、この作品をご存知ない方に、こういうミュージカルですよとご紹介いただくというかたちで、作品についてお話いただけますか?

 誰しもが通る道、とまで言うと言い過ぎになってしまうかもしれないのですが、とても普遍的なテーマを扱った作品なんです。登場人物が4人だけで、しかもピアノ1台の演奏で進んでいくミュージカルなのですが、そこに人と人とが思い合う温かさだったり、一方で思いあっているにもかかわらず、気持ちがすれ違ってしまったりなど、恋人同士あるあると言うのかな、それぞれの葛藤や若さ故のぶつかりあいなどが繊細に描かれていきます。ですからご覧になる皆様それぞれにも「あぁ、わかる、わかる」と共感していただける場面が、たくさん散りばめられていると思います。そのなかでも、ちょっとキュンとしたりですとか、切ない気持ち、身近な大切なものに改めて目を向けられるし、伝えたい気持ちがあるなら「言わなくてもわかるよね?」ではなくて、ちゃんと言葉にして表現することの大切さに気づかせてもらえる作品だなと。こういう時代だからこそ、今本当に必要なことが詰まっている、2月に上演されますが、寒い時期にぴったりの大事なものの温かさに向き合えるミュージカルになっていると思います。

相葉裕樹=宮川舞子 撮影拡大相葉裕樹=宮川舞子 撮影

──共感できるところがたくさんあるというお話をいただきましたが、演じるジェイソン役については、相葉さんからご覧になっていかがですか?

 ミュージカルの登場人物というよりも、実生活の隣にいるようなナチュラルな若者なんです。ですから僕にも共感できるところがたくさんありますね。ただ、ジェイソンは恋人のクレアと結構喧嘩するんですよ。もちろん彼も喧嘩をしたくてしている訳ではないんですが、僕自身はあまり喧嘩をしたくないんです。喧嘩している時間がもったいないなと思うし、なるべくものごとを穏便に進めたいと言うか(笑)。でもジェイソンとクレアの二人はぶつかり合いながら進んでいくので、本当に率直だなぁと思うところがありました。だからこそ「そうか、確かにそれぞれの意見ってあるよね」とも思えるので、クレアを演じる夢咲ねねさんとは初共演ですが、ジェイソンとクレアのようにお互いに意見を出し合いながら稽古で深めていけたらいいなと思っています。

相葉裕樹=宮川舞子 撮影拡大相葉裕樹=宮川舞子 撮影

──登場人物が4人だけ、さらに楽曲がピアノひとつで演奏されるということで、音楽の比重が相当に高いミュージカルなのでは?と思いますが、楽曲についてはいかがですか?

 確かに会話にそのままメロディーが乗っていくという場面が多いので、歌の比重はとても高くて、軽快なもの、メロウなもの、楽しい感じになるものなど、色々な要素が入っている楽曲がたくさんあります。ですから音楽の力が大きいだけに、ここにどんな日本語の歌詞がつくのか?を、いますごく楽しみにしているところです。実際に自分自身の体を通して歌ってみた時と、楽曲として聞いている時の印象は違ってきますし、稽古を通して変わっていくこともあるので、本番で歌う歌詞で早く歌ってみたいですね。ピアノ1台の演奏で心情表現をしていくので、何よりも歌詞に、言葉に自分自身で説得力を持たせて、お客様に届けられたらいいなと思っています。

◆公演情報◆
オフ・ブロードウェイ ミュージカル
『Ordinary Days』
東京:2023年2月8日(水)~12日(日) 俳優座劇場
大阪:2023年2月18日(土) COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール
公式ホームページ
[スタッフ]
Ordinary Days Music and Lyrics by Adam Gwon
脚色・演出:田中麻衣子
音楽監督・ピアノ演奏:落合崇史
翻訳:藤倉 梓
[出演]
相葉裕樹、夢咲ねね、斎藤瑠希、浜崎香帆、小池竜暉、中本大賀
〈相葉裕樹プロフィル〉
 2004年映画デビュー。2005年ミュージカル『テニスの王子様』で初舞台。2009年『侍戦隊シンケンジャー』に出演し注目を集める。また、声の吹き替えなどに活動の幅を広げている。主な出演作品は、『スクルージ ~クリスマス・キャロル~』、『ダブル・トラブル』、『CROSS ROAD〜悪魔のヴァイオリニスト パガニーニ〜』など。6月には音楽劇『ダ・ポンテ~モーツァルトの影に隠れたもう一人の天才~』、9月にはミュージカル『アナスタシア』への出演が決まっている。
公式ホームページ
公式twitter

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筆者

橘涼香

橘涼香(たちばな・すずか) 演劇ライター

埼玉県生まれ。音楽大学ピアノ専攻出身でピアノ講師を務めながら、幼い頃からどっぷりハマっていた演劇愛を書き綴ったレビュー投稿が採用されたのをきっかけに演劇ライターに。途中今はなきパレット文庫の新人賞に引っかかり、小説書きに方向転換するも鬱病を発症して頓挫。長いブランクを経て社会復帰できたのは一重に演劇が、ライブの素晴らしさが力をくれた故。今はそんなライブ全般の楽しさ、素晴らしさを一人でも多くの方にお伝えしたい!との想いで公演レビュー、キャストインタビュー等を執筆している。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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