メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

乗船前の救命胴衣装着体験あるいは乗船中の胴衣装着を義務化すべきだ

航空機の場合は「装着体験日」があるとよい

杉田聡 帯広畜産大学名誉教授(哲学・思想史)

 2020年11月、香川県の坂出市沖で、修学旅行中の小学生らを含む62人が乗った旅客船が座礁・沈没するという事故が起きた。幸い乗客全員が無事救出されたが、一つまちがえば大遭難事故になるところだった(2023年1月20日付朝日新聞)。

 それから2年2カ月、本年1月19日に、国交省の運輸安全委員会がこの事故に関わる報告書を提出した。そこでは事故の詳しい分析がなされており、末尾には、今後の再発防止に向けた提言も記されている(「船舶事故調査報告書」)。

 だが、報告書の内容は不十分である。異変発生後に被害拡大を防いだ人的・社会的要因について若干なりとも分析したのに(28p、後述)、今後、万一同種の事故が起きた場合の被害軽減策について、何ら提言がないのである。

沈没した船の上部(手前)で救助を待つ児童ら=2020年11月19日午後5時3分、香川県坂出市沖、高松海上保安部提供拡大香川県坂出市沖の沈没事故で、船の上部(手前)で救助を待つ児童=2020年11月19日、提供・高松海上保安部

筆者

杉田聡

杉田聡(すぎた・さとし) 帯広畜産大学名誉教授(哲学・思想史)

1953年生まれ。帯広畜産大学名誉教授(哲学・思想史)。著書に、『福沢諭吉と帝国主義イデオロギー』(花伝社)、『逃げられない性犯罪被害者——無謀な最高裁判決』(編著、青弓社)、『レイプの政治学——レイプ神話と「性=人格原則」』(明石書店)、『AV神話——アダルトビデオをまねてはいけない』(大月書店)、『男権主義的セクシュアリティ——ポルノ・買売春擁護論批判』(青木書店)、『天は人の下に人を造る——「福沢諭吉神話」を超えて』(インパクト出版会)、『カント哲学と現代——疎外・啓蒙・正義・環境・ジェンダー』(行路社)、『「3・11」後の技術と人間——技術的理性への問い』(世界思想社)、『「買い物難民」をなくせ!——消える商店街、孤立する高齢者』(中公新書ラクレ)、など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

杉田聡の記事

もっと見る