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「この愚か者めが!」の丸川珠代さんの出世道に、今井瑠々さんを勝手に憂う

矢部万紀子 コラムニスト

 丸川珠代参議院議員のことを、何度も書いている。彼女を見ていると、「そうだよね」と思うからだ。「評価される女性って、こういう人だよね」と。誰の評価かというと、会社だったりなんだったりの組織で、構成しているのは圧倒的に男性。つまり「男社会」ということになる。そこで評価される術を彼女が体現しているから、彼女を見ると男社会の図々しさと分厚さを感じる。へこむ。へこみつつ、そんなこんなの残念さを書いてきた。

 さて、今回の丸川さん。昔の武勇伝が話題になった。2010年の民主党政権下、所得制限なしの「子ども手当」が参院厚生労働委員会で可決された時、1年生議員の彼女はこうヤジを飛ばした。「この愚か者めが! このくだらん選択をしたバカ者どもを絶対忘れん!」。

丸川珠代参院議員は、2010年の「この愚か者めが!」のヤジを「反省している」というが……拡大自民党内で順調に「出世」しているかのように見える丸川珠代参院議員

 それから13年。23年1月末の予算委員会で、当時の厚労大臣・長妻昭衆院議員(立憲民主党政調会長)が「とんでもない罵詈雑言」だったと訴えた。行き詰まった岸田文雄首相が「異次元の少子化対策」を言い出し、茂木敏充自民党幹事長は「児童手当の所得制限撤廃」を求めているなか、メディアは立憲民主党の「逆襲」と報じた。首相は「反省すべきものは反省しなければならない」と答弁した。

 当の丸川さんは国会内を歩きながら、「反省すべきは、しっかり反省したいと思います」と言っていた。「反省はしてらっしゃるということでよろしいですか」と重ねる記者に、「さようでございます、反省しております」。殊勝そうに対応していた。

 このニュースで、彼女が現在、自民党参議院幹事長代行だと知った。世耕弘成参院幹事長の記者会見に同席後、記者とやりとりしたのだそうだ。自民党ホームページで「役員」という所をクリックしたら、「参議院自由民主党」というカテゴリーがあり、その上から4番目が「幹事長代行」だった。下にはいっぱいの役職。丸川さん、相変わらず「評価」の一本道。


筆者

矢部万紀子

矢部万紀子(やべ・まきこ) コラムニスト

1961年生まれ。83年、朝日新聞社に入社。宇都宮支局、学芸部を経て、週刊誌「アエラ」の創刊メンバーに。その後、経済部、「週刊朝日」などで記者をし、「週刊朝日」副編集長、「アエラ」編集長代理、書籍編集部長などをつとめる。「週刊朝日」時代に担当したコラムが松本人志著『遺書』『松本』となり、ミリオンセラーになる。2011年4月、いきいき株式会社(現「株式会社ハルメク」)に入社、同年6月から2017年7月まで、50代からの女性のための月刊生活情報誌「いきいき」(現「ハルメク」)編集長をつとめた後、退社、フリーランスに。著書に『美智子さまという奇跡』(幻冬舎新書)、『朝ドラには働く女子の本音が詰まってる』(ちくま新書)。最新刊に『雅子さまの笑顔――生きづらさを超えて』(幻冬舎新書)

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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