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Colabo叩きは旧統一教会に代わるサイバージェンダーバックラッシュだ

膨張・巨大化する陰謀論の刃から国民の安全を守ってほしい

勝部元気 コラムニスト・社会起業家

 前回の記事「Colabo叩きのネット右派、根拠弱く不正を訴える姿はまるでQアノン」に続き、反Colabo運動について取り上げます。

 前稿では、家庭等に居場所がなく困難を抱える若い女性を支援する一般社団法人Colabo(コラボ)を攻撃する運動の主体は「女性蔑視表現クラスタ」と「性売買クラスタ」という2つのネット右派であり、根拠に乏しいままColaboの活動を「不正」だと主張している点は、アメリカやブラジルの議会襲撃事件と類似性があると指摘しました。

 今回は、一連の反Colabo運動が「サイバージェンダーバックラッシュ」であるということを論証したいと思います。

会計を問題視するならほかの委託事業の監査も請求すべきだ

少女の相談にのる一般社団法人「Colabo」(コラボ)の仁藤夢乃代表=2020年5月、東京都新宿区拡大少女の相談にのる一般社団法人「Colabo」(コラボ)の仁藤夢乃代表=2020年5月、東京都新宿区

 反Colabo運動がネットから雑誌メディア等に至るまで右派界隈を席巻しています。彼らがColaboバッシングに参加する目的はジェンダーバックラッシュという政治運動として効果的だと考えているからでしょう。

 前稿で述べたように、彼らはColaboの会計の問題をやり玉にあげてはいるものの、それは「おためごかし」に過ぎません。というのも、もし本当に「公金を投入している委託先の会計を正しくチェックしなければならない」のであれば、電通やパソナをはじめ、国や地方自治体から委託を受けたあらゆる法人について、同レベルの調査を求めていいはずです。

 とりわけ、パソナの再委託先による約10億円の過大請求(水増しした虚偽の報告)という本物の公金不正受給問題が発覚していますし、まずは「委託の金額が大きい組織」や「自身や関連組織に法令・契約違反の疑惑が実際に浮上している組織」「内部告発が出ている組織」等からチェックをするよう求めるのが自然ではないでしょうか。

 その上で、「委託先に対する国や自治体のコントロールが甘い」と、制度的な問題点を主張するなら分かりますが、Colaboや若年被害女性等支援事業にのみ矛先を向けている時点で、目的が別にあるのではないかと思われても致し方ないでしょう。


筆者

勝部元気

勝部元気(かつべ・げんき) コラムニスト・社会起業家

1983年、東京都生まれ。民間企業の経営企画部門や経理財務部門等で部門トップを歴任した後に現職。現代の新しい社会問題を「言語化」することを得意とし、ジェンダー、働き方、少子非婚化、教育、ネット心理等の分野を主に扱う。著書に『恋愛氷河期』(扶桑社)。株式会社リプロエージェント代表取締役、市民団体パリテコミュニティーズ代表理事。所有する資格数は71個。公式サイトはこちら

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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