『マチルダ』で競演!大貫勇輔、小野田龍之介、木村達成インタビュー(下)
子供たちから出る無限のエネルギーに対抗できる壁でありたい
橘涼香 演劇ライター

『マチルダ』で競演!大貫勇輔、小野田龍之介、木村達成インタビュー(上)
ミス・トランチブル校長をミス・トランチブル校長たらしめるのは子供たちの存在
──お稽古中のいまの段階で、ご自身のミス・トランチブル校長の特徴と言いますか、個性はここだな、と思っていらっしゃることはありますか?
大貫 やっぱりダンサーとしての経歴を生かすというところで、身体のさばき方というか、身体的な存在の仕方、手の使い方、首の向き、体重の移動で姿勢がどう変わるか、というような、肉体から出るある種の説得力を大切に、併せてロイヤル・シェイクスピア・カンパニーの作った言葉も大事にしながら演じられたらいいなと思っています。

左から、大貫勇輔&小野田龍之介&木村達成〈ヘアメイク:エムドルフィン〉=岩田えり 撮影
小野田 そうですねいろいろ原作を読んだり、映画を見たりしていくなかで、トランチブルの異様なヒステリックさとか、執着とか、いやらしさのテンションというものに常に敏感にいたいなと。声もいきなりがなるように、わりと面白がって誇張したトーンで、演出チームを含めて今作っています。ただ、ミュージカルナンバーもありますから、その時の声の使い方と、セリフになった時の声が違う感じを統一するのではなくて、逆にどんどん変わっていっても面白い役なのではないかと思いますから、そういった声の使い方を楽しんでいきたいなと思っています。
木村 僕はまだ方向性が決まっていないし、逆にここから稽古を重ねてどうなっていくのかな?というのを楽しんでいきたいと思っているので、常にアンテナを張って日々変わっていくことを楽しみにしていきたいです。

木村達成=岩田えり 撮影
──それは幕が開くのがより楽しみになりますが、マチルダさん達とのお稽古はいかがですか?
木村 僕、この間子供たちとやった時にめちゃめちゃ可愛いなと思っちゃったんです。で、「あ、違う違う可愛いと思っちゃ駄目だ!」と。
大貫 確かに!(笑)。
木村 でも、本当に可愛いんですよ!

小野田龍之介=岩田えり 撮影
小野田 子供達は稽古序盤から非常にクオリティの高いパフォーマンスをやってのけているので、これはこっちも悠長にやっていられないなと思うし、やっぱり子供だからこそできる大胆さと、大人だからできる大胆さとは全く違うと思うんですよね。その全く違う感じが融合したものが『マチルダ』という作品の面白さにもつながってくると思うので、そこは大事にしたいです。とにかく子供達から出る無限のエネルギーがすごいんですよ。
大貫 そうだね。
小野田 しかも子供たちと一口に言っても、学校の中の描写が多いですから、大きい子供と小さい子供がいて、日本版のなかで色分けされている学年差のある子どもたちが一緒になる瞬間がたくさんあるので、その相乗効果も日本版の面白さになってくるんじゃないかなと思います。
大貫 僕はやっぱり、年齢としては子供だけれども、一人の俳優たちが集まっているんだなという印象が強くて。本当にしっかりしているし、俳優同士としてひとつのシーンを作り上げる時に、子供だからということではなくて、ちゃんと一人の人間として向き合って作り上げていけたらいいなと思っています。やっぱり王様は周りが「王様」と崇めてくれることで王様に見えるんだけれど、トランチブルもまさしくそうで。みんなが「トランチブル先生」ってやってくれないと、この学校に君臨している校長先生には見えない。そこは木村くんの言った通り1人ではできないことで、みんなの協力が必要だと思いますから、一緒に作っていきたいですね。

大貫勇輔=岩田えり 撮影
◆公演情報◆
Daiwa House presentsミュージカル『マチルダ』
プレビュー:2023年3月22日(水)~24日(金) 東急シアターオーブ
東京:2023年3月25日(土)~5月6日(土) 東急シアターオーブ
大阪:2023年5月28日(日)~6月4日(日) 梅田芸術劇場メインホール
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[スタッフ]
脚本:デニス・ケリー
音楽・歌詞:ティム・ミンチン
脚色・演出:マシュー・ウォーチャス
[出演]
マチルダ:嘉村咲良/熊野みのり/寺田美蘭/三上野乃花(クワトロキャスト)
ミス・トランチブル校長:大貫勇輔/小野田龍之介/木村達成(トリプルキャスト)
ミス・ハニー:咲妃みゆ/昆夏美(Wキャスト)
ミセス・ワームウッド:霧矢大夢/大塚千弘(Wキャスト)
ミスター・ワームウッド:田代万里生/斎藤 司(トレンディエンジェル)(Wキャスト)
ミセス・フェルプス:岡 まゆみ/池田有希子(Wキャスト) 原慎一郎 ほか
〈大貫勇輔プロフィル〉
7歳より母の経営するスタジオでダンスを始める。祖父は体操のオリンピック強化選手、母や伯母も元体操選手という生粋のサラブレッド。17歳よりプロダンサーとして数々の作品に出演。以降、舞台や映像作品にも幅を拡げ、俳優としても活躍中。近年の主な舞台出演作品は、『フィスト・オブ・ノーススター~北斗の拳~』、『メリー・ポピンズ』、『ビリー・エリオット〜リトル・ダンサー〜』など。現在放送中の大河ドラマ『どうする家康』では浅井長政役を演じる。また、8月から舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』にハリー・ポッター役で出演が控えている。
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〈小野田龍之介プロフィル〉
幼少の頃よりミュージカルを中心に活躍。2011年に、シルヴェスター・リーヴァイ国際ミュージカル歌唱コンサート・コンクールへ出演し、リーヴァイ特別賞を受賞する。主な舞台出演作品は、『ミス・サイゴン』、『フィスト・オブ・ノーススター~北斗の拳~』、『ウエスト・サイド・ストーリー』、『メリー・ポピンズ』、『レ・ミゼラブル』、『マリー・アントワネット』など。7月に『ピーターパン』への出演が決まっている。
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〈木村達成プロフィル〉
2012年、ミュージカル『テニスの王子様』2ndシーズンでデビュー。主な舞台出演作品は、『管理人』、『血の婚礼』、『四月は君の嘘』、『SLAPSTICKS』、『ジャック・ザ・リッパー』、『The Last 5 Years』、音楽劇『銀河鉄道の夜2020』、『ロミオ&ジュリエット』など。テレビ『オールドファッションカップケーキ』など。6月太宰治作『新ハムレット』への出演が決まっている。
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