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現代人のための「お寺取扱説明書」──どうつき合っていけばいいのか

[24]ギクシャクしがちなお寺と幸せな関係に

薄井秀夫 (株)寺院デザイン代表取締役

 現代人にとって、お寺というのは、どうもつき合いにくい存在である。

 お布施をいくら包んだらいいのかを始めとして、法事にはどんな準備をしたらいいのか、寄付の依頼にはどう応えたらいいか、住職とはどんな話をしたらいいか、行事には参加しなければならないのか等、わからないことだらけである。そもそも、お寺とつき合うこと自体の意味がよくわからないということもあるだろう。

 そのわからないことについてお寺に質問するのも、なんだか気が引けるものである。そんなことを聞いて不勉強と思われないか、そもそも質問自体が失礼じゃないかと。普段、あまり交流のない存在であるし、気さくに話のできる存在でもないということもある。

 さらには戒名をつけることや、檀家をやめることをめぐってのトラブルも聞く。

 つき合うこと自体が面倒で、「できることなら、距離を置きたい」と考えている人が多いのである。

 お寺の名誉のために言っておきたいのだが、すべてのお寺がつき合いづらいわけではない。実際は、我々一般の人に対して理解のあるお寺のほうが多い。ただつき合いが無いと、それすら伝わってこないのである。

 また、宗教者というものは、我々一般の人間とは異なった価値観を持っている。それはちょっとしたズレかもしれないが、対話不足から誤解が生じてしまうことは多い。

 さらには、お寺との関係は悪くないものの、遠方に住んでいるため、つき合いが重荷になっているという人もいる。

お寺とどうつき合っていけばいいのか(写真は本文とは関係ありません)拡大お寺とどうつき合っていけばいいのか(写真は本文とは関係ありません)

 現代という社会の中で、お寺は実につき合いにくい存在なのだ。

 お寺が嫌ならつき合うのを止めてしまえばいいという意見もある。確かにそのとおりで、嫌なつき合いを続けるのは、お互いに不幸である。

 ただ、長年のつき合いや、親類や地域のしがらみなどによって、状況がそれを許さないという人もいる。檀家をやめるのはそう簡単なことではないのだ。

 そんな人たちのため、現代人はお寺とどうつき合っていけばいいのか、「お寺取扱説明書」とでも言うべきものを考えてみたい。


筆者

薄井秀夫

薄井秀夫(うすい・ひでお) (株)寺院デザイン代表取締役

1966年生まれ。東北大学文学部卒業(宗教学専攻)。中外日報社、鎌倉新書を経て、2007年、寺の運営コンサルティング会社「寺院デザイン」を設立。著書に『葬祭業界で働く』(共著、ぺりかん社)、 『10年後のお寺をデザインする――寺院仏教のススメ』(鎌倉新書)、『人の集まるお寺のつくり方――檀家の帰属意識をどう高めるか、新しい人々をどう惹きつけるか』(鎌倉新書)など。noteにてマガジン「葬式仏教の研究」を連載中。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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