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世界遺産紹介する「産業遺産情報センター」に行ってみた

見学にハードル、見えない近代化の「影」

中沢けい 小説家、法政大学文学部日本文学科教授

同じ建物の統計博物館は「どなたでも自由に」だけど

 産業遺産情報センターは、新宿区立余丁町小学校の裏、総務省第二庁舎別館に設置されている。大江戸線・若松河田駅の改札を出ると「世界遺産 明治日本の産業革命遺産 製鉄 製鋼 造船 石炭」と記した産業遺産情報センターのパネルがあり、出口への案内板にも産業遺産情報センターの表示があった。

拡大都営地下鉄・若松河田駅にある「産業遺産情報センター」のパネル(左)と案内板

 東京都赤十字センターや東京女子医大病院、国立国際医療センター病院、国立健康・栄養研究所、国立感染症研究所など医療関係の施設が多い。山手線の内側ではあるが静観な住宅地の間に公共的施設が点在している。このような雰囲気の場所は往々にしてもとは軍用地であることが多いもので、調べてみると陸軍砲工学校、陸軍戸山学校、陸軍軍医学校など陸軍の学校用地であった。

 産業遺産情報センターが設置されている総務省第二庁舎別館もまたもともとは陸軍の用地だったのであろう。

 総務省統計局、統計博物館なども同じ建物内にある。

 2023年4月3日にリニューアルオープンした統計博物館のHPには「どなたでも自由に観覧できますので、機会がありましたら、是非お立ち寄りください」とあり、別段、観覧の予約は必要ない様子だ。団体(おおむね10名以上)の場合は2週間前に電話連絡を下さいとただし書きがある。どうも団体の見学が重なってしまわないように予定の調整を必要としていることが推測される。小学校や中学校などの遠足の立ち寄り先になることもありそうな施設だ。


筆者

中沢けい

中沢けい(なかざわ・けい) 小説家、法政大学文学部日本文学科教授

1959年神奈川県横浜市生まれ。明治大学政治経済学部政治学科卒業。1978年「海を感じる時」で第21回群像新人賞を受賞。1985年「水平線上にて」で第7回野間文芸新人賞を受賞。代表作に「女ともだち」「楽隊のうさぎ」などがある。近著は「麹町二婆二娘孫一人」(新潮社刊)、対談集「アンチ・ヘイトダイアローグ」(人文書院)など。2006年より法政大学文学部日本文学科教授。文芸創作を担当。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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