全国に発令されていた緊急事態宣言が一部解除されるなど、新型コロナウイルスの感染拡大には一定の歯止めがかかっているようですが、東京や大阪、北海道などでは依然、感染者が十分に減ったとはいえず、感染拡大の「第二波」への懸念を含め、コロナへの不安は消えません。ワクチンや特効薬ができるまで、明らかに“長期戦”になる新型コロナとの戦いに、われわれはどう臨めばいいのでしょうか。
「論座」では2月以降、コロナ問題に焦点をあて、さまざまな論考をアップしてきましたが、今回、コロナに関する「オンライン鼎談」を企画しました。
論者は、論座のレギュラー筆者であり、自らコロナに感染したジャーナリストの佐藤章さん、医師で医療ガバナンス研究所理事長の上昌広さん、世田谷区長の保坂展人さんの3人。患者の立場、専門家である医師の立場、人々の命を守る行政の長の立場から、コロナ感染症の怖さ、検査や医療体制が抱える問題、コロナとの長期の闘いにどうのぞむのか、本音で語っていただきました。
「論座」の記事「私はこうしてコロナの抗体を獲得した《前編》保健所は私に言った。『いくら言っても無駄ですよ』」「私はこうしてコロナの抗体を獲得した《後編》PCR検査の意外な結果、そして…」の筆者である佐藤さんは、夜中に突如、38度の高熱を発し、味覚障害などコロナに典型的な症状に見舞われながら、なかなかPCR検査をしてもらえず、不安な日々を過ごしました。かかりつけ医の尽力で、なんとかPCR検査にこぎつけたものの、結果は「陰性」。納得せず、抗体検査を受けた結果、「陽性」が判明するという“劇的”な体験から、コロナ感染症への行政、医療の対応の問題を語ります。
感染症に詳しく、日本におけるPCR検査の少なさを「あり得ない」と批判してきた上さんは、「知見」に基づかない日本の対応レベルの低さを指摘。PCRをはじめ抗体検査など検査の拡充、コロナによって実際どれだけの人が死亡したかなどのデータを明らかにすること、確実にくるであろう次の「感染拡大」に備え、院内感染を防ぐための医療体制の改善に尽力すべきだと強調します。
また、世田谷区長として、コロナ対応の最前線に立つ保健所や医療体制を支え、PCR検査の拡大につとめてきた保坂さんは、現場で起きている深刻な状況、たとえばコロナ治療に積極的にとりくむ病院が経営不振に陥るケースが多いことなどに言及。今後、病院経営の支援、院内感染防護策、医療崩壊を防ぐための医療資源のバックアップ、専門家などの英知をいかした対策の必要性などについて語っています。
3人がそれぞれの立場から熱く語る約1時間のトーク。以下のユーチューブの動画でぜひ、ご覧ください。