言論表現の流通チャンネルが私企業に独占されることへの警戒感が背景に
2014年11月29日
日本の出版産業について考えようとすると、今ではアマゾン抜きにできない。アマゾンは出版社に対し、電子書籍取引で厳しい条件を突きつけているが、書籍の扱い量では最大手の書店だ。出版社からすれば、大事な取引先であり、右手で握手しながら、左手で拳を握っている構図である。
それは世界の出版社にとっても同様である。
米国では、同国のスーパーマーケットチェーン・ウォルマートのビジネスに学んだと言われるアマゾンCEOのジェフ・ベゾスが、出版社に対して強力に値下げ交渉をしていることはよく知られている。
ブラッド・ストーン著『ジェフ・ベゾス果てなき野望』(日経BP社)によると、「アマゾンに有利な改訂に同意しなければ、アマゾンサイトにおけるプロモーションのレベルを引き下げる」と脅したとある。
事実、電子書籍端末のキンドル発売後の2010年、電子書籍価格の主導権をめぐって対立した大手出版社マクミランに対し、書籍を購入する際の「ショッピングカートに入れる」というボタンを一時的になくし、サイトから電子書籍を削除した。
さらに今年6月の米紙ニューヨーク・タイムズによると、大手出版社アシェットの書籍についてアマゾンが意図的に出荷を遅らせ、新刊の予約注文を受け付けない措置をしたという。
この電子書籍の価格交渉をめぐっては、スティーブン・キング氏ら米国の作家900人以上が、8月10日付のニューヨーク・タイムズに全面広告を出した。そこではアマゾンによる一連の措置を批判し、
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