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人間の尊厳伝える災害取材

好奇心高め、質問する力を

李淼 香港フェニックステレビ(鳳凰衛視)東京支局長

他人の誤報も放置しない

 東日本大震災翌年の12年、いわゆる〝尖閣国有化〟によって、ギクシャクしていた日中関係がさらに冷え込んだ。私が仕事を始めた07〜08年ころの日中関係とは様変わりしてしまった。温家宝首相(当時)が来日して日本の国会で演説し、日本の総理大臣とキャッチボールするなんて、遠い昔の出来事のようだった。日中両国の報道も批判的なトーン、ネガティブな情報で覆われるようになっていた。

 そんな中でも、私は自分の意見や論評はなるべく控え、冷静に確実な事実を正確に伝える方針に徹してきた。特に領土などの両国の国民感情を刺激する敏感な問題は、慎重のうえにも慎重に取材し、言葉を選んできた。

 ある日曜日の午後のこと。突然、本社から電話がかかってきた。「日本が宮古島でミサイルを配備した模様。中国各紙サイトでトップニュースとして出ている。夜のニュース番組で中継リポートしてくれ」というのだ。日本のメディアではそうした報道が一切出ていなかった。事実関係をまず直接取材しなければならないので、私は防衛省関係者や、宮古島の役所、配備に反対の市民団体にも電話取材した。結局、ミサイルが配備された事実はないことが分かった。

 では、なぜ中国でそのような情報が出回ったのか。出所は

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筆者

李淼

李淼(リ・ミャオ) 香港フェニックステレビ(鳳凰衛視)東京支局長

中国吉林省出身。慶應義塾大学大学院博士課程単位取得退学。NHK国際放送中国語アナウンサーを経て、2007年から現職。日本の政治や安全保障、日中外交を中心に取材。首相や大臣など多数の政治家に単独インタビューした。東日本大震災、福島原発事故、熊本地震などの災害では現地取材した。個人ミニブログに67万人のフォロワーがいる。

※プロフィールは、論座に執筆した当時のものです