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安倍支持の中心は若年男性層

ネガティブ情報の影響薄く

金子智樹 逢坂巌

 近年、安倍政権を巡ってテレビや新聞などマスメディアの報道が有権者に効かなくなっていると言われる。特に若い層が安倍政権を支持しており、それがメディア環境の違いによるのではとの議論もなされている(注1)。

 これらの議論で前提になり始めてきたのが、同じ社会に属しながらも「世代」や「性」によって、内閣への支持が異なる可能性である。しかし、実は、日本の政治研究においては、世代別・性別に支持の動向を分析したものはそれほど多くない。執筆者の1人(逢坂)もかつて森政権や第1次安倍政権の支持率とメディア報道の関係について分析したことがあるが(注2)、その際も内閣支持率の動き全体として捉えていた。例えば、森政権時に内閣支持率が2段階に落ちたのを、最初の「『神の国』発言」で無党派の支持が剥がれ、次の「えひめ丸事件」とその対応で、自民党支持者の支持が落ちたと分析した。つまり、支持政党の別で反応が異なりうるとは考えていたものの、「世代」や「性」によって支持率そのものや反応が大きく異なることはあまり視野に入れていなかった。

 そこで今回は、世論調査のデータを用いて、直近の安倍政権の支持構造を関連データと共に分析したい。その際、「世代」や「性」によって支持がどのように異なっているかを分析するとともに、かつての第1次内閣との全体的な比較やそれぞれの内閣における時間的な変化を観察することで、政権の支持構造の中身を捉えてみたい。「同じ社会にいて、同じ政治状況を前にしながら、性別・世代別で反応は異なるのか」という問題意識のもと、内閣支持率の細かい変動を見ることで初めて、政治ニュースがそれぞれにどの程度「届いているか」と議論することの前提が整うと考えられるからである。

「年配女性」から「若年男性」へ

 安倍内閣の支持構造にいかなる特徴が見いだせるのかを明らかにするために、朝日新聞社が実施している定例全国世論調査(注3)の集計データを用いて分析することにしよう。

図1−1 第4次安倍内閣支持率(全期間平均、性別×世代別)拡大図1−1 第4次安倍内閣支持率(全期間平均、性別×世代別)

 図1ー1は、第4次安倍内閣の支持率について、全期間の平均値をまとめたものである。性別に関して概観すると、男性(44・4%)は女性(33・8%)に比べて約10ポイント平均支持率が高く、第4次内閣の支持構造には大きな男女差が存在していることが分かる。

 その上でさらに細かく、性別×世代別の平均値を見ていこう。全体的には、男女とも高齢化するほど支持は低下する傾向がある(70代以上ではやや増える)。そして顕著なのが、18歳~30代の男性の支持が高いことである(注4)。20代男性と30代男性の支持率は57・4%と52・8%で、同世代の女性よりもそれぞれ19ポイントも高く、最も支持していない60代の女性とは30、25ポイントもの差がある。第2次以降の安倍政権において、男性からの支持(注5)と若者世代からの支持(注6)がそれぞれ高いという指摘は既に存在しているが、「若年層」の「男性」からの支持が際立って高いという傾向を見いだすことができる。

図1−2 第1次安倍内閣支持率(全期間平均、性別×世代別)拡大図1−2 第1次安倍内閣支持率(全期間平均、性別×世代別)

 しかし、2006~2007年の第1次内閣における支持構造と比較すると、安倍政権の支持構造に対して新たな印象を受ける。図1ー2は第1次安倍内閣の平均支持率を性別×世代別に示したものである。ここから、第1次内閣においては現在とは逆に男性(41・0%)よりも女性(43・2%)の支持率が高く、年齢的にも高齢化するほど支持を増大させていたことが分かる。さらに、最も支持率が高い層は70代以上の女性(53・9%)であり、逆に最も支持率が低い層が20代の男性(36・6%)であった。かつての安倍首相は、象徴的な表現を使うのであれば、「年配の女性」からの支持が高かったのが特徴だと言ってもいいだろう。現在の第4次内閣とは正反対の支持構造であったのだ。

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