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不文律を守らぬなら憲法に明文化

権力を統制する「立憲的改憲」を

山尾志桜里 立憲民主党・憲法調査会事務局長

 戦後の日本では長い間、「改憲派」と「護憲派」の対立が続いてきました。しかし、近年はその対立構図に収まらない考え方が出てきています。「立憲的改憲論」もそのひとつです。昨年、『立憲的改憲――憲法をリベラルに考える7つの対論』を上梓(じょうし)した、立憲民主党の山尾志桜里・憲法調査会事務局長に、その狙いや9条に対する考えを聞きました。(聞き手:朝日新聞編集委員・松下秀雄)

(撮影:吉永考宏)拡大(撮影:吉永考宏)
――なぜ、立憲的改憲を唱えているのでしょうか。きっかけは?

山尾 「立憲的改憲」的な考えを提示したのは私が初めてではありませんが、私自身についていえば、第2次安倍政権のふるまいが大きなきっかけになりました。

 憲法9条があっても集団的自衛権の行使を認め、安全保障法制を成立させました。53条(注1)に基づく臨時国会召集の要求は無視し、衆議院解散について定める7条(注2)、69条(注3)の解釈からいえばかなり無理筋な、大義なき解散にも繰り返し打って出ています。

 第2次安倍政権は、守られてきた憲法解釈や不文律を意図的に無視し、やすやすと乗り越えていく。そこで憲法の統制力をよみがえらせるために、本質的な要請については明文化すべきだと考えました。それは権力を統制するものなので、統制主体である国民の側、国会でいえば野党の側による提起が自然だと思います。

――どこを改正すべきだと?

山尾 憲法の役割は、統治のバランスを正し、より豊かに人権を保障することだと思います。立法、行政、司法の三権のバランスが崩れたらそのゆがみを正す。人権の保障が危うくなったり、時代とともにもっと豊かに保障すべき人権がでてきたりすれば保障に含めていく。その手綱を国民が握り、クリエーティブに提起していくのが、立憲的改憲という考え方です。

 人権条項から例を挙げるなら、たとえば、婚姻は「両性の合意」のみに基づいて成立するという24条(注4)を「両者の合意」に改める。それによって、同性婚を「認めてもいいよ」ではなく「認めなければならない」という憲法上の保障に包含することを考えてもよいのではないでしょうか。

 統治でいうと、私たちが教科書で習った三権分立は、三つの権力の関係を正三角形で描いていたはずですが、いまは国際的な潮流をみても行政の力が突出している。日本でも二等辺三角形のようになっているので、突き出た行政のかどをトントンと抑制し、立法と司法をキュッと伸ばし、正三角形に整え直す。そういう改憲の議論を始めるべきです。

 そのひとつには、内閣が持つ衆議院解散権の抑制があるでしょうし、立法を伸ばすという意味では臨時国会の召集要求に実効性を持たせることもあるでしょう。そして、司法をキュッと伸ばすためには、積極的に憲法判断ができるよう、いわゆる憲法裁判所を設ける議論があっていいと思います。

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筆者

山尾志桜里

山尾志桜里(やまお・しおり) 立憲民主党・憲法調査会事務局長

1974年生まれ。東京大学法学部を卒業後、司法試験に合格。2004年に検察官に任官し、07年に退官。09年の衆院選愛知7区に民主党から立候補して初当選し、現在3期目。民進党政調会長などを経て現職。著書に『立憲的改憲―憲法をリベラルに考える7つの対論』など。