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移民をチーム日本に迎えるには

「在日ブラジル人1世」の提言

Angelo Ishi 武蔵大学社会学部教授

日本の内需拡大のためにも

 家族の帯同は何も人道主義的な観点から望ましいという話に留まらない。そのほうが移民の社会統合や職場での生産力向上にも好都合であるということに気づかなければならない。おそらく家族の帯同を禁じている理由は、「労働者なのだから仕事に集中してもらいたい」、「子どもなど連れて来られると、教育などの対応が発生して困る」という単純かつ貧しい発想からであろう。しかし、家族が来日したほうが、労働者は精神的に安定し、病気の発生率は低下する。それこそ、仕事にもっと集中できる。家族を母国に残していれば、日本で稼いだお金は「送金」という形で海外に流出してしまうが、日本で同居していれば、国内でその金を消費し、内需拡大にも繋がる。これは何も私の空想ではなく、制度設計者が日系人の事例を教訓にすれば、実証済みの現象である。1990年代に来日したパイオニアたちは単身での渡航が多く、食費も切り詰め、贅沢を惜しんで貯金ばかり追い求めたために、身体も心も壊れる人たちが続出した。あの頃、最も儲かったのは国際電話会社だ。家族を呼び寄せる人が増えるにつれて、日本での日常生活は安定し、人生で最も大きな買い物である住宅を日本で購入する人も増えた。多くの地域では、 ・・・ログインして読む
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筆者

Angelo Ishi

Angelo Ishi(アンジェロ・イシ) 武蔵大学社会学部教授

1967年、ブラジル・サンパウロ生まれ。日系ブラジル人3世。サンパウロ大学ジャーナリズム学科卒、東京大学大学院総合文化研究科博士課程を経てポルトガル語新聞の編集長を務めた。2010年から現職。専門は国際社会学、移民研究、メディア社会学。著書に『ブラジルを知るための56章』(明石書店)、『日本人と海外移住』(明石書店、共著)ほか。