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共存から共生へ、試行錯誤の日々

外国人集住地域「芝園団地」発

岡﨑広樹 芝園団地自治会事務局長

将来の日本の「縮図」

 私は、2014年から、住民の半分以上が外国人になったUR都市機構川口芝園団地に住みながら、団地自治会の役員として、日本人と外国人の関係づくりに取り組んできました。

 この5年を振り返ると、両者の関係づくりは、やはり難しいというのが、偽らざる本音です。ただ、外部から団地を眺めると、外国人の集住によって顕在化した問題ばかりに焦点があたりやすく、その実態が分かりにくいのでは、と感じています。

 隣近所の住民関係を「共存」=「お互い静かに暮らせる関係」、「共生」=「お互いに協力する関係」と定義し、私が見聞きし、体験してきた多文化共生の実態を紹介したいと思います。

拡大グラフ 川口市芝園町の人口推移 各年1月1日現在 かわぐちの人口第5表町丁字別人口
 芝園団地のある芝園町の人口推移は、グラフの通り(各年1月1日現在)。19年4月1日現在では、5024人。そのうち、外国人住民は、2780人と、総人口の55.3%になりました。

 外国人の人口は、15年11月に日本人を上回りましたが、これまで世帯数は、日本人が上回っていました。しかし、19年3月、両者の世帯数が初めて逆転し、芝園町は国際化の一途をたどっています。

 芝園団地は、1978年に入居を開始し、若い子育て世代の日本人が住み始めました。現在、子どもたちは独立し、若い世代がいなくなる一方で、当初からの日本人住民は70代以上と、その高齢化は顕著です。
一方で、外国人住民の多くは、30代の子育て世代。また、企業の寮として、独身の若い外国人が複数人で住む部屋もあります。

 外国人住民の大半は中国人住民と見られ、主に大学を卒業したIT系企業に勤めるサラリーマン。IT人材の不足を補う外国人材の受け入れ先として、芝園団地は役割を果たしています。

 中国人住民に住み始めた理由を聞くと、驚くほどに友達の紹介が多いです。敷地内には、アジアの物産店や中華料理屋があり、SNSなどの中国人ネットワークもあって、便利で住みやすいと聞きま
す。

 また、すべての部屋が賃貸物件で定住志向の人は少なく、長期出張で来日している人もいるため、多くの外国人住民は約2、3年で引っ越していきます。

 その子どもたちは未就学児が多く、両親が共働きしている場合、敷地内の保育所などに通っていたり、祖父母が短期来日して孫の面倒をみることもあるようです。

 今年度から外国人材の受け入れを拡大するにつれて、芝園団地と同じように高齢者の日本人と若い外国人という住民構成になる地域が増えるはずです。

 つまり、芝園団地は、地域の国際化と日本人住民の高齢化が進んだ将来の「日本の縮図」といえる場所なのです。

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筆者

岡﨑広樹

岡﨑広樹(おかざき・ひろき) 芝園団地自治会事務局長

1981年、埼玉県生まれ。早稲田大学卒業後、三井物産に入社。その後、松下政経塾に入塾し、芝園団地に住みながら「多様性を活かした地元づくり」を実践。また、欧州評議会Intercultural Citiesプログラムを調査。第2次川口市多文化共生指針策定委員。芝園団地自治会は、2017年度 国際交流基金「地球市民賞」を受賞。