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多様性が発展させる民主主義

「新時代沖縄」をつくるポジティブパワー

徳森りま NGO「ちむぐくるアクション」発起人

マイノリティの自分と沖縄

拡大翁長知事は、辺野古新基地建設の問題や、沖縄に米軍基地が集中する実態を英語で紹介した。「沖縄の人々は、自己決定権や人権をないがしろにされている」と国際社会に訴えた=2015年9月、スイス・ジュネーブの国連人権理事会
 自分のルーツを否定する人生に転機が訪れたのは、琉球大学在学中に日系留学生の友人らと出会ったことがきっかけだった。前述の通り、沖縄県は世界中に移民を出した背景から、各国に県人会があり現在でも活発に活動している。そうした沖縄出身者の子孫向けに県や市町村の奨学研修制度があり、今日も沖縄への留学交流が続いている。

 見た目はウチナーンチュなのに外国出身。日系留学生たちは、母国の言葉と日本語、ときにはウチナーグチ(沖縄語)を交えながら沖縄への愛と期待を語る。その姿だけでも眩しかったが、何よりも、沖縄ともう一つ(場合によっては二つ以上)のルーツがあることを当たり前として捉えている彼らが、卑屈に生きてきた自分とは対照的で、本当に羨ましかった。

 同時に、大学で移民史や琉球・沖縄史を学び、琉球併合、沖縄戦、米軍占領、沖縄返還といった国策を顧みたとき、私自身もまた彼らと同じく、沖縄の歴史の性質上、生まれてきて当然のマイノリティだったのだと悟った。

 それがわかったとき、自分自身の中で、マイノリティとして生きてきた「わたし」と、米軍基地問題について日本の中で意見を言っても聞いてもらえない沖縄の存在がリンクした。そして、沖縄に生まれ育ちながら、琉球・沖縄史を自らの歴史として義務教育で学ぶことができない現行制度や、すでに存在しているマイノリティ・グループが認識に反映されていない社会のあり方に疑問を持つようになった。

 大学院を修了後、「島ぐるみ会議」という沖縄の市民団体に事務局スタッフとして関わり、名護市・辺野古へ座り込みに行く市民らの支援や、故・翁長雄志前県知事が国連人権理事会へ参加した際の随行サポートを行った。

 機動隊に力づくで市民が排除されていく抗議活動の現場に毎日通い、21世紀の日本で起きている国家的暴力を目の当たりにした。

 日本史上初めて、翁長知事が行政首長として国連人権理事会に行くことになったときには、いよいよ辺野古問題は日本国内のシステムだけでは救済の限界があるという顕れなのだなと思った。同時に、他国の外交官やNGO、マスメディアが真剣に沖縄の訴えに耳を傾けてくれたことに、沖縄で起きている問題が人権侵害問題として国際社会に知られれば、まだまだ解決の余地はあるとの実感が持てた。

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筆者

徳森りま

徳森りま(とくもり・りま) NGO「ちむぐくるアクション」発起人

1987年、沖縄県生まれ。琉球大学を卒業し、2014年、早稲田大学大学院アジア太平洋研究科修士課程修了。辺野古新基地建設に反対する市民団体「島ぐるみ会議」事務局で勤務。16年、世界のウチナーンチュたちとつくるNGO「ちむぐくるアクション」を設立。